10年前の激安マルチエフェクターZOOM-G1uでの音作りレビュー

待ち合わせでお相手が少々遅れるとの事だったので、漠然と周辺検索すると中古楽器店を発見。時間潰しに覘いてみると、昔見たことがある懐かしいマルチエフェクターZOOMのG1uがなんと


税別2900円と!


隣にあったもう少し昔のG1(グレー)も同プライスだったから本来もっと高い値段のはず。店主の値付け間違いか、ただの色違いと勘違いしたか、面倒くさくてもうどうでもよくなっちゃったか笑、いずれにせよ激安でお買い得なのは間違いないと思い、動作確認だけしてノリで買っちゃいました♪。のでさっそく音作りテストと、実戦で使えるか否かの使用感レビューを。


激安マルチエフェクター


ZOOM G1u とは

2009年ズーム社よりパイロット版プレリリースされた本格流通約10年前のマルチエフェクター。この頃から増え始めたライン直録音のニーズに応え、パソコンとのUSB接続やアンプシミュレーター内蔵、オーディオインターフェース機能や各ソフト同梱など、今では当たり前の機能を一通り搭載した世代交代機。チューナーももちろんリズムマシンやルーパーも搭載。

ですが、

ぼくは一度見かけただけで実際に使ったことはなかったので今回が初の実機サウンドチェックです。


USB接続可能のG1u


筐体外観

デザインは癖の強めなレトロ系?で、デジタル表記二桁のみの船舶小窓風ディスプレイが時代を感じさせます。サイズはストンプ型コンパクトエフェクターの約2個分とマルチにしてはかなり小ぶりでかつプラスチッキーな造りのため高級感は皆無(失礼)ですが、その分軽量なのでまじでアウターのポケットで運べそうです。無駄にゴツくて重い機材よりこっちのコンセプトの方が実用的で好み。


zoom g1u


スイッチ類と操作性

御覧の通り超シンプルで、フットスイッチはアップダウンの2つだけ。なので、音色バンクの足操作は不可能(指では可能)で、離れたメモリーに変えたい場合はめっちゃ回数踏むハメになります苦笑が、一応(次の音色を選択しておき切り替えスタンバイする)プリセレクトモードもあるのでなんとかなるかも。各エフェクター操作を切り替えるモジュールセレクターノブ(左上)と、数値等を変えるバリューノブ(右上)、その他数個の小ボタンが付くのみ。基本的な操作は直感的に行えます。一部、フットスイッチ2個同時押しなどの裏技的特殊操作もあるので取説は要チェック。ちなみに電源アダプターは別売りですが、単三電池4本で10時間駆動でUSB給電も可能。


プリセットパッチサウンドチェック

早速元々入っているデフォルトのプリセットサウンドパッチを一通り鳴らしてみました。G1uはプリセット音色100種類と、エディット用100枠で、計200音色保存できます。ま、実際そんなに使った事ないけど、本機の足でのバンク(ページ切り替え)操作不可を考慮すると、曲に応じてパッチ順を並べ替えてのパッケージが必要になる事もあるだろうから保存枠が多いに越したことはないか。


G1uプリセットパッチリスト

音色的にはけっこうド派手でハード目なギャン歪みが多い印象でしたが、あれこれ作り込むのが面倒な人でもそれぽいご希望の音が探せそうではある豊富なラインナップ。まあこーいうのはこんな事出来ますよっていうデモンストレーションやヒントでもあるからご希望に近い音をチョイスして楽器に応じて自分好みに微調整とかでも良いはず。


サウンドエディットレビュー

基本的なエフェクトタイプは概ね搭載していると考えていいですし、最も趣向が分かれる歪み系エフェクトに至っては29種類も入っているので十分すぎるバリエーションですが、個人的にはディストーションよりクランチやオーバードライブ派なのでそっちをもっと充実させて欲しかった処。あとはコンプレッサーが一択なのと、アンシミュが「コンボ」「ブライトコンボ」「スタック」の3種しかないのも少々我慢のウィークポイント。イコライザーも基本3帯域「ロー」「ミドル」「ハイ」調整のみと最小限。その他は概ね過不足なく及第点か。

最大7種同時使用可能のエフェクト個々のパラメーター項目や調整値は大雑把ではあるものの、逆に言えばビギナーにとっては効率的ではあるし、クオリティも概ね問題ないレベル。アコースティックギターシミュレーターも良好。歪みカテゴリーに入っている「Z CLEAN」は音痩せを改善し芯をだしつつバランスも整えてくれてるのでクリーンサウンドで重宝。

ただ、やはり緻密な設定にこだわると若干の物足りなさは感じるし、モジュレーション系の重ねがけ演出ができないのも辛い処。このあたりは品質精度とか味付け風味というより情報処理能力(プロセッサー)による限界か。あと、空間系に強いイメージのズームにしては反響物の出来が少々粗い印象と、独自のノイズゲート「ZNR」の効き具合も微調整難しくイマイチで歪みが悪くないだけに惜しい点。


NAC#'s Sharp Review Summary.

まとめると、取り敢えず色んな種類の歪みのニュアンスを試してみたい方や、実戦はハイゲインディストーション中心で音色バリエーションをそれほど求めないロッカー、あるいは逆に、ギターの音色はシンプルめな薄化粧だけでいいよって方にはこれで事足りるかもしれない。複雑な空間系の再現が難しいなど求める音色に限りはありますが、最低限の素直なサウンドはこの一台で構築できるのでスタジオ練習やライトなリハーサル程度なら問題なく使えそう。

ただし、ライブ本番などでの操作性となると物理的にフットスイッチが2個しかないため曲中の音色切り替え操作が複雑で頻繁なタイプのギタリストにはかなり苦労やストレスはありそう。このあたりはまあ慣れればもしかしたら器用に使いこなせるのかもしれませんが苦笑。

外部入力端子もないので音源とのミックスは別機材が必要(※PC接続等できれば可能)なのと、部分的にお気に入りのエフェクターを挿入するセンド&リターンもないので基本的にこのマルチだけで音作りを全て完結させる必要アリ(※直前のコンプや直後のリバーブやボリュームペダル等なら繋げそうだけど)。もしくは、一部分的にシステムボードに組み込んで使用するか。ドンカマの音質クオリティも今となってはイマイチだし、最長約5秒のルーパーもおまけ程度とお考えを。

そんなことで、現在の中古市場価格想定で考えると驚異的コスパな10年前の激安極軽マルチ ZOOM G1usb  は、ベーシックなサウンドなら一台で一通りこなせるプチプラユーティリティ選手。とりあえずエフェクターの性能を学びたい人や、操作も簡単なのでマルチに不慣れな人でも一度お試し頂く価値あるかも。機材持ち運びもセッティングもめちゃくちゃ楽ちんよ。ワウやマスターボリューム操作が足で可能になるフットペダル付きモデルも存在するので欲しい方は中古通販や個人売買サイトなどで探してみてね。


手のひらサイズのzoom-g1u

ちなみに ZOOM G5n & G1X FOUR で音作りの幅と操作性向上したレビューはまた後日。