【塗装考察】色の見え方について考える

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今回は綺麗な塗装を実現することを目標に、塗装について理論的に考えてみます。ガチガチの初心者向けに色の見え方や塗料の特性について解説します。

隠蔽力や塗り回数などを感覚的には理解しているかもしれませんが、理論的に攻めればもっと効率的に上達できるはず……という考えのもとに理論的に考えていきます。画面の向こうの皆さんの横に実際について感覚的なノウハウを教えられない分、座学的な知識を伝授していきます。

感覚と知識の融合……これこそが(筆塗り)超兵のあるべき姿だ!

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色の見え方

まずは色の見え方について解説します。人間が色を認識するには、物体に入射した光が反射して目に入る必要があります。

このとき、物体によって反射する光の色によって、物体の色を認識します。(一部は吸収される)

なので、好きな色に塗る=好きな色の光を反射させることになります。

また、光が反射するとき、表面形状によって光の反射方向が変わります。これにより、物体の表面がザラザラ or ツルツルといった質感を認識します。

さらに、色を工夫することで、重さや温度などを表現することもできます。これについては塗装技術の問題なので詳しい話は今回は割愛します。

塗装の見え方

ここまでは色の見え方について説明しました。ここからはいよいよ塗装について考えていきます。

そもそも皆さん瓶塗料の成分構成を知っているでしょうか?

例えばアクリジョンベースカラーの成分はこんな感じです。

プラモ用のどの種類のビン系塗料も大きく分けると以下の3つの成分で構成されています。

  1. ”色”になる顔料成分(粉末)
  2. 塗膜強度を上げるクリア樹脂成分
  3. 塗りやすいように粘度を調整する溶剤(水)成分

このうち、乾燥後に残るのは1の顔料と2の樹脂成分のみになります。

基本的にクリア成分を含んでいるため、ラッカーやアクリル塗料などの塗料はクリアー塗料の性質を持ちます。そして、樹脂成分が入っていることが、アルコール系塗料との大きな違いです。

前提としてこれは覚えておいてください。

POINT
 塗料の成分は主に顔料・樹脂成分・溶剤の3つ
 瓶塗料はクリア塗料の特徴を持つ

樹脂成分の影響

樹脂成分が入っていると、塗膜強度が劇的に上がります。塗料の種類にもよりますが、市販のフィギュアと同等のものを作ることも可能です。

樹脂成分はクリアで顔料の色には影響しません。しかし、顔料を薄める形になるので、顔料単体よりも発色が悪くなり、クリア成分が入っている分、下地が透けやすいです。

この透け具合を下地隠蔽力と言います。下地隠蔽力は顔料成分の量や質によって変化するので、色や塗料の種類によって異なります。

下地隠蔽力が低い(光が透過する)と下地で反射した光が目に入るので、下地の色が見えてしまいます。

対策としては、

  • 顔料の割合を増やして透過率を下げる
  • 厚みを増やして光が下地まで届かないようにする

などがあります。前者は樹脂成分を捨てたり塗料を変えればできます。後者は重ね塗りをします。よっぽど隠蔽力が低い塗料でなければ重ね塗りで対応可能です。

はじめは1回塗りでは思ったより発色しないために驚くかもしれませんが、重ね塗りすればしっかり発色します。

POINT
 樹脂成分の入った塗料は基本的に透けるので、重ね塗りする

塗料撹拌の影響

塗料の中には顔料・樹脂・溶剤が入っていることを説明しました。顔料は基本的に粉末であり、溶剤や樹脂成分に溶かすことで塗料として使用します。ここで重要になるのが、撹拌(混ぜること)です。

顔料成分は色によって複数の顔料が入っていることがあります。例えば、グレーは白い顔料と黒系の顔料が混ざっており、撹拌が十分でないと下の画像の様になります。(かなり極端な例ですが)

塗料は均一に混ざった状態で性能を発揮するように作られています。もちろんこの状態で塗ってしまうと成分が均一に塗布されず、色ムラになってしまいます。ひどい時は、重ね塗りで対応できなくなります。なので、塗装前には調色スティックや撹拌ボールを使って確実に塗料を撹拌するようにしましょう。目安としては、調色スティックを使う場合は、目視でムラが見えなくなってから20秒程度混ぜ続けます。撹拌ボールを使う場合は、ビンに2〜3個ボールを入れて蓋をしっかり締めて50回ほど振ります。

POINT
 塗料は使用前に十分撹拌する

あとがき

今回は色の見え方と塗料について解説しました。直接塗装技術に影響はありませんが、こういった知識を押さえていれば、塗装における失敗は少なくなるはずです。

筆塗りは特に実際に塗って熟練しないと始めは上手く塗れないことが多いです。そういった原因が、技術の熟練なのか根本的な知識不足なのかを判断できるようになれば、上達も早くなると思います。

これからも不定期でこういった知識的な記事とノウハウ的な記事を書いていこうと思っています。ある程度溜まったらリンクをまとめる予定です。これらの記事が皆さんのお役に立てられればと思います。

最後まで見ていただきありがとうございます。

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