「再就職支援」の罠にハマったか…プロ野球ならトライアウト
新型コロナウイルスのパンデミック化で、東京オリンピックが延期になりそうな気配。中止よりマシという声もあるが、うちの会社にはオリンピック後にまとめて取得する休みだけを楽しみにオーバーワークを重ねている者が大勢いる。ゴールが先に延びることで心が折れるんじゃないかと心配だ。
昨日出勤すると、人事からメールが来ていた。会社が費用を持つ再就職支援会社の面談を受けてくださいとのことだった。手回しの良いことに午後にアポが入れられていた。こうやって現場から徐々に戦力外として排除されていくのだな。
会社から徒歩圏内にあるビルの一室に赴く。個人面談だった。面談する同年代の女性は、オイラと同じ業界からこの会社に転職したとのこと。
まず、再就職支援会社というものについてレクチャーを受け、その成り立ちと役割を知る。転職エージェントと変わりないと思っていたよ。
転職エージェントとは違う
クライアントは我々個人ではなく、リストラした会社となる。なので、会社が送り込んできたリストラ社員を一人でも多く再就職させることがタスクとなる。
期間は最長一年間。数字を上げるため、最後には「どこでもいいから押し込んでおけ」との発想になりかねないな。
テレビCMでよく見かける転職エージェントとは、似ているようでまったく異なる。
一番違うのは収益のあげ方だ。転職エージェントは、人材を紹介した見返りに新たな就職先からお金をもらう。再就職支援会社はリストラ先からお金が出ているので、新たな就職先からもらうことはない。
面談の女性は、再就職支援会社の強みのように説明しているが、弱みにもなるのではないか? 疑問が湧く。
再就職支援=リストラ社員
求人側からすると、再就職支援会社を通して採用すれば、一見お得な気がするが、そこには他で解雇されたリストラ社員しか存在しない。会社にいながら自発的に転職活動をする人間の方が優秀に思えるので、オイラが採用担当なら多少出費してでも転職エージェントを使うだろう。ただより高いものはない。
再就職支援=崖っぷち社員のレッテル貼りもありそうだ。採用側が受ける印象として、プロ野球に例えるならFAとトライアウトくらいの差があるのではないか。
足元も見られそう。給料をはじめ、今の待遇を上回る再就職先を見つけるのは困難を極めそうだ。暗澹たる気持ちになる。
面談の女性は「受かりやすい履歴書の作り方や面接の受け方を指導します」と話すが、なんだかなぁ、そんなもんかいな。気休めにもならん。あまりあてにしちゃいけなさそうだ。早まったか。
「質問はございませんか?」。オイラがこんなことを考えているとも知らずに、面談の女性が笑顔を向けてくる。ため息が出そうになるのを必死でこらえ、お礼を述べて早々に引き揚げてきた。
会社に戻ると、同じ職場のお姉さんから「辞めるんですか? 裏切られた!」と苦情が来た。ずっと以前、雑談で早期退職を申請する気はない旨を話していたかもしれない。
お姉さんには少し前に別の会社を早期退職したご主人がいるのだが、すっかり引きこもってしまい、お姉さん自身は「辞めるに辞められない」とこぼしていた。知らんがな。こちらは辞めるにあたって新たな悩みが出てきたのだ。構っていられないよ。
それにしても、自分の懐は痛まないうえに再就職を支援してくれると聞いて、よくよく考えずに申し込んじゃったけど、こんな落とし穴があるとは。退職金割り増しがあるとはいえ、人生トータルで考えてもマイナスになりかねない。
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