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ヨシヒロの読書ブログ

ヨシヒロの気が向いたときに読書記録をつけていくブログ(小説・文学・哲学・心理学・経営・経済・ビジネス)

ストラクチャーから書く小説再入門 第6章

第6章 プロットポイント1

ストーリーは、いくつものシーンをつなげて作ります。初めから予測がつくもの、繰り返し強調するものがある一方、その後の流れを激変させるシーンがあります。そうした転機に当たるシーンを「プロットポイント」と呼びます。

 

大きな出来事や事件が起きて、物語の流れが変わるところです。小さなものからショッキングなものまで、転機はいくつあってもかまいません。騒動を巻き起こし、新たな対立を引き起こし、登場人物を動かすのが転機であり、プロットポイントです。

 

ストーリー全体の25%ぐらいまで進んだところで訪れる転機を「プロットポイント1」と呼びますが、「1」というのは誤解を招くかもしれません。それまでに、すでにいくつかの転機があるかもしれないからです。

 

25%地点のプロットポイントが他と大きく違うのは、その時から状況が一変すること。この先、人物は後戻りができません。状況説明が終わると人物は行動に駆り立てられるのです。

 

プロットポイント1で事件が起きると、主人公は強く反応します。ここで第1幕が終わり、主人公の反応を皮切りに第2幕が始まります。プロットポイント1は第1幕の山場と言ってもいいでしょう。

 

しかし、物語の転機はいつ訪れようと自由ではないのでしょうか? なぜ25%あたりがよくて、10%や40%地点ではだめなのか。理由は単純。全体の25%あたりまで進んだら、読者は自然に「そろそろ何か起きてほしいな」と感じるものだからです。

 

映画や小説で「ストーリーが進展せず、じれったい」と感じたものはありませんか? おそらくの原因はプロットポイント1が存在しない、あるいはタイミングが遅いということ。そうした作品は、最後まで見たり読んだりする気が失せたはずです。

 

プロットポイント1が遅いと、第1幕の人物紹介や状況説明が延々と続くことになります。逆にタイミングが早過ぎると第2幕が冗長になります。

「インサイティング・イベント」と「キー・イベント」

オープニングから25%地点までの間に必ず置きたいものが2つあります。それが「インサイティング・イベント」と「キー・イベント」です。25%地点までならどこに入れてもOK。

 

インサイティング・イベントとキー・イベントは、大抵、はっきり区別されます。「キー・イベント」とは人物を事件に巻き込む出来事。探偵小説で考えるとわかりやすいです。まず、どこかで事件(インサイティング・イベント)が発生する。あるきっかけで探偵は依頼を受けて(キー・イベント)調査に乗り出す。つまり、インサイティング・イベントによって動き始めた物語に主人公をくっつける糊の役目をするのがキー・イベントです。

 

通説では、インサイティング・イベントは次のどちらかで起こすべしと言われます。一つは、第1章の「掴み」の部分。もう一つは、25%地点のプロットポイント1。ちょっと融通がきかない感じですね。

 

「掴み」とプロットポイント1さえ定位置にあるなら、インサイティング・イベントはどこでもかまいません。冒頭にいきなりバンと出してもいいし、タイミングを少し待ってもいい。作品の中で最もいい位置を見つけてください。

 

その後、主人公を巻き込むためのキー・イベントを起こします。第1幕で書くべき情報を含めた流れで言うと、「冒頭で事件(インサイティング・イベント)発生→舞台設定の説明→人物紹介→主人公が事件に巻き込まれる(キー・イベント)」というような順序でもいいでしょう。主人公をインサイティング・イベントにがっちり絡ませてから、最初の大きな転機(プロットポイント1)に遭遇させましょう。