ギターチューニングが合わない原因と対処法

みんな今日も元気にギター練習していますか?笑。今年から始めてみたこのブログでも基礎的な事は概ねさらったかなあと思っていた矢先、大変重大な事を見過ごしていた事に気づきました!。標準的な指板の音名などに関しては「ギター指板とチューニング基準音の覚え方」でも触れましたが、今回は弦楽器で最も重要なチューニングに関して。特にギターやベース等の弦楽器はチューニングが狂いやすくピッチが合いにくいアナログ楽器の代表格と言えますので、頻繁に確認や調整が必要です。弾き始める直前は当然、暫く弾いたら時々確認するくらい慎重でいて欲しい処です。音がズレたままトレーニングを続けると音感までズレてイメージがぼやけてしまい、音の響きに鈍い音痴感覚になってしまいますよ。そんなもん、ギタリスト以前にミュージシャンとして致命傷です。

てことで早速、ギターチューニングの狂いに関してよくある不具合とその主な対処法などをまとめます。



オクターブチューニングは必須

十二平均律であるギターは厳密にいえばそもそも僅か(1/100程度)ずつ音程がズレていると言えるのですが、中間点でのオクターブチューニングを合わせる事で初めてその誤差を最小限に保つことができます。読んで字の通り、ブリッジサドルからナット間のちょうど真ん中、インレイ(ポジションマーク)が2つある(事が多い)12フレットでの1オクターブ上のチューニングです。弦を押さえない開放弦でバッチリ合っていても、中心点が12フレット部と合っていないと全てのフレットで少しずつ音の狂いが大きくなっていく状態になってしまいますので、それぞれ全ての弦で0Fと12Fで同じ音が出るよう調整します。


オクターブは12Fで調整

ギターのタイプにもよりますが、多くはブリッジ部のサドルやパーツ部分をネジなどで前後させる事で各弦毎に調整します。下の写真のような階段状の配置になるパターンが多いと思います。ハーモニクス音で確認する方法もありますが、個人的には極力実際の演奏発音で合わせたいので、最終的には12フレットを実際に押さえ鳴らして合わせる事が多いです。


エレキギターのブリッジ部分

一度合わせればオクターブはそれほど頻繁に確認しなくても良いですが、弦高を変えたりトラスロッドを回したりしたら再調整は必須。弦の種類を変えたり、トレモロまわりのバランスを調整したり、一度ネックを外したりしても念のため再確認しよう。

(※弦高調整でビビリ音と弾き易さが激変する話もご参考に。)

ブリッジサドルの幅などパーツの調整可能範囲に収まらないほど合わない場合、開放位置であるナットの状態やネックの反り具合など別のどこかの何かが異常を起こしているサインですので、更に総合的な診断が必要です。



ローポジションだけ音程が合わない症状

開放もオクターブも調弦して概ね合っているのに、特に1~2フレット辺りのローポジションだけ音程がシャープ♯してしまうケースがあります。太い巻弦側で現れる事が多いこの状態の原因の多くは、ナット溝が高すぎたりリリース向きが適正でなかったりする事に因るものです。例えばゲージの太い弦に変えたことで正しく溝に収まらなくなってしまったりしても発現します。弦をフレットに押さえつけた時に生じる角度で張力や長さが変化し音がズレてしまう現象です。


ギターのナット部分

経験値的にですが、程度の差はあれ、ローポジで音がシャープ♯する癖のある個体が意外と結構ある感覚。廉価なブランドや低価格なタイプほどこの個体差が激しくなる印象なので、購入時は必ず実物を試奏でチェックするポイントです。また、特定の弦だけが狂いやすい症状の場合もまずナット溝やブリッジサドルの状態を疑います。


ナット部分の高さと角度

ブリッジまわりならある程度調整可能ですが、ナットに原因がある場合、溝等を削って適正値に整える必要があるわけですが、極僅か微妙な削り具合で音色も適正に鳴らなくなるどころか、下手をすると削りすぎ低くなりすぎてナット交換が必要になってしまう事さえあり、通常素人ができる作業ではありませんので潔くプロのリペアマンに修理をお願いしましょう。応急処置的な方法ですが、ペグポストへの巻き付け回数を調節すれば症状を多少緩和させる事は可能で、シャープ♯してしまう場合はポストに巻く回数を1~2周に抑え侵入角を浅くすると良いでしょう。

最も一般的と言えるニッケルシルバー製フレットの場合、摩擦や振動で削れて徐々にフレット高が低くなってくるものですので症状が出ている場合は悪化の一途で放置しても自然に改善することはありませんので早々に改善する事をお勧めします。またネックの反りやねじれ具合が影響している場合も少なくありませんのでネックの状態も常に極力正常を保つよう心掛けよう。

(※ギターはネックが命(反りねじれの直し方編)はこちら。)



弦の巻き方や劣化によるチューニングの狂い

弦を張る際ペグに適正に巻かれていないと音程も安定しません。重なったりぐちゃぐちゃに入れ違ったりしないよう上から下に向かって適正回数巻き付けよう。(機種によって差がある場合がありますが通常2~3周程度が目安です。)ちなみに、リハスタ等でのリース楽器でもバイト店員君の弦交換スキルによっては正しく巻かれていない場合もあるのでご注意を苦笑(リハスタのレンタル楽器の状態に物思う)。また、弦の張りたては伸びしろが大きいためある程度伸ばしながら数度調弦を繰り返しますが、弦が劣化してきた場合も弦全体の滑りが悪くなったり柔軟性が落ちたり巻き癖やブリッジでの折れ癖が付いたりするためチューニングが狂いやすくなりますので、先述のオクターブ調整などは新品弦交換直後を基準に合わせるようにしましょう。


