4年生時代 その⑪ 自衛隊のお祭り

 私達の住んでいる町には自衛隊の駐屯地があり、毎年7月には、そこでお祭りが開かれます。自衛隊員の家族だけでなく、近隣の人達が大勢出掛けます。食べ物やおもちゃなどの屋台も沢山出るし、最後には大玉や仕掛けの花火もあって、なかなか楽しいお祭りなのです。昨年は夫と子リスと私の3人で行きましたが、今年は、R君とS君が、「一緒に行こうよ」と誘ってくれました。遅い時間までになるので、それぞれの親も一緒に、ということで、3組の親子で出掛けました。

 R君とS君は、以前紹介した通り、天真爛漫という言葉がぴったりの男の子で、小学生男子らしくはしゃいでいます。子リスは、「同じ様に喋る」ことはしませんが、顔を見ていると、「同じ様にはしゃいだ気分」でいることが伝わってきます。R君とS君の他愛ないやり取りを、ニコニコ(ニヤニヤ?)しながら見ていたり、ちょっかいを出されると声なしで笑ったり、たまには思わず「きゃあ」と声が出て、R君とS君を喜ばせたり、何とも微笑ましい様子でした。

 そういえば、くじ引きとおもちゃのお店の前を通りかかった時の事。
 ヘリウム入りの浮かぶ風船の束の下に、犬の風船(?)が売られていました。プラスチックの車がついていて、散歩させられるようになっています。
 近くにいた、同い年ぐらいの女の子が、「わぁ、かわいい」と言っています。
 そこへR君、S君、子リスの3人組。R君は犬風船を見つけると、

「あ、犬。やっつけようぜ」

 それに乗ってS君と子リスも、犬をパンチしたりキックしたりする真似をしながら、店の前を通り過ぎました。
 後ろを歩く母たちは、「なんで『やっつける』のよ…」
 いや、本当にどうして男子は、すぐに「やっつけ」ようとするのでしょうね?

 本人にとってはごく自然なことだったのでしょうが、子リスが、小学生の男の子らしい反応を見せてくれる時、私は何とも不思議で新鮮な、安堵にも似た気持ちがするのでした。自分で騒いだり叫んだり、ということはないけれど、みんなの中にいるだけでもいい。外からニコニコ見ているだけでもいい。とにかく、今しかない「小学生男子」時代を楽しんで欲しいなあ…と思ったものでした。

 気が付けばすっかり辺りは暗くなっていて、もうフィナーレの時間でした。子供達と母達、それぞれ3人で固まって芝生の上に座り、空から降って来そうな大玉や、ナイアガラなどの花火を見ました。そしてその後、それぞれの親子になって、「バイバーイ!」「また明日ねー!」、と名残惜しそうに手を振りながら、帰途につきました。

 帰りの車の中で子リスは、ずっと興奮冷めやらぬ様子で、お祭りでのあれこれの出来事を話してくれました。

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