自分の弱さや誤りを認められない人っていますよね?


 
中には自分の弱さや自信のなさを感じないようにするために、人に当たる人がいます。
もっというと誰でもそうしたくなることがあります。

スケープゴートはこういった人の心の弱さが作り出すものです。


スケープゴートが作られる流れはこんな感じです。
 
集団の中心人物がいたとします。
ボスといいましょう。

ボスは
誰かに目をつけ、何かあると全てその人のせいにしたり、少しのミスを指摘して徹底的に責めたりします。また監視するかのように常にその人がミスしないかチェックします。
 
ボスに目をつけられた人は、緊張感を強め、萎縮していき、余計にミスが増えます。
 
するとボスは「ほらみたことか」とさらにその人を責めます。
 
周りでその様子を見ていた人達は、次に自分がボスに目をつけられ攻撃されることを恐れるあまりに、何も言えません。
またボスと一緒になって目をつけられた人を攻撃する人、ちょっとしたミスがあればそれをいちいちボスに報告して煽る人もでてきます。
 
結果、いつの間にかその人は、まるでそのチームの一番の劣等生かのように扱われるようになるのです。
 
こうして『スケープゴート』が出来上がるのです。
 
『スケープゴート』を攻撃している間、ボスをはじめとするチームのメンバーは自分たちの至らぬ点を自覚しなくてすむのです。
 
 
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情けないことに、
このようなことは対人援助職のチーム内でもよく起こることです。
 
『スケープゴート』になるのは、
物を言えない気弱に見える人であったり、
仕事に慣れない新人さんであったりします。
 
そして時には患者さんが『スケープゴート』にされてしまうこともあります。
 
本当に情けないことです。恥ずかしいと思わなければなりません。
 
『スケープゴート』についての知識を少なからず持っている専門家であるはずなのに、
いざその場に居合わせると気がつかないのです。
ボスも、ボスを恐れる舎弟のような人達も。
 
そういう私も自分がスケープゴートになることを恐れていたこともあります。
 
しかしある時気がついたのですが、
ボスは実際は非常に気が小さい人でもあるので、自分が違うと思うことがあれば
「違うと思います」
「他の人も同じことしてることありますよね」と、覚悟をもってはっきり伝えてみると案外引いてくれます。
 
そのうち、はっきり伝える人の前では、スケープゴートを責めたてることはしなくなります。
 
とにかく自分の恐れを乗り越える勇気を持つことが大切だと思います。それは自分に正直に生きることでもあります。
 
自分の中の声に耳を傾けてみたとき、やはり理不尽に誰かが攻撃しているのを見ているのは辛く感じていること、自分はそんなことをしたくはないことに気がつくはずです。
 
気がついた人から少しずつ声をあげなくてはと思うのです。
 
ただ、知識があってもそうやって誰かをスケープゴートにしなければならないくらいに、
対人援助職というのは、自己不全感や無力感に圧倒されやすい職種でもあるのだと思います。
 
なかなか患者さんの症状が改善しなかったり、複雑な事態が起こってきたりして対応に迷うことも多く、何が一体正解なのか分からない(絶対的な正解のない)仕事なのです。
 
 
知らぬ内に誰かをスケープゴートにしてしまわないように、対人援助に携わるものとして、その答えの分からない曖昧な状況に耐えられる心の強さを持つ必要があるのです。
 
 
 
 
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今日もある人が辛そうにしていました。
心が痛いです。
 
少しずつでいい。焦らなくていい。一人でしっかりやろうとし過ぎると余計にミスをするから、頼ったほうがいいんだよ。
 
どうかどうか、背負わないで。