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【コラム】テンバガー候補を見逃すな!大相場になる条件と仕組みを解説 ~浮動株と出来高~

今回は、株価が上昇して大相場を演じるために必要な「観測ポイント」を2つ説明します。そのポイントとは「浮動株の枯渇」と「出来高の増減」です。

浮動株と固定株

まずは浮動株から説明します。浮動株とは、一言で説明すると「発行株式数の内、特定の株主が定まっていない分の株」です。企業は何千万~場合によっては何億もの大量の株を発行し、それを誰かに買ってもらうことで資金を調達しています。多くの企業では、発行株式数の内の大半が特定の株主(役員や株主企業)に保有され、それらは頻繁に売買されることなく長期保有されています。経営権を握る目的などのためです。これを固定株と呼びます。

反対に、残りは特定の株主が定まっていない浮動株なのです。これが株式市場で自由に売買されています。つまり、我々が証券会社を通じて売買している株は浮動株です。

発行株式数に対し、その何パーセントが浮動株に該当するのか。これは浮動株率として四季報などに記載されています。浮動株率は5~20%くらいの企業が多いかな?我々が市場で売買している株数は、発行株式数から見ると、実は大した割合ではないのです。

浮動株は少ない方が良い

浮動株が少ないことは、大相場の条件の一つになります。銘柄に人気が出て買いが増えた場合、残り少ない株を奪い合うと株価が上がりやすくなるからです。希少価値の高いものに高い値段が付くのと同じことですね。小型の成長株がある日突然ストップ高を連発するのは、買うことの出来る株数が極端に少ない状態で奪い合いが始まるからです。このことから、浮動株数が少ない(減る)ことは大きな上昇相場になるための有利な条件となります。

浮動株の枯渇には時間がかかる

投資とは本来、長い時間を要する行為です。これは言い方を変えれば、浮動株が枯渇するまでに長い時間を要する、ということです。

たった数パーセントの浮動株率でも、金額にすると膨大です。だからまずは、資金力のある大口投資機関が現れてゆっくり株を買い集めて貰わなければなりません。機関が買い集める株数は数十万~数百万単位ですから、買い集めるにも相当な時間を要するのです。機関はお金があっても、一気に買い集めることはしません。自分の買いで株価が騰がり過ぎてしまうからです。だからまず、他の一般投資家に持ち株を売らせることから始まる場合も多々あります(先に空売りを浴びせ、一般投資家が投げ売りした株を機関自ら買う)。

また、買いの機関だけでなく「反対意見」を持つ機関の参入も大切です。つまり空売りを仕掛けてくる機関の存在です。先に買い集めている機関がこの空売りを吸収し、もう株価が下がらないようであればとても良い状態です。株価が下がらないと空売り機関は焦ります。空売り機関がついに敗北を認めて買い戻しが発生すると、それも株価上昇のエネルギーになります

買い戻す際に浮動株がもう残り少なかったらどうなるでしょうか?空売り機関はどんどん高値を掴まされても泣く泣く買い戻さなくてはなりません。高値を付けはじめた銘柄は市場では目立ちますから、ついでにイナゴ投資家が群がってきて更に奪い合いは加速します。

だから我々個人投資家は、最初に機関が買い集めている時に一緒に買い集め、ひたすら待つのです。買いの機関と売りの機関の闘いに前もって便乗する感覚です。時間の経過を待つにはとても強い精神力が必要です。特に景気が冷え込んで全体の雰囲気が悪い時期は、少し株価が騰がるとどんどん売り物が湧いてきます。みんな疑心暗鬼なんでしょうね。最近では2017年後半~2020年3月までがそのような苦しい時期でした。

投資家の握力は平均2年で限界

苦しい時期を乗り越えて何年も何ヶ月も前から安値で仕込んでいた投資家であっても、大相場が始まると最高値まで保有し続ける握力がある人はなかなか存在しません。待った時間が長いほど「ヤレヤレ」の利確売りが出てきます。株価がちゃんと騰がるならまだ良いのです。無風状態で2年も待たされると、大半の投資家は諦めて集めた株を売ってしまいます。

株価の成長に時間がかかることを、例を挙げて説明しましょう。

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このチャートは私が長年観察しているクロスキャットという銘柄のものです。まず、2016年6月の株価に大きな上髭が出ていることに注目してください。この6月に一旦株価は大きく噴き上がったものの、これまで地道に買い集めていた人が「ヤレヤレようやく騰がったか」と思って売ったのでしょう(直前に買い、短期で売り抜けた勘の鋭い人も一部いたとは思いますが)。

ここで売りの圧力が大きいとチャートは崩れてしまいますが、クロスキャットは500円あたりでしっかり買いが入ってきていたこともわかりますね。以前から持っていた投資家が手放しても、新たに参入した投資家が買った、ということです。この循環が進む銘柄は大相場の素質有りです。この循環が出来高を増やし、銘柄の注目度を更に上げていきます。

