絵のテーマを決めて描くことの難しさと価値

はじめに

うーん…今日も練習しよっと…。とにかく1枚描かないと…

今日のお題とか決めて描かない?

無理だよ。テーマがあると大抵、自分の下手さに辟易しちゃって…。適当に描いてるとむしろまぐれで上手く行くことも多くて

そうだよね…。中級者と上級者の違いってそこにもありそうだけど…。プロは仕事のために意図をもってかかざるえないし…

 誰でも、最終的にはテーマがある絵を描きたいと思います。でも「今日のお題」とかは典型的に難しくて挫折しやすい練習法で誰もが一度は経験したことあるんじゃないでしょうか? 一方で、プロは仕事の依頼に沿った絵を描く機会ばかりで、テーマがある絵を必ず描かねばなりません。初心者もみんないずれはテーマが描きたいと言えます。そのやりたいけど出来ないジレンマが絵の練習の難題です。

初心者のうちはテーマ無しで、無機質な絵でも構わない

私って下手くそかなぁ? どうしてもテーマで描くとストレスが強くて出来なくて…

ストレスが強いならしなくていいよ。結局、画力がないうちは苦痛になることも多いから。でも、成長したいならたまに取り組む必要はあると思うよ…。大事なのは「こんなものでいいか…」っていう妥協した絵から、「この絵を今までで最高の絵にする」って気持ちにシフトすることだからね…

 実際に、1枚1枚を最高の絵にするのは難しいですが、妥協して普通に描いているとさらに成長するのが難しいです。僕も1500枚ぐらいはただ妥協して量産してました…。成長が感じられるようになったのは、妥協をやめてこだわるようになったからです。

 でも、絵が下手なうちにはどんなに気合をいれても「超えられない壁」がありますので、いきなりプロレベルを目指さずに過去の「自分」の絵から向上したかを考えないと、プロの絵と比較しても1年やそこらでは追いつけれません。脳の回路が鍛えられてないからです。なので、最初はだらんとした人形のようなポーズで、表情もない絵でも全然、構いません。というかそれしか描けないと思います。

基礎が出来るようになったら、絵全体で情感を出していく

ある程度、身体の形とか顔とかが描けるようになってきたら、テーマとか決めて描くといいよ。もちろん、描く前から決めなくて良くて、描きながらテーマを考えていくし、描きながらテーマを修正していく。大事なのは絵が無機質にならないことかな

そうかなぁ…上手いプロってただの姿勢もない立ち絵でも上手いけど

それは上級者だからだよ…。上手くなるためには、基礎から応用に入らないといけないし、応用をしていると基礎も磨かれていくかな…

 上手い人は、ただの立ち絵でも確かにすさまじく上手いです。ですが、そういう人が立ち絵しか描けないってわけではなく、かならず応用をたくさんこなしていると思います。逆に基礎だけしか練習できなくて応用がまったく描けないプロはいなくて、基礎と応用を両方高める必要があって、初心者のうちは基礎を徹底的に磨き、それが卒業出来たら、応用段階に入ったほうがいいです。いつまでも応用しないと絵のバリエーションが増えません。

繰り返す必要性と次へ進む必要性

応用って言うけど、顔だって何度も量産しないと目の描き方すら覚えれないよ…

そうだね。ハンコみたいに量産しなくちゃいけない頃もあって、初心者の頃はそれが一番いい練習法だけど、中級になってそろそろ上級が近くなってきたら、描いたことないことに挑戦しないといけないよ

 繰り返す練習法も大事ですが、だんだんそれでうまく描けるようになってきたら次は描いたことのない技術を磨こうとしないと上級者にはなれないと言えます。顔だけを描く練習も効果がありますので、顔が描けるようになったら、次はバストアップやニーアップまで進んでいくといいです。同じことの繰り返しでどんどんうまくなるのは中級までで、上級に到達するには様々なことを研究したり吸収する必要があります。

自分の画力でどの段階の練習がいいかを知る

もし、自分の審美眼が確かなら、自分の画力がわかるはずだから、プロレベルが遠いって思ったら、ハンコ絵練習のほうが効果的だし、だんだん普通になってきたなと思ったら、高度な構図に行くといいよ。ここで初心者の頃から高度なことに挑んでもいいけど、あなたみたいにストレスでつぶれると思うから…

高度な絵を描こうと挑んでも失敗して…そのたびに打ちのめされてダメになってたかな…

だから自分の今の実力を知って、それに合う練習をすることかな…

 もし自分の今の絵が「中級」だと思える人は、どんどん高度なことを目的にしてチャレンジしたほうがいいです。同じようなルーチンワークだと、描く速度が少しあがるだけで質は変化しにくいです。「難しい絵を描くぞ」って意識して描いていると、成長しやすいものがあります。ただ、あまりにもゴチャゴチャ描いても、絵に整合性がないと、あとで見た時にがっかりすることも多いのですが、それでも、出来るだけ難しいことに挑むつもりである程度のハードルや負荷を感じながらやらないと、急速に成長するのは難しいと思います。その意味では、絵はスポーツと似ています。

 勘違いしてはいけないのですが、初心者のうちや中級者のうちはハンコ絵でも構わないし、それを否定する必要もないってことです。

どうでしょうか…結構、絵以外でも言われている当たり前のことが、絵にもきちんと当てはまっているのだと思います。それはきっと脳の仕組み的にもそれしかないのですし、突然、大学生になれる小学1年生はいないのであって…。中級者以上で伸び悩んでいる人は「難しい絵を描こう」って気持ちを強めたほうが上手くなりやすいかもしれないですね…

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