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Entrance for Studies in Finance

証券市場論Ⅱ

Online Open Course : Securities Markets Ⅱ〔公開講義 証券市場論Ⅱ]
 株式については証券市場論Ⅰで述べています ⇒ 「証券市場論Ⅰ」
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後期1回目 現状の理解
 後期は債券に入りますが、その前に前半の講義に接続する問題として、誰が株式を保有しているかを議論します。企業―銀行が互いに相手の株を持つことを持ち合いmutual holdingと言いますが、1990年代から2000年代にかけてこの株式持ち合いの解体が進みました。ただし現在この解体は小康状態にあります。他方、この間に逆に保有を高めたのは外国人です。
 注目される政策保有株の削減 三菱UFJ信託銀行2021/03
 わが国企業の株式持ち合い状況(2018 野村資本市場quarterly)
 1990年代以降 日本社会では株式持合いの合理性を疑う意見が高まりました。英米など、アングロサクソン系の国では企業は他社株を保有しない慣行があります(これは事業会社の目的に、株式投資が含まれないことが理由の一つですが、株式や企業についての考え方の違いを反映しているのではないでしょうか)。持合いの理由としては株式保有企業と出資関係をもつことで取引関係を安定させることがありますが、このことが必ずしも合理的といえないと主張されるようになりました。また持合いによって浮動株を減らすことで、企業買収を防ぐ面に対しても、批判が出てきました(買収を防ぐ面は、企業防衛という点で否定する必要はないと個人的には思いますが、株主に互いになることで、企業統治が結果として甘くなり、機能しなくなるリスクがあります。)。
 持合いについては、株式保有によって企業間の取引関係を安定化させる目的もあったと指摘されます。しかしこうした長期継続的取引が、本当に有利な取引かどうか。合理性を追求せずもたれあいになっているとの指摘もでてきました。さらに取引の固定は海外をはじめ外側の企業からすれば市場参入の壁に見えるなどの指摘が続きました。時価会計の導入もこの問題に影響しました。他方で、企業間で業務提携などの目的で、相手株を取得することは現在も見られます。これを政策保有株と呼んで置きます。
 2001年3月期から保有金融商品について(市場価格が存在するものは原則として)取得原価でなく時価会計で評価するように改められました。時価評価の詳細は以下の通りで、時価評価には幾つかの例外があります。
 保有証券の時価評価について(新日本有限責任監査法人)
投資目的保有の有価証券:原則通り期末時価評価 評価差額は当期損益へ
  満期目的保有の債券:時価でなく償還差益を上乗せした理論価格を計上
  子会社関連会社株:取得価格
  その他有価証券(長期的に売買の可能性):評価差額は純資産の部に計上
  (いわゆる「持合い株」:政策保有株は「その他有価証券」に入る)

後期第2回 統計資料についての説明

 以下を読んで別途指示される課題を提出してください。
 証券市場論資料(株式市場編)
 東証のシステムダウン in Note 
後期第2回課題ー統計数値と課題の発見
 紹介されている統計資料を読んで、気が付いた証券市場に関する問題について、論じてください(問題の立て方がわからない人は前期でやった証券市場の機能、役割の議論を思い起してください)。

後期第3回 債券論初回
 what is a bond 債券市場について in Note
後期第3回課題 以下に答えてください。
 債券と借用書の違いはなにか。
 国債、普通社債について、ある特定年度について、発行額、現存額に占めるそれぞれの比率を示せ。

後期第4回 債券論2回目  償還 債務 債券と株式 条件付き資本 利子論など
Equity and Bond
 流動性プレミアム仮説 純粋期待仮説 市場分断仮説(ニッセイ基礎研)
 自然利子率で考えるデフレ対策 20160805
 低金利によって日本経済は回復するか 2017
 低すぎる中立金利 2019
 先進国で金利が下がるのは先進国の成長率の低下を反映してその自然成長率が低下しているからだという主張があります。
後期第4回課題 (即答できないときは自分でも調べてください)。
 国債の信用格付けがその国の債券の中で最上位とされるのはなぜですか。
 あなたは金利をどのように説明しますか?
 日本の自然利子率はなぜ低下したと考えられているのか?

