羽生 僕にとってこの『バラード第1番』は、もちろん曲についても思い入れは強くあるんですけれど、なんて言うんだろうな、割と自分でいられる。自分自身が曲と同化できるように思います。
松田 なるほど。
羽生 自分の中で「これを伝えたい」「あれを伝えたい」って演技する前から持っているわけじゃなくて、やってる最中に何かが出来上がっている。
羽生 音を出している感覚に近いのかなって思います。もちろん曲はできているから、無から自分で作り出すものじゃないですけど、でも僕は「この人、曲に合わせて滑ってるのとは違うんだ」ということを感じてもらいたいなと思っているんです。
松田 ええ、ええ。自分自身で意味を、一歩一歩に意味を入れるっていう感じですか?
羽生 入れるというより、なんか「入ってる」感じ。聴いている人も見ている人も、そして滑っている自分も、結局みんな違う過去、違う経験があると思うんです。例えば悲しい曲でも、自分自身の近くに悲しいことがあったらすごい悲しくなるし、直前に楽しいことがあってウキウキした状態だったら感じ方が違うと思うし、悲しみの後にやってくる希望のようなものが見えたりすることもあるかもしれないし。僕はそういうのをすごく大事にしたいなって思っていて。だから自分の伝えたいことはたくさんあるけれど、見ている方それぞれに「何か」が伝わっていればいいなあ、って思っています。
羽生選手って本当に想像力豊かで
思いやりのある方だなぁと思いました見ている方たちのことも
こんなに考えてくれているのですね!
羽生 例えば、演奏途中で音が1個飛んだりしても、その場で完全に忘れ去ってるんですか?
松田 忘れ去ってますね(笑)。シャットアウトしないとまた同じことを繰り返す可能性があったり、音楽が止まってしまったり……。イメージを、ストーリーを続けていかないと曲が続いていかないので、ミスのことは忘れます。実際、演奏した後「今日間違ってたよね」って言われても「そうだったっけ?」って思うことがあります。
羽生 僕もジャンプとかでミスったことを忘れてる時が結構あります。
ここで、私の思い出話ですが。。
ピアノって特にゆっくりな曲とか1音でも間違うと結構目立つのです。
変な音になっちゃうので。
私は発表会のときに、1音弾き間違えただけで、頭が真っ白になってしまい
そこから進めず、しばらく止まって放心してしまい、ひどく落ち込んだ思い出があります
とにかく失敗するのが恥ずかしい、
間違えてはいけないと固くなっていたのです。本当に自分のことしか考えていなかったです。
なので比べるまでもないですが
世界の一流の方はやはり強いし、集中力が半端ないなと思いました。羽生選手は転んでもすぐに立ち上がり、またジャンプを次々と諦めずにキメていくので何度も感動しました!!
フィギュアって
羽生選手の前くらいまでは
最初のジャンプを失敗すると
実況も選手たちもなんとなく
あ~。もう終わったな~みたいな雰囲気になることが多かったのですが、
羽生選手は、失敗したり
アクシデントがあっても最後の最後まで諦めずに、頭脳をフル回転させて
後半に序盤の失敗を挽回してきたり
果敢に演技をし続けるので
とても感動したのです!
転倒しても必ず立ち上がる!!
羽生選手の演技は本当に勇気をもらえるのです。
羽生選手も松田さんもロシアの先生に
見てもらった経緯があり
共通する部分が多いようです。
羽生 僕はロシアの振付師の方にも教わったことがあるんです。その時に教わったのは、メリハリだったり力強さだったり、呼吸の使い方、体の動かし方とかなんです。そして今日、松田さんの演奏にもそれがすごく出ていて、共感するところがありました。松田さんにとって、ロシアで培ってきて「これが一番ためになった」というものは何ですか?
松田 グネーシン音楽学校のエレーナ・イワノーワ先生が、12年間学んでいた私にずーっと言ってくださっていたことがあります。それは「絶対に意味のない音を弾くんじゃない」ということです。必ず一音一音に意味を作りなさいと。フレーズに言葉をつけたりストーリーを考えたり。そのためにはこの本を読みなさい、この映画を見なさい、この絵を見なさいって。
1音1音に意味を持たせる。。
例えばショパンの曲の音符の数は
曲によって違うけど
2万~くらいあるのです。ひー。
なのでショパンってすごく難しくて
私はそこまで全然行けませんでした。
そして
羽生選手は、ピアノの1音1音を
大切に拾い、意味を持たせ
その中で大技を組み入れ
演技をしているのだなと思い
また感動しました。
このインタビューの
全文と動画はこちらです。
https://www.toto-growing.com/interview29_1
このツィメルマンさんのショパンのバラードが、羽生選手が使用した
音源です。
ツィメルマンさんは、親日家で、
311のときに東京にいて、その後
被災者支援のチャリティコンサート・リサイタルを行ったりしています。
動画を見ると、手の使い方
タッチの仕方が
とても滑らかで驚きました。
グランドピアノって、ハープみたいでも
あるのですけど、
弦を優しく撫でながら、弾いているかんじで余計な力が入っていないというか。
この動画を見たら
先日の四大陸の羽生選手の
バラ1の、とても優美で軽やかで
流れがある演技をまた思い出し
この時、羽生選手はツィメルマンさんの優美なピアノに完全に融合して溶け合っていたのだなと感じてまた感動しました。
はぁぁ。極上でしたね~。
その努力の積み上げと熱き想いにまた
じーーんときてしまいました。
ブラボー!!羽生結弦選手!!