損益の概要
2020年3月期の業績は、売上高が前期比+36.6%、親会社株主に帰属する当期純利益が22,935百万円の赤字となりました。売上高の増加については昭和シェルとの経営統合の影響が大きく、当期と同じ基準で前期と比較すると、売上高は前期比▲12.0%の減収となっています。
出典:当社決算短信
4月21日に業績予想の下方修正が発表されていましたので数字に驚きはありませんでしたが、修正後の予想と比べると若干マシな結果でした。
【4月21日公表の2020年3月期業績予想修正値】
出典:4月21日付当社リリース「2020年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」
減益の大きな理由について当社は、原油価格の下落による在庫評価損と、新型コロナウイルス感染拡大による需要の軟化と説明しています。ドバイ原油価格は3月に20ドル前半まで急落し、3月の石油製品の販売数量が、ガソリン▲10%、軽油▲10%、JET燃料▲50%と大きく減少しています。
この結果、セグメント別損益は次のようになっています。この表を見ると、燃料油の減益影響が大きく、特に在庫影響が大きいことがわかります。
出典:当社決算説明資料
20201年3月期の業績予想
2021年3月の業績予想は、売上高が当期比▲35.5%、親会社株主に帰属する当期純利益が5,000百万円の黒字と、大幅な減収を予想しつつも利益は黒字を予想しています。
出典:当社決算短信
業績予想の影響を与える主な要因について決算説明資料に記載されています。やはり燃料油の需要の減少が業績の足を引っ張るようです。ただ、原油価格が低くても急落しなければ在庫の評価損にはなりませんので、当期のような赤字になることはないようです。
出典:当社決算説明資料
配当金の状況
配当金は、当期は大幅な赤字となりましたが、期末配当金を予想通り80円として、年間配当金を160円としました。しかしながら、2021年3月については未定としています。
出典:当社決算短信
当社は2019年11月14日に発表した中期経営計画で、配当金について160円を下限とすると宣言していました。
出典:当社中期経営計画(2020~2022年度)
新型コロナは想定外なのはわかりますし、決算の数字を見ても配当できる状況でないことはわかりますが、昨年秋に発表したばかりの中期経営計画で配当金の下限値を示しながら未定としておいて、説明はこれだけですか?と言いたくなります。
出典:当社決算短信
むすび
2020年3月期は大幅な赤字となりましたが、年間配当金160円は変更しませんでした。2021年3月期は黒字転換するものの、配当金を「未定」としたことに対しては、もやもやした気持ちが残りました。
私は、事業である以上、予測不能な環境変化が起こり得ますし、それによって赤字になったり、減配されたとしても、それ自体はやむを得ないことだと思っています。
ただ、私が納得できないのは、そもそもリスクの高い事業であるのに配当金の下限値を示しながら、それをあっさり「未定」とするだけで、通り一遍の説明しかしない会社の姿勢に対してです。
私は少なくとも数年単位で見れば安定的に配当金が支払われるという前提で、短期的な業績の変動やそれに伴う株価の下落を受け入れて保有を継続するつもりでしたので、その前提条件が崩れた以上、一旦は処分することにしました。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。