後期第5回 債券論3回目 金融政策 in Note
 債券取引 種類 目的 異次元(量的質的)金融緩和
 債券市場からみた日銀の金融政策 三菱信託銀行2017年7月

 当面の日銀の金融政策に3つの課題 木内登英 FITF2020年3月
    大原透 日銀の金融政策とETF購入~退路はあるのか 2020/05 
    財政ファイナンスがインフレにつながる可能性 2020年12月24日
後期第5回課題 以下について述べて下さい。

   現在の日銀の金融政策は何が問題なのですか?国債市場にとって何が問題で、日本経済にとっては何が問題か。現状を含めて説明してください。
 
後期第6回 債券論4回目 国債の信認 国債の保有者
 日本の国際収支推移
公債依存度の推移(総務省統計局) 国債発行計画(29年度)(財務省)
年金資産は414兆円で過去最高を更新 大和総研2021/03
後期第6回課題 以下の設問に答えなさい。
日本の国債の信認が崩れない理由は何ですか。
国債の信認が崩れるとどのようなこと起きると予想されますか。

後期第7回 債券論5回目
 市場構造の変化
 
   大原透 日銀の金融政策とETF購入~退路はあるのか 2020年5月
   注目される政策保有株の削減 三菱UFJ信託銀行2021/03
後期第7回課題 以下の設問に答えなさい。
 株式持合いが崩れた理由を説明しなさい。
 銀行が国債保有を減らした理由を説明しなさい。また銀行が国債に変えて保有を増やした有価証券はなにか。

後期第8回目 債券論6回目
公共債論 国債 財投債 財投機関債 政府保証債 地方債
(国債 財投債)(財務省)     政府保証債(iFinance)
 財投機関債 地方債(総務省) 地方債(財務省)
後期第8回課題
 政府保証債 財投債 財投機関債について説明しなさい。またこの3つのうち国債の一種に分類されるのはどれですか。

後期第9回目 債券論7回目
普通社債 金融債 円建て外債 仕組み債
仕組み債 in goo 仕組み債を投資家のニーズにこたえるという側面から説明しています。
 仕組み債資料(日本証券業協会) structured bonds 他社株転換社債 日経平均リンク債、ノックイン投信などが投資家側のリスクの面から紹介されています。
 債券は投資家の側から見れば、約束の期日に債務の支払いを受けることが原則です。それにいろいろな条件を付けているものがあります。
 期限前償還条項 期限前に償還する権利が発行者にあるもので投資家に不利です。
 トリガー条項、ノックイン条項 いずれも条項に定められた条件に達すると償還の条件が変更されるもので、投資家に不利になることが定められています。トリガーは早期償還になる場合をさしますが、ノックインはノックイン価格まで相場が下がると、下がった価格で償還されるものに限定的に使います。
 償還元本利子などの支払い条件条項 為替連動型、市場金利連動型などはその時の条件により有利になる場合、不利になる場合があります。
 なお債券の中で資本に近い性格を持たせたものが登場しています。一定の条件が発生すると、償還額等が減額されるなどの仕組みになっているものです。これも仕組み債だと言えますが、これについては、前期のハイブリッド証券のところで述べています。ここでは仕組み債の議論と分けて置きます。
 例 条件付き転換社債 ベイルイン条項付き劣等債
後期第9回課題
 投資家保護の開示規制が免除されるのはどのような場合ですか。
 EB債について説明してください。

後期第10回 ここまでのまとめ
 欧州で進むサステナブルファイナンス法制化 2020/12
 債券におけるESG投資について 三菱UFJ信託銀行2021/04
 気候変動とアセットマネージャー 三菱UFJ信託銀行2021/06
 EUの新たなサステナブルファイナンス戦略 野村総研2021秋
 気候変動対応オペとESG債投資 ニッセイ基礎研2021/10
後期第10回課題
 日本版金融ビッグバンとはどのような内容ですか。
 ESG債とはどのような内容ですか。

後期第11回 投資信託
 Morningstar funds ranking レビットの投資信託批判 in goo
 投資信託統計データ(投資信託協会)
 東証REIT指数(SBI証券) 不動産投信情報ポータル
 index funds (CFI) hedge fund (CFI) 投資信託の時価評価 会計処理
後期第11回課題
 アクティブ投信とインデックス投信の信託報酬の違いが生まれる理由について説明してください。
 インデックス投信がアクティブ投信より好ましい理由は、信託報酬の安さのほかに何が考えられますか。
 シャープレシオについて説明してください。

後期第12回 証券犯罪
insider trading(CFI)
後期第12回課題
 適合性原則に違反した行為の事例を挙げてください。
 相場操縦はなぜ規制されているのかについて説明してください。
 内部者取引はなぜ禁止されているのかについて説明してください。

