シリコンバレーロックダウン後日記

起点はシリコンバレーがロックダウンされた2020年3月。2021年6月、シリコンバレーのロックダウンが解除されてから、シリコンバレーと世界がどのように回復に向かっていくのかを日記に記録してみようと思う。

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試される良識(ロックダウン70日目・現時点の解除予定日まで残り7日)

*この日記でロックダウンと呼んでいる規制は正確にはShelter-in-PlaceまたはStay-at-Home(自宅避難)規制と呼ばれています。ロックダウンには広範囲の意味があり、緩い規制から厳しい規制にまで幅広く使われいます

米国は今週末、メモリアルデーウィークエンドと呼ばれる三連休だ。初夏の到来を告げるこの三連休は、ビーチに出かけたり、キャンプに出かけたり、友達や親戚を集めてバーベキューパーティをしたりするのが米国の一般的な過ごし方だが、今年はロックダウンのために自分の家でおとなしく過ごしている家族も多いと思う。

一方で、ロックダウンに入ってから2ヶ月がすぎ、繰り返される同じ日々にうんざりしていた人々の中には、規制が緩和されたため時期と重なったこともあり、もういい加減少し楽しんでもいいだろうと気が緩みだしている人も多い。

シリコンバレーでは、同じ家に住んでいる人以外の客を招待しても、もしくは別の家の人から招待されても、現時点では規制違反だ。しかし、にも関わらず、近所の公園の横を通りがかったら、15人ぐらいの男性が集まって、公園に簡易ネットをはってバレーボールをしているのを目撃してしまった。どう考えても1つ屋根の下に住む家族には見えないので、どこか近所の家でパーティが開かれているのだろう。もちろんマスクをしてバレーボールをしている人はいなかった。

確かに気持ちはわかる。私たちは70日もの間、規制を守り、シリコンバレーの感染者の数を抑えてきた。死者にいたっては今日もゼロである。しかし、ここまで来れたのは皆が規制を守って家に留まり、外ではソーシャルディスタンスを守って行動して来たからなのだ。ウィルスが消えた訳でも、特効薬が見つかったわけでもない。

感染に最新の注意を払っていれば小さなパーティぐらい大丈夫だと思う人たちもいるだろう。わかる。すごくわかる。しかし、今日のニュースによれば、お隣のサンタクルーズ郡で先週から新たに発生している4個のクラスタは、いずれも母の日の前後に、同じ家の住人以外が集まったパーティで発生していた。このニュースだけでも、人々が集まること、パーティを開くことが感染拡大に繋がる可能性が高いことを明確化している。

ロックダウンが人々から奪ったものの中で、一番クリティカルなものの一つは家族以外の人々との交流だ。家族で過ごすのは悪くない。普段バラバラなスケジュールで一緒に過ごす暇もない家族が、ロックダウンを機会に集うようになったのであれば、それは良い副産物だ。しかし、家族ではない人々、友人や知り合いと集まって、喋ったり、笑ったり、意見交換したりすることも、人々の日常の大切な時間だった。

だから、集まりたい気持ちは誰だってわかる。そして、だからこそ、感染を拡大しないためにパーティを開かないで我慢している人たちにとって、規制を違反して楽しむ人たちの姿を見ると、なんとも口惜しい、残念な気落ちでいっぱいになる。せめて、彼らの中で新しいクラスタが発生しませんようにと呆れつつ祈るしかない。

規制に違反しても、現時点では罰金も罰則もない。ただ、コミュニティを守るための良識が試されている。これは、人種を筆頭に、言語、文化、伝統、社会階層が多様な米国では、日本では想像もできないほど難しい挑戦なのだ。

今週末は、あちらこちらの公園やビーチに人が繰り出した。皆マスクをつけて、お互いに近づきすぎないように工夫をしてアウトドアを楽しんでいる。明日からカリフォルニアは熱波に襲われる予報だ。カリフォルニア人は今週末、ロックダウン解除後の世界での過ごし方の予備テストを受けている。1、2週間後に感染者が増えるようなことなく、無事にこのテストに合格したい。

 

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