がんちゃんの雪山讃歌

がんちゃんの雪山讃歌

石川の山スキーヤーがんちゃんが登山、山スキーを中心とした日常生活や山への想いをつづります。
ヤマレコもやってます。(HN:Sanchan33)

2月の三連休は遠征のチャンス!天気が良ければ東北に行こう!と思っていたが生憎中日の土曜日しか晴れなさそう。

しかも前後は綺麗に悪天予報。せっかく東北まで行っても1日だけだともったいないな…ということで比較的近場(だと感じている)南アルプスに行くことにした。

ちなみに南アルプスの天気の並びはこんな感じ。

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2/23(金)雨(高いところは雪)

2/24(土)晴れ(午後は曇り)

2/25(日)雨(高いところは雪)

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つまり中日狙い撃ちで日帰りするしかない。しかも前日に雪が降るのでキラキラの南アルプスの展望が楽しめるしラッセルもできる。

今回はMさんも一緒なのでツボ足縛り。北アルプスや日本海側の山にツボで登ると「なんでスキーで来なかったんだ」と心のどこかでうしろめたさ?を感じてしまうが南アルプスなら諦めもつく(笑)

行先は南部に位置する「茶臼岳」。スタート地点は静岡の畑薙ダムとなるがここは北陸からだとめっちゃ遠くて行きづらい。

東京に住んでる今がチャンス!だし天気の並びからすると入山する人も少なそうだということですんなり行き先が決まった。

 

午後には天気が下り坂になるので出発は0時を予定。Mさんはあまりこういう山行スタイルは経験がないようだがロングの時はこっちの方が気持ちに余裕が持てるし、登りで真っ暗でも帰りに景色が見られるのでピストンも楽しめるので効率的なのだ。といいつつ、結果的に色々準備してたら出発は1時になった。

茶臼岳は自身2度目だが冬季は初めてだし今回のルートも未経験だった。未経験のルートなのに夜中スタートとはけしからん、と言われそうだしある意味その通りなのだが、これまでも色んな山域でこのパターンで登って経験積んできているので許してください💦

 

ということで初ルートだがランドマークの畑薙大吊橋の存在は知っていた。噂の吊り橋を今回渡れるのも楽しみだった。

登山のスタートが吊り橋というパターンは多いし、そうでなくても道中に吊り橋を持つ山も多い。

典型的なのは白山だが、その吊橋より長くて不安定、でも踏み板は冬でもしっかりついているので安心だった(当たり前)

日本海側の山域は雪崩や雪の重みに耐えきれなくなるので踏み板を外したり小屋を解体したりするが南部の山域はあまりそういう気の遣い方をしなくていいので比較的管理は楽なのかもしれない。

 

茶臼岳に向かうルートで有名な畑薙大吊橋を渡る。怖くはないが結構揺れた。

 

下部に雪はないが崩壊地も多くてなかなかスリリングだった。初見で夜中に来る場所ではなさそう。

 

吊橋も途中に何か所もある。踏み板は雨でツルツル。雪より滑る。

 

ウソッコ沢はちょっとしたルーファイが必要。初見泣かせの区間でもある。

 

横窪沢小屋手前の沢の徒渉。なんとか飛び石で行けたが岩が凍っていてシビれる渡渉だった。

 

雪がない夏道でも横窪沢小屋まで4時間かかった。思ったよりスリリングで楽しかったがMさんは精神的に疲れた~とか眠い~とかネガティブ発言が増えていた。何度か途中で引き返すか聞いてみたが行きたい気持ちもあるらしく「行けるところまで行ってみよう」というモードでだましだまし進んでいった。

夜中スタートの山行は朝5時ごろが眠気のピークとなる。単調な林道ではほぼ寝ながら歩くことになるが今回のように緊張感のあるルートの場合寝るわけにもいかず、かといって集中力を維持するのもきついので精神的に疲れるのだ。Mさんにとっては慣れない夜中スタートでいつもよりストレスを感じてしまったようだ。

標高1900mを過ぎて周囲も明るくなってきた。霧氷や朝日が出てくると眠気も覚めてモチベーションも上がってくる。Mさんにとっても例外ではなかった。ちょうどこの辺りから体力的にも疲れてきて雪も深くなりラッセルや踏み抜きもきつくなってきたが絶対登頂して絶景を見るんだ!という強いモチベーションの方が上回っていた。

 

明るくなってくると一気に眠気が覚めてモチも上がってくる

 

樹林帯で迎えるご来光

 

踏み抜き…というか落とし穴も多数。

 

常時脛~膝ラッセルが続いたが登頂したいというモチベーションの方が勝っていた

 

茶臼小屋到着!樹林帯から抜けるとラッセルも踏み抜きもイージーモードになった

 

期待通りの景色。降雪直後の雪景色が貸し切りとかこの上ない贅沢だった

 

期待通りのキラキラの景色にパウダースノーの景色を見るとどうしても山スキーで来ればよかったのではないか?という気持ちが湧き出てくるが、あの下部の徒渉やアスレチックを思い出して「いやいや、今日はツボで正解だったんだ」と無理やり気持ちを抑え込んだ。何年か前に山スキーで小渋川を渡渉しながら赤石岳に登った時のことを思うと今回の方が全然スキー向きだが考えないようにした(笑)

 

南アルプスらしからぬ景観。

 

稜線も山頂も期待通り、いや期待以上の景色だった。

山脈の高いところはともかく、樹林帯も前日の雪で真っ白に化粧していた。

それに遠望も素晴らしく中央アルプスや御嶽山、富士山はもちろん、槍穂や白山まで視認することができた。

しかも貸切ノートレース。こんな条件が整ったタイミングでこの山に登れることは早々ないだろう。今日ここに来て本当に良かった。山スキーじゃなくても十分満足させてもらえる景色だった。

 

稜線に出るとこの絶景。右に上河内岳、真ん中に聖岳。南アルプスの山はひとつひとつがバカでかい。

 

聖岳アップ。いつかスキーで行ってみるか…馬鹿らしいけど笑

 

遠くに白山が!まさかここから見えるとは思わなかった。ということは逆も…

 

茶臼岳までもう少し。

 

ビクトリーロード

 

Mさん初登頂おめでとう。

 

寒くはなかったがラッセルで手が濡れるのでテムレス装着。Mさんにサングラスを貸したので仕方なく地獄ゴーグル(笑)

 

南には光岳とか加加森山とか。夏に2回ほど登った懐かしい山域だ。

 

雲海と雪庇と富士山

 

聖、赤石、悪沢の豪華トリオ

 

快晴微風で完璧なコンディションだったが下山も時間がかかるのでそろそろ戻ろう。

次の日も休みという条件が安心感を与えてくれた。

 

下山開始。上河内岳に向かって

 

お金では買うことができない景色もある。

 

だが良いことばかりでもない。下山は太陽の光を浴びた雪が下駄になって大変だった。

 

帰りも渡渉はあるが明るければ全く問題ない。ドボンしても帰るだけだし。

 

行きで見られなかった景色を楽しみながら。

 

アスレチックは続く

 

暗い中よくこんな場所を歩いたな

 

大吊橋まで戻ってきた。本当に立派な橋だ。

 

2.5km林道を歩いてゴール!久しぶりに完全燃焼だった。

 

山スキーもいいけど、たまにはスキー向きではない山域をツボ足で歩くのも悪くない、そう思わせてくれた貴重な山行となった。

 

ルートやコースタイムなど詳細情報はヤマレコへ!