今日は、少し遅く家を出たので、給食の時間には間に合わなかった。

残念だけれど、仕方がない!

教室に入ると、15歳の彼女が私に帰りに相談したいことがあるんだけれど、といわれて何の疑いも持たずに了解した。

 

授業も終わり、教室の外に出た私たちは学校の庭にあるベンチに座って話を聴くことにした。

 

「なんだって! !」16歳の友達が家出をしてしまい行くところがないので一晩でも泊まれるところを探しているという。彼女にあなたのところには泊まらせてあげなかったの?というと、もう、数日泊まったから家はもうだめなの! (彼女をこれからしーこと呼ぶことにする)しーこは拝むような仕草をしながら、お願いします!と頭を立てに振るだけだ!

ここで、同情したのが悪かった! じゃ!一晩だけならいいよー

 

 

学校の門を出ると、その家出少女はもうすでに来ていた。

しーこが家出娘に先輩ね!一晩だけならいいってよ!良かったね。御礼を言いなさい!そう言われて家出娘は、私に向かって「どうぞよろしくお願い致します」といってきた。その家出娘は、高校には行かず、働いてもいない。仕方ない!  年上として、一晩だけは泊めてあげよう。変な不審者にあったら、それこそたいへんなのだから、私が手を差し伸べるしかないのだ。

 

しーこと別れて、家出娘と家路に向かった。母にも上手く説得しなければならないだろう!

 

自宅に着くと、母は起きていたので行くところがない16歳の少女なのよ。というと、母も可哀相に思ったのか、どうぞ泊まっていいですよと言ってくれた。

 

二人で2階に上がり、私の部屋8畳でひとつの布団で二人で寝ることにした。何で、家出したの?なんて聴くほど15~16歳にとって嫌な質問はないのだ。だから、私も大人がいうような質問をすることはヤメにした。

 

この家出娘にいつまで家出を続けるの?と聴くと、あまりはっきりとした答えは特にいわなかった。

 

私も辿った体験から見ても、親などが理由で家出を続けているのならば、いづれは親との関係をはっきりとさせること。もし、家出はしているけれど、親のことは関係なく自立していきたいと思っているのならば、働いちゃった方が早いと思うと助言した。

 

彼女の場合は、親のこともあるが自分で自立した生き方をしたいという気持ちがとても強かった。そうか!じゃ、明日でも働き口を探しに行こう、私も付き合うから。ということで、話は決まった。

タイミングよく、明日は夜学は休みだった!

 

翌朝、コーヒーとパンの朝食にして、応接間で3人で食べた。

午前11時位になってから、家出娘と私は出掛けた。彼女は自分の自宅近辺では仕事はしたくない!という。場所は何処がいいの?と聴くと、私の住んでいる界隈で働きたいというのだ。住み込みならいいけれど、通いだったら我が家から通うってこと?! そこをはっきりして置かないと、物凄く面倒なことになってしまう!

 

しかし、家出娘の要望もあると思うので、我が家の近隣の商店街に行って、どういう仕事をしてみたいか商店街を一軒一軒よく見るといいとアドバイスをした。

結局、家出娘はスーパーや魚屋、八百屋などにはなんの興味を示さない。スーパーだって、裏の仕事があるから恥ずかしいことはないと思うと、言ってはみたがダメそうだった。

 

 

駅前に喫茶店があるので、二人でそこで休憩する。家出娘は、喫茶店のようなちょっと華やかな仕事が好きらしい。この店は、残念ながら募集はしていなかった。喫茶で遅めのランチを食べてから、今日は取敢えず、帰りましょうということになった。

彼女の現金は、数千円しかないのでランチ代を出させると持ち金がさらに減ってしまうので、仕方がない!私が支払った。私が支払ったといっても、私も働いていないから母からもらったお金なのだ。

 

喫茶店を出て、帰り道に差し掛かろうとすると、一軒の店が看板を表に出して、掃除をしていた。まだ、始まっていないお店のようだった。あ! こんなところにスナックがあったとは知らなかった。

 

 

6時開店らしく、もう、夕方だからお店の掃除くらいはやり始めているのだろうと思いながら、去って行こうとすると、彼女は「ここが開店したら、店を見てみたい」とのたまうのだ! お前!何考えてんだ!バカ野郎!と、怒鳴りたくなった。

 

 

彼女はどうしてもこのお店が開店したところを見たいというので、仕方なく私もそのお店が開店するのを待つことにした。

今、想えば、家出娘から完全に手を引くことができたはずだ。取りあえず、一晩泊まらせてはあげたのだから!

 

 

 

れ以上、何でこんな家出娘に拘るのか?拘るというよりは、心配だったというのが本音なのだ。