化粧品の製造販売名・商品名について解説 

別の記事で化粧品は届け出制ですとお話をしました。

届出をする時に大事なのが「販売名称」なんですね。

化粧品業の豆知識として、今回はこの名称について解説したいと思います。

化粧品製造販売届

製造販売名とは

まずは次の商品を例に表示を見てみましょう。

tsubaki_shampoo_conditionertsubaki_champoo_conditiner_ura

この商品は言わずと知れた資生堂 TSUBAKI シャンプーコンデの2連パウチですね。

裏面をよく見ると、使用上の注意の下にこうあります。

販売名:資生堂 コンディショナー S b

販売名:資生堂 シャンプー S b

この無味乾燥な名称。。。これが販売名になります。

このように化粧品には必ず販売名というものが表記されています。

この名称が各都道府県の薬務課に届出された名称です。

製造販売元は新製品を販売する際に、その商品の販売名を決めます。

販売名を決めたら化粧品製造販売届出書を作成し、

名称を記載して管轄の薬務課へ届出をするわけです。

内容に問題が無ければ受理されます。

登録した名称を製品の容器、パッケージに表記することで、

その商品を化粧品として製造販売することができるわけです。

販売名の役割とルール

ところで、どうして名称を届け出る必要があるのでしょうか。

業の許可を取得した製造販売元は、自社の責任で

化粧品を製造販売することができますが、

例えば製品に薬害などの問題が発生した際に

薬務課が「知りません」じゃ済まないのですね。

そのような時、役所はどの企業の何という商品が問題なのか

把握するために、製品ごとの名称登録が必要になるのです。

どんな名前でも良いわけではない

販売名のつけ方にはルールがあります。

結構厳しい内容になってます。

◆日本化粧品工業連合会の自主基準(ガイドライン)

販売名の略称又は愛称として使用できない名称原則として名称(販売名)に使用できないものは略称又は愛称にも使用できないことになっているので、下記に注意すること。
〔化粧品の場合〕
① 既存の医薬品及び医薬部外品と同一の名称は用いないこと。
② 虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招くおそれのある名称は用いないこと。
③ 配合されている成分のうち、特定の成分名称を名称に用いないこと。
④ ローマ字のみの名称は用いないこと。
⑤ アルファベット、数字、記号等はできるだけ少なくすること。
⑥ 剤型と異なる名称を用いないこと。
⑦ 他社が商標権を有することが明白な名称を用いないこと。
⑧ 化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触するものを用いないこと。
⑨ 医薬品又は医薬部外品とまぎらわしい名称を用いないこと
(例えば、○○薬、薬用○○、漢方○○、メディカル○○、○○剤、アトピー○○、ニキビ○○、アレルギー○○、パックで「○○ハップ」等)。

◆表示に関する公正競争規約

(配合成分の名称を販売名に用いる場合)
第7条 事業者は、配合成分の名称を販売名に用いても、当該化粧品の効能効果について一般消費者に誤認されるおそれがないものとして施行規則で定めるものについては、配合成分の名称を販売名に表示することができる。

◆表示に関する公正競争規約施行規則

(配合成分の名称を販売名に用いることができる化粧品)
第15条 規約第7条の規定により配合成分の名称を販売名に使用できる場合は、次に掲げるとおりとする。
(1) 香水、オーデコロン等の香りを主目的とするものに香料名を用いる場合
(2) 口紅、爪化粧品等の色調を主目的とするものに色調名をあらわす名称を用いる場合
(3) 香料を配合成分とするものに当該香料名を用いる場合。ただし、当該香料を配合成分として用いていることを、当該化粧品の販売名を表示している箇所に併記しなければならない。 例、レモン香料配合
(4) 配合成分の配合量が次の基準に達するものに当該配合成分名を用いる場合
ア オリーブ油が90%以上又は椿油が95%以上配合されている化粧品について、「オリーブ油」又は「椿油」の文言を販売名に用いる場合
イ オリーブ油、椿油を次の基準に適合するよう配合されている化粧品であって、「オリーブ乳液」「椿香油」等の名称を販売名に用いる場合
(ア) 乳液、クリーム等のように乳化された化粧品の場合、当該配合成分が当該化粧品の全成分のうち、水分を除く成分の5%以上を配合したもの
(イ) 香油等のように油状の化粧品の場合、当該配合成分を10%以上配合したもの
(5) 配合成分の名称を販売名に用いても、当該化粧品の効能効果について、一般消費者に誤認されるおそれがないものとして公正取引協議会が認めたもの

いろいろ、ややこしいでしょ。

各都道府県によっても考え方が違ったりします。

例えば、前職で東京の化粧品企業にいたときはOKだったのに

大阪の薬務課では受理されない。。なんてことがあったりします。

役所の人、結構頑固なんです。言われたら従うしかないっすね—-

だから前もって通るかどうかを薬務課に確認してみるケースもあります。

あと、異なる処方において同じ販売名が存在するのはNGなのです、

届出した名称で処方Aとか処方Bの製品を販売することはできないんですね。

しかし、逆のケース(同じ処方が複数の販売名称に対応)は問題ありません

それでは、最初の製品例で言う「TSUBAKI」って名前は何なのでしょうか。

販売名と商品名

上記のようなルールで記号みたいな名前を付けていては、

商品が売れるイメージがありませんよね。覚えにくいし・・・

次に登場するのが商品名です。

実際は化粧品には販売名と商品名というものがあり、企業は使い分けをしています。

販売名はあくまで薬務課へ登録するための名称として扱い、

商品としては販売戦略等を含めて、もっと華々しい名称、商品名をつけて

販売されているケースが多いです。

販売名のルールの意味ですが、

企業が好き勝手な名称を付けると、その商品には無い特徴のイメージにより

虚偽や誇張が生まれる可能性が高く、

消費者を惑わす恐れがあるからなんですね。

「若返り乳液」とか「シミ消しクリーム」とか・・・・・

しかし、実際には販売名だけでなく他の名称が商品には設定されているのです。

我々は製品名とか、俗名とか、愛称とか表現しておりますが

この名称は企業が販売戦略など鑑みて、独自の基準で設定した名称になり

製品の容器やパッケージの表面を飾る名前となるわけです。

公式には、製品の名称は販売名称であるべきというのが、薬務課や工業会の主張なのですが、

方針がぼかされているのが現状ですね。

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