後期第13回 最近の話題から
後期第13回課題 

 今回紹介した以下の4つのテーマから一つを選んで論じてください。
1)市場の再編 2)劣後債の発行増加 3)新株引受権の発行増加
4)SPACへの注目

参考 証券市場論2019年度後期試験問題

以下は未整理です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1975年 米国 メーデー(株式売買委託手数料固定制 廃止)
1980年 米国 貯蓄金融機関規制撤廃法
1986年 英国ビッグバン
1987年10月 ブラックマンデー
1988年 バーゼル合意(concordat コンコーダート):BIS一次規制(バーゼルワン)
1991年 湾岸戦争
1996年 BIS二次規制(バーゼルツー)
1997年 東アジア通貨・信用危機
1998年 日本版ビッグバン
2003年 VaR shock 金融機関のリスク管理の共通化 ①BISによる自己資本規制(銀行業務の競争の国際的な調整の側面); BIS二次規制(バーゼルツー)景気循環増幅効果(プロシクリカリテイprocyclicality)➡2004年のバーゼルⅡの問題点とされ バーゼルⅢで修正マクロプルーデンス政策):② VaRの活用:統計的手法で市場リスクの予想最大損失を算出するものだが、市場が大きく動く場合はこの手法は十分でない。1)ヒストリカルデータ十分でない 2)リスク分布の形状の想定に問題がある など  VaR shock 2003年に金融機関がVaR管理により大量に国債を売却 金利上昇が増幅したことを指す。
 2008年3月ベアスターンズBear Stearnsが資金繰りにゆきづまり 事実上破たん。政府保証のもとでJPモルガンに救済合併。
 2008年9月リーマンブラザースLehman Brothersが破産申請し、メリルリンチ はバンクオブアメリカに買収され AIGに政府は850億ドル規模の融資をして救済し実質国有化される
ドッドフランク法(2010年)=ボルカールールなど規制強化のながれ;トランプ政権の発足(2017年1月) バーゼル3規制について(2010提案 2018年度完全実施)   銀行同様にリスク変換機能を果たしながら、規制を受けない、シャドーバンク。これらがレバレッジの拡大(借り入れた証券を担保にさらに借入が増えるなど)というリスクを拡大した。またアンバンドリングunbundling unbundle(業務プロセスの専門分化)により自分のプロセスだけに関心 全体のリスクをだれもが把握できない状況が生まれた。参照 天谷知子『金融機能と金融規制』2012, 123-124、179-181ほか。

後期第1回
銀行等株式保有制限法リキャップCB;リキャップCBの罠(手島直樹 2016); 転換社債を第三者割当 入手した資金で市場で自社株買付  市場の浮動株を吸収して株式を第三者割り当てであるので買収防衛策の面あり。
後期第2回
後期第3回
順イールドの問題と似ているのが contango の問題。これは先物の価格が先になるほど高い現象を指す。昔はこれを倉庫料.保管コストの問題と考えたが、お金の運用の問題からも接近できる。逆になるのがbackwardation
後期第4回 債券取引と店頭市場リフレ派 ヘリコプターマネー論 MMTへの疑問(reuters 2019/09) MMT(読解と批判 富士通総研2019/07) MMTとは何か
後期第5回  国債の信認
後期第6回
法人税率の推移 法人課税の仕組み(財務省) 所得課税の国際比較(財務省)
後期第7回  債券の種類 社債
後期第8回  債券論 まとめ
劣後債 優先株などハイブリッドファインスの増加   カバードボンド
仕組み債
 後期第9回;;後期9回レジメ; メザニンファイナンスとプロジェクトファイナンス
為替相場の学説と日銀の金融政策
後期第10回  後期10回レジメ
後期第11 回 取引所 後期11回レジメ 
HFT ダークプール アルゴリズム取引
クロッシングとダークプール PTSについて
証券取引所の国際的再編
hedge funds and prime brokerage ヘッジファンドは上場株式や国債など伝統的投資に代わる代替投資の一つである。ヘッジファンドに対して証券会社が行う包括的サービスをプライムブローカレッジと呼ぶ。また証券会社が行う自己資金投資業務をプリシパルインベストメントと呼ぶ。ともに大手証券のビジネスの新たな形態として注目される。
hedge funds hedge funds ranking 2009
自己資金投資(principal investment)
年金債務 年金積立金の運用
政府系ファンド(SWFs)
後期第12回
後期第12回資料 取引所に関する諸問題
後期第13回レジメ 社債 At1債 新型劣後債 TLAC債 債券の新たな動向
後期第13回資料 収益構造(非公開) 
ラップ口座について 少額投資非課税制度NISAと個人型確定拠出年金制度iDeCo
portfolio management and derivatives
portfolio insurance
欧米の日本化 日本のギリシャ化
先進国の金融緩和政策と過剰流動性
volatility index(恐怖指数)
締め出し買収squeeze out and financial tunneling
occupy wall street 


 
 
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