夫も子供達も寝静まった頃

私は佐伯先輩にラインをした。

 

今日のドライブのことを

嬉しくてどうしても

報告したかったのだ。

 

「先輩、もう大丈夫だよね?

健太郎さんは女と別れたって

ことなんだよね?

これで私たち元に戻れるよね?」

 

しばらくして

佐伯先輩から返信が来た。

 

「こんなこと言いたくないんだけど

あんまり健太郎のこと信じないほうが

いいと思う」

 

「どうして?

今日のあの人は

すっかり元通りのあの人だったよ」

 

「不倫してる男はそうやって

時々奥さんの機嫌を取るんだよ。

どこかに連れて行ったり

何かを買って与えたり」

 

「私の機嫌を取る?

なんのために?」

 

「不倫を疑われて

嗅ぎまわられると面倒だから。

不倫するなら適当に

奥さんの機嫌も取っておけって

よく聞くよ」

 

「うそだ」

 

「たぶん、だれかに入れ知恵でも

されたんだろうな。

だから不倫は終わりなんかじゃ

無いと俺は思う」


うそでしょ。

そんなことってあるの?

今日の夫の態度はすべて

私を油断させるための

演技だったってこと?

全部嘘?

そんなはずない。

あの人はそんな人じゃない。

 

「俺の言っていることは

多分正しい。

俺も男だからわかる。

いいか麗子、油断するなよ」

 

佐伯の言葉に私は再び

絶望の闇へと叩き落とされるのだった。

 

もう息を吸うことも

吐くことも止めたい。

 

この世から

消えてなくなりたい。

 

 


案の定

翌日からまた夫の朝帰りは続いた。

 

何一つ終わってはいなかった。

私の地獄の日々がまた始まった。

 

 

 

 


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