の匂いがする

 

 
誰もまだ嗅いでいない 朝の匂い
 
星もまだ街を見下ろす 静かな夜明けに
月明かりを頼りに歩く 夜の足音
 
朝を探しに 出かけたの
 
大きく息を吸って はいたとき
夜と朝とが入れ替わる
 
夜空に朝が染まりはじめる
夜は朝になりたくて 手を伸ばす
 
朝は優しいから
その手をゆっくり朝焼けに溶かす
 
もうすこし あともうすこし
 
朝になった
おひさまが夜を探して 光を降り注ぐ
 
星は帰り いまは月だけ
 
今日も会えぬか
 
月はつぶやく
 
 

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