出来高=売買された株数

クロスキャットが①の大相場に至るまでの過程を観察してみましょう。2016年6月に795円という最高値をつけた時、890万2千株という大きな出来高を記録しています。出来高は売買された株数を示しています。つまり890万株もの売り買いがあった。もっと買いたいと思う人と、もう売りたいと思う人がメチャクチャたくさん存在した、ということです。そしてチャートが崩れなかったのは、売りたい人の売り物を買いたい人が全て吸収したからです。

高値になるほど、少ない出来高でも株価は騰がる

誰しも買った株を少しでも高く売りたいと思いますが、高値…つまり正しい売り時はプロでも絶対にわかりませんから、795円をつけた時に手放すのが正解だったかどうかは論じる価値がありません。正解は後付けじゃないとわからないのです。だから浮動株や出来高を観測し、予測の精度をあげることが大切だということです。

この例では2017年10月、つまり①の高値を付ける少し前にようやく答えがわかったのです。何故なら、この時は前回2016年6月の高値795円の1.85倍の1449円まで株価が吹き上がったのに、出来高は716万9千6百株で済んでいるからです。前回の高値を大きく越えているのに、前回より出来高が少ない点がポイントです。前回よりも売りたい人が少なく、取り引きは落ち着いていたのです。つまり、前回795円を付けた時に売りたい人は売ったし、買った人は十分買ったのです。長期で持っていたいと思う人(長期ホルダー)も増えたのでしょう。ということは、浮動株の固定化が更に進んだのです。その後も数カ月間は株価の強弱感が強く、更に循環が進んでホルダーがしっかり入れ替わっていますね。

クロスキャットの株価これに飽き足らず、2018年5月に更に少ない出来高420万7千5百株で株価は1740円を記録しました。特定の投資家に多くの浮動株が固定されればされるほど、売買の回数が減るので出来高は少なくなります。そして株価は簡単に上がりやすくなります。余計な売り物が出ないから、残り少ない株を奪い合っているからです。どんどん浮動株が枯渇してきた、ということですね。

ただし、全体相場が良くない時はお休み

さて、1740円を付けたその後は景気の悪い2018年に突入です。それに株価も大きく騰がり、移動平均線から大きく乖離してきていました。乖離が大きくなるとどうなるのでしょう?これはこちらのコラムで解説しました。

そう、調整が必要になるんですね。一気に株価を冷やすパターンもありますが、基本的にまずは3割の下げが目途になります。3割高下に向かえ、という格言があるくらいですが、これは目安として割と当たります。2018年5月の後は、1551円の約3割安である1100円割れから買いが入り、反発しています。

さて、ここまでに何年を要していますか?2016年6月を起点にしたとしても、最高値まで2年を要しています。これでも株価が騰がるまでの時間が早い方というか、教科書的な動きと言える部類ですよ。

それだけ素質のある銘柄でも、全体の景気の影響は受けてしまいますから、2018年以降の調整期間は長くなります。アベノミクスは2012年後半に始まり6年が経過しているため、相場サイクルで考えても全体の地合いは悪かったのです。金融市場も実態経済も冷え込んでいる時期です。相場サイクル論の話はこちらです。

調整終了後も相場は続いている

そしてコロナ暴落を乗り越えた2020年の今、長い調整を終えたこの銘柄も久しぶりに高値を狙っているわけです。この調整期間だけでも2年です。握力尽きて、投げた人は投げたのでしょう。しかし、集めていた投資家も確かに存在します。もう株価は1509円まで迫り、①の時の終値だった1551円は目前です。そして出来高はなんと111万2千100株しかないのです。これを書いているのは9月21日なので、まだ9月は6営業日残っていますが、それでも少ないのがおわかりでしょう。2018年の高値②から2年の調整期間の間にも、誰かが拾い集めたのでしょう(先程も書きましたが、多量の株数を集めるには時間がかかります)。たった111万の出来高で1500円を奪還出来るくらい、もう上値は軽いのです。

まとめ

この様に、浮動株が枯渇していく様子を出来高にリンクさせてチャートを読むと良いでしょう。大きな相場になるかどうか、投資すべき対象となり得るのかどうかを判断する大切な基準になります。

何も長期間、最初から最後までずーっと株を保有している必要はないのです。チャートを観察し投資対象と判断したらまた戻ってくればよいのです。今回解説したポイントは大相場形成に必要不可欠なポイントです。ぜひ体得し、待ち時間を少なくすることに繋げてもらえると幸いです。そして上手いタイミングで大相場に乗れると良いですね!

※ちなみに、筆者とクロスキャットとの付き合いは2014年か2015年くらいからです。もっとも、大相場になった①の時には一旦卒業してしまっていましたが…。そして、今年(2020年)の6月頃から再び買い始めている状況です。しかし今はいろんな成長株が伸びていますから、クロスキャットを敢えて買うことは特段オススメしません!ぜひ皆さんもしっかり観察して、オリジナル銘柄を見つけてくださいね。

まとめ

○浮動株は少ないほど良い(希少価値が上がる)

○浮動株が枯渇する(特定の投資家に固定される)には長い時間を要する

○浮動株が枯渇していくと、少ない出来高でも株価は上昇しやすくなる


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