著しく劣化したニッケル弦

徐々に進行する不具合なので気付き難い部分ですが、弦の消耗品たる所以でもありますので確実に進行し発生する仕方のない要素です。各々の価値観次第ではありますが、弾き心地や触り心地が悪くなったり、部分的に激しく変色したりしていたら交換目安かと。高級な弦を我慢して長く使うくらいなら安めの弦を頻繁に変えた方が良いかと。

(※エレキギター激安弦比較レビューしています。)

しかしこうして見るとフレットかなり削れてますね苦笑。ちなみにこのくらいイッたらぼちぼちフレット打ち直し検討時期です。



ペグの汚れや劣化

弦を巻き付けるギターヘッド部のペグが汚れでスムーズに回らなくなったり、内部のネジ溝や歯車等が劣化しかみ合わせが悪くなったりしてもチューニングが狂いやすくなります。金属劣化を防止する意味でも、ペグ部分は常に綺麗に保つよう心掛けよう。


ヘッドから取り外したペグ

弦交換時にさっとカラ拭きするのはもちろん、あまりメンテしていない期間が長い場合など、ペグが取り外せるようなら内部まで清掃してみましょう。意外と隙間に埃や油汚れが溜まっていたりします。内部の歯車が削れ遊びが大きくなってしまったり、噛み合わせが悪くなってしまったら、少々値は張りますがペグ交換を検討するのも効果的な改善方法です。

(※ギターパーツ金属メッキくすみとり磨くZもご参考に。)



ナット溝の滑りにくさ

ギターヘッド側の解放0フレット部分、弦を溝にのせているナット部分が汚れるなどで著しく溝の滑りが極端に悪くなってもチューニングが安定しなくなります。


ギターナット部分

汚れの原因は弦からの付着物であったり、オイルやスプレー等の拭き残しだったりと様々考えられますが、あまり気にして硬く尖ったもので溝をゴリゴリ拭くのはナット溝を傷つける恐れがあるのでおすすめしません。どうしても拭き取りたい場合は、シャープペンシルの芯や爪楊枝、糸で歯のフロス掃除のようにするなど極力柔らかいもので優しく掃除しよう。



弦のボールエンド(留金)不具合

それほど頻発する現象ではありませんが、特に1~3のプレーン弦等で時々弦のボールエンド(留金)部分が緩み始める事があります。こうなると、弦を弾いたりチョーキングしたりと少しテンションをかけるだけでどんどん音程が下がり続け、限界突破すると留金が外れます。これは完全に製品精度の問題なので防止や回避は不可能。不運にもハズレを引いたと諦めて弦交換しましょう苦笑。

緩みが徐々に進行するケースもあれば、「ギタリスト共感あるある:弦交換して半日でボールエンドが外れる程度の絶望感」のように何かのきっかけから突然一気呵成にはじけ飛ぶケースもあります。ちなみにぼくはダダリオ弦でも交換当日から1弦がズルズル緩んでしまった事もあるのでもう本当に交通事故みたいなものかと。



チューナーの精度は高性能なほど良いか

に関しては様々なご意見がありそうですが、個人的意見としては、一般的にギター用チューナーとして売られている物であれば安価でも必要最低限の精度は保たれているように感じます。電子系楽器と違いギターは押弦する指の力加減や気温の変化でさえ簡単に音程が変わるアナログ構造の楽器ですので、ピッチ精度が高すぎても扱い辛くなるだけであまり意味がないかも。こまめに確認する事の方がずっと大切かと。あとは反応速度や視認性能の部分でご自身に必要なものをチョイス。ちなみに「最小サイズ級Fenderクリップチューナーの使い心地は…」で紹介のフェンダーチューナーやすくてちっさくてかっこよいのでおすすめですよ♪。


ギター用クリップチューナー

ただし、クリップチューナーはヘッドで弦振動を検知する仕様なので、大きな音が近くで鳴っている環境等では正常に動作しない場合がありますので、ライブなどではラインで繋いで足元でも見やすい発光タイプのチューナーを用意した方が安心でしょう。



チューニングヘルツはA=440Hzが世界標準

それほど神経質に意識しなくても良い部分かもしれませんが、知識として、現代ポピュラーミュージックシーンでのチューニング基準は世界共通でA=440Hzです。1953年世界標準化機構(ISO)で定められた国際標準ピッチ。チューナーはもちろん、シンセサイザーやエレピなどの電子楽器も初期設定では原則こうなっています。古くからある生ピアノや管楽器などではA=442Hzを基準にする事が多いため、オーケストラなどのクラシックシーンや、グランドピアノ等とライブセッションするジャズシーンなどでは調弦が容易な弦楽器がA=442Hzに合わせるのが慣例だったりしますが、わずかな誤差範囲だしあまり問題にならない程度ちゃあそれはまあそうかも。不具合とか劣化とかではなくそもそもの基準の話ですので違和感を感じたら確認を笑。

また人間の耳を含め、自然界的にはA=432Hzが理想だとする説もあり、そういう議論や表現手法もあります。



NAC#'s Sharp Point.

どんなに格好良いフレーズでも、綺麗なコードを鳴らしても、早く正確に弾けても、前提そもそもチューニングピッチが狂っていたら全て不快な音でしかなくなってしまうわけですから、なにはさておき調弦には気を使って欲しい超重要な基本要素。音階を判断する絶対音感は持って生まれた才能かもしれませんが、音程を認識する相対音感はトレーニングで身につくバランス感覚のようなものですから、ぜひ随時マメにチューニングする癖をつけよう!

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