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精神病院退院直後

私は晴れて精神病院退院の日を迎えました。
大きな荷物を両手に持った私を、病室の仲間がエレベーターの昇降口まで見送りに来てくれました。
仲間は口々に「退院おめでとー、頑張れよー、もう帰って来るなよー」と言ってくれました。
仲間とはそこでお別れ。(入院患者は許可無くエレベーターには乗れないんです)
そして、医師をはじめスタッフのみなさんにお礼を言い、清算を済ませ病院を出ました。
外は残暑がまだ残る9月中旬、冷暖房完備の院内とは別世界の灼熱地獄です。
暑いけど、降り注ぐ日差しが“”生きてる“”って感じで気持ち良かったです。

そして、迎えに来た妻の車に乗りいざ帰宅。
道中、コンビニに寄ってアイスとコーラを買いました。
久しぶりに自分の財布からお金を出して買い物、感無量です。
帰宅して仏壇の仏さまに線香をあげ、仮眠を取りました。
仮眠のつもりが、起きると窓の外は暗くなっていました。
体力を無くした私の身体は、たった1時間半の車移動も辛かったんですね。
夕食には、病院で栄養指導を受けた妻が渾身の病人食を作ってくれました。
少量で薄味、決して美味しいとは感じませんでしたが5カ月ぶりの妻の手料理に感謝しました。

退院後、丸1日ベッドの上で休養を取り、次の日から仕事に出ました。
早く仕事がしたかった、勘を取り戻したかった、焦っていました。
しかし、病み上がりのようなふわふわした感じで地に足が付かず、
とにかく車の運転が怖かったのを覚えています。
なんとか午前中を乗り切り、昼食を取ってしばし昼寝、のはずでしたが、
その日も夜まで目が覚めませんでした。
焦りは禁物、次の日からは内勤を余儀なくされました。

翌日、ホコリの溜まった職場の清掃。
空いた酒瓶と空き缶は妻と子供たちが片付けてくれていました。
「掃除してくれてありがとう」と言うと、
家中の酒、徳利、お猪口、ビールジョッキ、ワイングラス、料理用酒やみりんも捨てたそうです。
事務所清掃を終えPCを開くと未読メールが2000通以上、削除に時間がかかりました。
郵便物やファックスは、入院中に妻が見舞いの時に持参してくれていたので助かりました。
入院前の書類に目を通し、記憶をさかのぼりました。
録っておいた音楽や映像も古いものから順に見聞きし、記憶を無くしていないことを確認しました。
結局記憶が無かったのは入院直前直後だけでした。
酒を抜いたことによる離脱症状だったんですね。

記憶があることを確信した私は、入院前のことをひとつひとつ思い出していました。
転んで血だらけになったこと、暴言を吐いたこと、仕事で重大なミスを犯してしまったことetc。
酩酊泥酔していた時の言動を思い出すたびに恥ずかしさと後悔がどんどん込み上げてきました。

決して忘れてはならないのが、家族にかけた迷惑、反省と感謝の気持ちです。
家族には、残された一生をかけて罪滅ぼしをしなければなりません。
全てを一度失った私は、周りからの信頼回復にも努めなければなりません。
飲酒欲求など起しているヒマも資格もありません。
一生断酒を心に誓い、これからも生きていきます。


つづく。










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