乱あんど癌

色んな意味で乱れたおっさんと、突然現れた派手な膀胱癌。RUN&GUN 速攻。常に攻守交替。先生、バスケもしたいし、あんなことやこんなこともしたいです。

第19話 仙人とは、神に近い存在になった者たちの総称らしい、、、うん、いける、来年くらいいけるな

こんにちは

 

癌が発覚してから

今、現在で約10ヶ月経つわけですけれども

 

病院で自分の写真て撮ったことないんですよ

 

お見舞いに来てくれた友人が

一緒に撮ってくれることはあります

 

 もちろん嬉しいです

 

有名人の方が病気になったりすると

顔色の悪い中、笑顔で写真撮ってたりするじゃないですか

職業柄というのと

ファンの方々のために撮っている

っていうのもあると思うんですけど

 

僕、そういう写真見るの結構苦手で

 

無理してるわけじゃないんだろうけど

勝手に、「無理しないでいいんすよ!」とか思っちゃうんですよね

 

自分のために

家族のために

人生の軌跡を残しておこう

っていう人もいると思います

 

スッゴイわかる

 

でも、僕それも苦手なんですよねー

 

自分が弱いんです

現実から目を逸らしたいんです

できれば癌なんて、なかったことにしたいんだと思います

 

ホント情けねぇなー

写真撮っとけばよかったなー

今さらながらそう思ったりする今日この頃です

 

だから僕は今日も笑います

バカだから

笑ってればなんとかなるって思ってるんです

 

はじまっちゃいます

 

 アレルギーありません

 

ストレスゼロのおかげで一気に形勢は逆転し

完全にこのゲームは支配した

会場は沸き踊り

今にもストレスゼロコールが起こりそうだ

 

、、、って

 

どないやねーーーん!

 

ストレスゼロって言われたことを

どうにも引きずってしまい

突っ込みにもキレがない

 

動揺している僕をよそに

先生はブツブツ言いながら頭に針を刺す

 

「はい、腎臓腎臓、左、、、ダメ、右大丈夫です、3点、アレルギー、ありません、、、、、~点、、、大丈夫です、、、」

 

基本、何を言ってるのかよくわからない

 

「腎臓、左、ダメ、右、大丈夫」

左の腎臓はほとんど機能してない=ダメ

右=大丈夫

ってことなのか?

 

それなら正解だ

 

何点っていうのは、針の本数のことを言っているのだと思う

頭に刺しているから見えないし

本数の基準は全くわからないが

 

アレルギーありません、目大丈夫、更年期大丈夫、、、」

とにかく早口で色々言いながら、プスプス針を刺していく

 

ちなみに僕は

鼻炎持ちだし、花粉症だし、金属アレルギーだし、埃とか毛とかもダメだ

 

もちろん

 

 

そんなこと言える空気ではない

 

 

1,200

 

「通常の状態は1,000、それが中林さんは癌が全身回ってるせいで2,000だった」

「治療して、ストレスゼロのおかげで、今1,200まで戻った、よかった」

「あと1回、あと1回で癌消えちゃうよ」

 

、、、

、、、

、、、な、何を言っているんだこの爺さんは、、、

 

「次の入院はいつ?」

 

「え、、来週の月曜です」

 

「来週の月曜!?もうスグじゃない!じゃあ、、、明日か明後日来れる?

「それで癌なくなっちゃうから」

「病院もビックリだよ」

 

正直、この爺さん大丈夫かよ、、、

って感じなのだが

 

診察のスタートから

膀胱を取ったのも

癌が残ってるのも

先に言われ

衝撃を受けたのも事実

 

しかも本当に癌が消えるなら

それほど最高なことはない

 

親友家族も

「送ってあげられないけど、電車ででも来た方がいい」

そう言ってくれる

 

こりゃ

答えは決まってるだろ

 

「明後日、来ます」

 

 

脳貧血

 

親友の奥さんに交代する

 

ちなみに

僕の頭には、まだ針が刺さったままになっている

 

先生曰く

「1,2,3,4~10,11,12,13~18,19,20までいって、20,19,18~12,11,10~4.3.2.1、0にならないと抜けないから」

「早く抜いても遅く抜いてもダメ、遅くなんて抜いたら脳貧血で倒れちゃう」

「抜く時は合図して、はいこっちに来てって言いますから」

 

やはり

もはや仙人の類である

さっぱり意味がわからない

 

そうなると

 

先生の後頭部に刺さったままになっている針は

脳貧血にならないのだろうか

 

ワザとなのか

 

くそ

東洋医学

奥が深いぜ

 

 

抜針

 

「アレルギー、ありますあります、2点、腎臓、疲れてます、3点、、、、、、、」

 

相変わらずの早口が

奥さん

お母さん

と続き

 

自分では見えないが、僕の後の2人を見る限り

たぶん僕の頭にも20本くらいは刺さっているのだろう

 

施術を終えたお母さんが

頭の針達をビヨンビヨンさせながら

こっちに戻ってくる

 

最後に親友の順番

 

と思いきや

 

「1から10、10から17,18,19,20」

「はい、20から戻ります!20,19,18,17,,,,,10,9,8,7,6,5,」

「はい、5です!5,4,3,2,1」

「はい中林さんこっち来て!」

 

、、、なになになに!?

 

突然呼ばれてベッドの端に座る

 

「0になったんで抜きます!」

 

そう言いながら僕の頭の針をどんどん抜いていく

 

「どうです、楽になったでしょう!」

 

針を抜き終えた先生が

満面の笑みで僕にそう言う

 

 

、、、まったくわかんねぇーーーーーーーー!!!


つづき