権利証を紛失した場合のお話

権利証を紛失した場合のお話

売主さんが権利証をなくすケースというのは、ちょくちょくある話です。その場合の手続きについて簡単に説明します。

権利証を紛失した場合のお話

最近立て続けに起こっているため、ちょっと書いておこうかと思いまして、本来司法書士さんの領域になる話ですが、そこを今回は、不動産業者目線で書いていきたいと思います。

 

まず、権利証について簡単に言いますと、現在は、【登記識別情報通知】と言います。味気ない薄緑の紙です(謄本と同じもの)。対して、以前は【登記済】という印鑑の押された和紙っぽい紙でした。もちろん、以前のタイプの権利証もまだ通用しますし、実務上はかなりの頻度で見かけます。

 

権利証が有効なものかどうか最新のものかどうかの確認方法も書きたかったのですが、権利証の画像がないと分かりづらい上に、権利証のフリー素材となる画像がなかったので諦めました。何らか実務で出てきたタイミングで書こうと思います。(売主様の許可が得られれば)

 

と、まあ前提は置いておいて、この権利証ですが、年に数回は『無くした。』という売主さんに遭遇します。そうなると別の手続きになるのですが、それについて説明していきます。

と、その前に権利証の有無はどんなに遅くても売買契約締結時には確認しておきましょう。決済直前になるとなかなか面倒なことになりますよ。

 

本人確認情報

司法書士等の有資格者に本人であることを証明してもらって手続きする方法です。実務上はほぼこれ一択です。ただし、費用がかかります。司法書士の先生によりますが、安いところで4万円〜高い所だと10万円近くかかります。

 

実際にはほとんどが司法書士の先生の事務手数料とリスク代みたいなものだと思いますが、決済直前に手取り10万減りますよ。ってなかなか言えないですよ。先に分かってれば売主様も覚悟をきめてくれますが(笑)
その為にも、売買契約前、理想は媒介取得時に売主様に説明しておくべき内容です。

 

事前通知

管理人の長い業界経験の中でも1度しか経験がありません。

 

簡単に言うと権利証以外の必要書類を全て提出し、法務局が受け付け後、売主(登記義務者)に郵送で本人確認をする。というものです。問題点としては、登記申請書後(つまり決済後)に売主様に手続きが委ねられるということです。

 

決済時に代金を支払っていれば万が一にも売主様がトンずらしてしまったら・・・という最悪の状況になります。また、住宅ローンを利用する場合、金融機関の了解が得られないため、まず実務上使うことのない制度です。

 

管理人が使ったのは、@売主・買主が知り合いだった。A売主は袋地の所有者で遠隔地に住んでいたため、いくらでもいいから処分したいという意向で、ただ同然の取引だった。という2点が揃っていたため行うことができた取引です。基本的にはリスクしかないので『弁償しろ!とか賠償しろ!』と言われても大丈夫な価格帯(笑)の時でした。

当たり前ですが、それでも、万が一にも巻き込まれないために売主様・買主様への説明はキッチリしておかなければいけません。

 

ということで、基本的には不動産業者にとっては事前通知は使えない制度なので本人確認情報を持って取引するんだ。と覚えておきつつ、権利証の有無の確認はできるだけ早いタイミングで(理想は媒介時・最悪でも契約前)確認しておきましょう。