団体信用生命保険、略して団信。住宅ローンを申し込み際に必ずと言っていいほど付きまとう言葉です。漢字を紐解いて行けばわかるのですが、住宅ローン専門の生命保険です。
住宅ローンの借主が病気や事故などで死んでしまったり、高度障害の状態に陥った際に保険が下りて住宅ローンを完済してくれるというもので、借主というよりもその家族にメリットの多いシステムです。
銀行が保証するわけではなく生命保険会社が引き受けるものですが、原則として保険料はかかりません。というよりも銀行に払っている金利が保険料となっていると思うとわかりやすいと思います。
銀行の住宅ローンに関して言えば、団体信用生命保険は必須項目です。持病等で団信に加入できない場合、住宅ローンは貸してもらえません。
銀行は借主に万が一のことがあった場合に備えて団信の加入を必須としているので、問答無用で断られます。
これが、事前審査が通ったのに本申込みで否決される要因です。事前審査では、原則として健康状態などは審査対象になっていないからです。
契約が進んでいる中で、途中でダメになるというのはご本人のショックも大きいと思いますし、相手方(売主)にも迷惑をかけてしまいます。万一、健康状態に不安がある場合は事前審査の段階で不動産会社に言いましょう。
先に言っていただければ、事前審査の際に団信の申し込みを先行して行うことができます。
では、団信に加入できない場合は一切住宅ローンを借りることはできないのでしょうか?
そういうわけではありません。一定の救済措置はあります。ではその対策について説明します。
ワイド団信とは、一般の団信に加入できない持病がある人などを間口を広げて加入できるようにした団体信用生命保険のことです。全ての銀行が取り扱っているわけではありませんが、現在ではかなり多くの銀行が取り扱いをしています。
たとえば、糖尿病・高血圧・うつ病などの持病をお持ちの方が加入できる余地を残したものになります。
ここで、注意点が2つ
一般の団信よりは間口が広いワイド団信ですが、持病の状態によっては加入を断られるケースもあります。
一般の団信は通常の住宅ローン金利に保険料が含まれていますが、ワイド団信は通常0.2〜0.5%ほど金利が上乗せされます。
ワイド団信の取り扱いについてはそもそも、銀行によってある・ないということもあります。その上、ワイド団信を使うには金融審査の方で通常よりも好条件で通らないとワイド団信の取り扱いをしてもらえない・・・ということもあります。ワイド団信を取り扱っているからと言ってすべての金融機関で使えるわけではないのです。
たまにあるケースですが、「どうせ自分はワイド団信しか通らないので。」と思っていたら、なんとワイド団信が否決(謝絶)されて、一般団信がOKなんてこともあり得ます。ワイドに限らず色々な保険会社に相談するのがベターです。あわよくば一般団信で通れば金利も上がらなくて済むので。
私個人としては、団信に不安のある方は複数の事前審査(今回は保証会社ではなく、保険会社で選ぶ)で審査をしてもらっています。特に団信で否決される方はブラック等で否決されるよりもショックが大きいので、一つだけで審査すると落ちた時に次に行く気力がなくなってしまうからです。
2017年まではフラット35は団信が別途年払いだったのですが、現在では団信が金利に含まれるようになりました。そこで、勘違いを生んでしまっていますが、フラット35の場合、団信は一応任意加入となっています。団信不加入が許される住宅ローンなのです。
ちなみに、加入しないと金利が少し安くなります。
ただし、借主が死んでも住宅ローンが残ることになりますので、残されたご家族のことを考えて住宅ローンの借入額を抑える等キチンと対応しないと自分が死んだあととんでもないことになる可能性があります。
健康状態に不安が生じる前(言い換えれば健康だったころ)に加入した生命保険を担保代わりに使う。という方法もあります。
全ての銀行が対応してくれるわけではありませんが、一部の銀行では、借入額以上の生命保険に加入していればそれを担保に融資が可能。というケースがあります。生命保険の金額が上限にはなりますが・・・一考の価値はあると思います。
生命保険を担保に。と書いてありますが、特に質権設定等、実際に担保に差し入れるわけではありません。考え方として担保設定する。というイメージです。
某メガバンク・J〇バンク等が候補として挙がってきます。
以上の3つが団信が通らない場合の救済措置となります。どれもマイナス面がありますので、理想を言えば体を治して、団信に加入できる状態で住宅ローンを借りるのがいいと思います。
今現在、健康状態が優れなくて団信に加入できなくても、将来的に加入できる余地はあるんですから。
さて、肝心の団信を申し込んだ際に銀行が提示した保険会社が何を見るのか?というところですが、保険会社によって若干違うとは思いますが、基本的なところは変わらないと思いますので、以下に列記します。
保険会社は自分で指定することはできませんので、ご注意ください。
最近3か月以内に医師による診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか? | 会社の健康診断などは入りません。風邪とかインフルエンザとか、転んでケガしたとかも省いて大丈夫だと思います。 |
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過去3年以内に右記の病気で手術をうけたり、2週間以上にわたって診察・検査・治療・投薬をうけたことがあるか? |
3年以内というのがポイントです。3年経ってしまえば一応告知義務違反とはならないと思いますが・・・ギリギリのタイミングの場合、銀行の担当者とお話する必要があると思います。
病名例:狭心症・心筋梗塞・高血圧症・不整脈・脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)・統合失調症・うつ病・てんかん・アルコール依存症・ぜんそく・気管支炎・肺結核・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・肝炎・肝硬変・腎炎・緑内障・網膜?離・がん・糖尿病・バセドウ病・子宮筋腫・子宮内膜症等 |
手・足・関節の欠損または機能障害、視力・聴力等の機能障害 | 見た目でわかるものもあれば、そうでないものもありますので自己申告となります。 |
ここに記載しきれなかった病名もありますし、保険会社によって違いもあるので気になる人は一度相談してみてください。
ちなみに、基本的に自己申告となります。そのため、黙って借りてしまうことはできるということになりますが、万が一の際に告知義務違反となって保険がおりない。残された家族が大変な目に合う。ということになりますので、キチンと申告しましょう。
借入額(だいたい4000万円以上)になると簡易的なものですが、健康診断書が必要になることがあります。
団信については語り足りない部分がありますので・・・団信についてより詳しくのページでさらに解説を続けていきます。