とうとう、運転免許の学科試験日が来てしまった。

そう慌てることもないだろう! 今回は、教科書を徹底的に勉強したのでなんとかなるかもしれない! そう思って支度をして、遠距離の水戸駅まで出掛けていく。

 

 

前回と同じような手続きをして、受験時間まで待機していた。

今回の問題は、思った通り教科書から出題されていて引っ掛け問題もかなりある。その手には乗るか!と、よく問題を読んでマルとバツをつけていく。試験時間の終了時間までには書き終わり、再度見直しをしているという余裕もあった。恐らく、100点だと思う!自信があった!

 

 

その後、黒板に合格者の番号が出始める。私の番号は当然!あった!

やあ! 良かった! これ以上水戸駅まで通うのも嫌だったから合格できてよかった!と喜んでいた私だったが、翔はまた不合格だった。

 

 

翔に勉強はちゃんとやっていたよね!と、意地悪く聴いてみると、私に負けたことで、かなりショックを受けているようだった。

 

普通だったら、1回目の試験問題を見れば、出題される問題の傾向は読み取れるはずだと思う。再再試験とはたいへんだな!とひとごとのように思っていた。

 

 

当時は、学科試験に合格しても当日に運転免許証はもらうことができなかった。数日後に郵送されることになっていた。

 

それから、翔はまだ私の家で寝泊まりをして、夜はスナックに来るという生活をしていた。

 

学科試験が近くなると、私も一緒に来てもらいたいと懇願されてしまったので、翔の試験だけのために水戸まで行かなければならなかった。

 

 

ところが、驚いたことに翔は一向に試験に合格することができない。

ちょうど、翔の学科試験が15回目に不合格となってから私は相当に腹が立っていた。翔にちゃんと勉強しているの?!15回も落ちるなんて異常だと思わない!と、怒りを込めた剣幕で言い続けた。

 

 

とにかく、我が家でこれ以上寝泊まりするのは止めてもらうことにした。それから、これからは翔と一緒に試験場まで行くつもりはない!とはっきりと伝えた。私は15回も一緒に翔の試験だけのために早起きして行っていたけれど、もう我慢ができない!翔に自宅に帰って、自分で試験場に行きなさい!と。

 

 

そういわれた翔は恥ずかしそうにわかった!と言って、自宅に帰って行った。それからも翔は学科試験に落ち続けていた。教習所の知り合いの女性に翔のように学科試験が何度も落ちるという前例はあるのか知りたかったので聴いてみた。

 

 

彼女は、教習所は卒業できても、肝心の学科試験が受からないという人は0,1%1000人に1人位はいるかもしれないと言っていた。

そういえば、私が始めて受験をした日から翔の試験のために15回は運転免許センターに行っていたが、そのときからずっと会う人が1人いたことを思い出した。その人は未だにいるらしいから、翔もその人と同じように学科試験を受け続けるのかもしれない!

 

 

学科試験の内容は、受験した日によって、とくに難しいときと比較的簡単なときもあるらしい。しかし、それにしたって15回も受けていれば要領というのがわかって来るはずだ!もしかしたら、翔は1000人の一人になるのかもしれない!

 

翔は高校は中退しているが、よく試験に受かって高校入学できたよな!と、ある意味で感心してしまっていた。

 

 

それから、翔は学科試験を何回受けに行ったのか知らないというか知りたくなかった!相当に頭が悪いということは証明されたわけだ!

 

 

果たして、翔は学科試験に受かることができるのだろうか?!