最初、いまいちかな、と思った。
まず時代が古い。
レコード聴いてるし、登場人物のファッションもださい。
そして、主人公はお世辞にもかっこいいとは言えない。おなかはでっぷりと出ているし、残った髪を持ってくることではげ頭を誤魔化している。
しかも詐欺師。
好感を持つはずはない設定だが、映画を見ているうちにいつの間にか好きになっている。 ヒロインもコンプレックスの固まりで夜の商売をやっていたり、正統派ヒロインではないのに、やっぱり魅力的だ。
なぜだろう?
実は前半の時点で主人公もヒロインもモノローグで自らの半生を語っているのだ。その手法もあまりスマートではないと思ったのだが、二人の人物像を短時間で知ることができて、効果的に感情移入できる。
二人は出会い、愛し合い、詐欺のパートナーになる。
危険な関係であり、危険な状況だ。それが余計に感情移入を促す。
悪いことは続かないもので、ヒロインはFBIに捕まってしまい、彼女を人質に取られた主人公は仕方なく犯罪者の摘発に協力することになる。
で、その相手が大人気の市長。ものすごい良いやつ。まだ何も悪いことをしていないのだが、経済の活性化のためにカジノ作りの資金を必要としていた。そこで、その市長をだまして金を渡し、受け取ったところで捕まえてしまおうというのがFBIの作戦だ。
ひどい。それこそ詐欺だ。悪いことにしてないのに、悪いことをするように仕向けるのだから、たちが悪い。
先にも書いたがすごい良いやつなので、主人公は市長に真の友情を感じてしまうのだ。だが、だまさなければならない。そこでまた葛藤が生まれる。
FBIは欲を出し、市長だけでなく、市長以外にもカジノ関係で金を受け取らせて捕まえてやろうと画策、さらにはマフィアまではめようとする。
そのマフィアによって、主人公とその周辺人物は命の危険にさらされる。
主人公は最後、賄賂を受け取り逮捕確定の市長に、自分が詐欺を働いていたことを打ち明ける。
そして、絶対に助けると約束するのだ。
でも、無理だ!
だって、市長は金を受け取ったし、カジノのためにすべて使ってしまった。その証拠をFBIは握っている。
どうやって助けるんだ?
と、その方法とその結末を期待すると、意外と肩すかしを食らうが、全体を通して素晴らしい傑作だった。
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