2.1 配電理論のところで書いたように、テキストには三相交流回路について、詳しい説明がなかったので、自ら解説(計算)してみました。
Y結線の各相負荷電圧
まず、相間200Vの三相3線式交流回路で、Y結線における各相の負荷にかかる電圧が何で1/√3の約115Vとなるか。
まず、各相のアースに対する電圧を次のように置くとこができます。
Va=V0・sin(ωt)
Vb=V0・sin(ωt+2π/3)
Vc=V0・sin(ωt-2π/3)
各相間の電圧をグラフ化すると次の様になります。(ここでは、V0=1、ωt軸はradの代わりにdegとしています。)
Vab=Va-Vb
Vbc=Vb-Vc
Vca=Vc-Va
相間電圧を計算してみると、
Vab = Va - Vb = V0・sin(ωt) -V0・sin(ωt+2π/3)
= V0・{ siw(ωt) - sin(ωt+2π/3) }
Vab=V0・{ 2sin(-π/3)・cos(ωt+π/3) }
=V0・{ 2・(-√3/2)・cos(ωt+π/3) }
=V0・{ -√3・cos(ωt+π/3) }=V0・{ -√3・sin(π/6-ω) }=V0・√3・sin(ωt-π/6)
となります。
Y結線における各相の負荷にかかる電圧は、Va、Vb、Vcと同じ*1ですので、各相負荷の電圧と相間電圧の比は、1:√3となります。
つまり、相間電圧を1とすると、各相負荷の電圧は1/√3となります。
ベクトルでの解釈
とまあ、ちゃんと計算すると出てくる訳ですが、毎回、三角関数の公式を使って計算するのもうっとしい(そもそも公式はすぐ忘れます)ので、2次元ベクトルと対応させる解釈が便利。
中心からのベクトルが電圧に相当。Va(赤)、Vb(緑)、Vc(青)は、位相がそれぞれ2π/3(=120°)ずれているので、図のようになります。イメージとしては、そのベクトルが右回転でωtで回転していると考えればよい。実際の電圧(瞬時値)は、図の横方向(x軸方向)の大きさと等しくなります。
相間電圧は、各ベクトルの差分となるので、例えば、Vabは、オレンジ色のベクトル。これも、Va、Vb、Vcのベクトルと同じく右回転していると考えて、横方向の大きさが電圧になります。
ただし、電圧の瞬時値はあまり、考えなくてい良いです(多分)
よって、上図より、相間電圧と負荷電圧は、1:1/√3の関係となります。当たりまえですが、式で計算した結果と同じになります。
以上、三相3線式電源について解説(整理)してみましたが、ベクトルで考えると直感的で楽です。
ちょっと言葉足らずのところがあるかもしれませんが、三相交流回路の理解に役立てば幸いです。
Δ結線の場合、電圧降下の計算なども、順次解説してみたいと思います。
*1:各相の負荷が等しいと仮定