地域手当制度で地方が疲弊

国や自治体は地域手当制度を撤廃せよ

 

 

先日、阿見町の職員採用について書きました。40歳まで応募可能、茨城県内でも全国でもトップクラスの制度です。このことによって、他の自治体や民間企業出身などから社会経験を積んだ、多くの優秀な職員が採用されることになりました。組織は刺激を受けました。

 

しかし、その後、優秀な人材が近隣の自治体へ流出するという事態が続いています。その大きな原因は、地域手当の存在です。地域手当とは、同じ省庁や自治体、企業でも、勤務地によって生じてしまう支出の差(物価や暖房費など)を埋めるための手当です。勤務地手当や調整手当、地域給とも呼ばれます。公務員の場合、同じ地域の民間企業との賃金水準の差を調整するという目的もあります。

 

茨城県内の地域手当の支給地一覧

給地ランク

手当率(%)

該当市町村

20

東京23区

16

取手市、つくば市

15

守谷市

12

牛久市

10

土浦市、日立市、水戸市、龍ケ崎市

古河市、ひたちなか市、神栖市

笠間市、鹿嶋市、筑西市

※茨城県は、2017年度から一律6%を支給しています。

 

地域手当は物価が高い都市部に支給する都市手当のほか、特地勤務手当や寒冷手当などがあります。主に国家公務員に適用される手当で、合理性もありました。しかし、地方公務員の地域手当はさまざまな問題点があり、地方自治体から廃止の希望も多くあります。

 

一番の問題は、同地域の民間企業との賃金差は解消できても、自治体の違いによる格差が生まれることです。隣り合う自治体でも格差が生じることがあります。

 

たとえば、阿見町とつくば市を比較してみると16%の格差が生まれます。ほぼ同じ年齢で40万円の「給与」だとすると、つくば市は、「給料、管理職手当及び扶養手当の月額の合計額に16%を上乗せします。阿見町にはそのような手当てはありませんので、年間にすると100万円くらい違うということになります。こうした給与格差があれば、よほどの事情がない限りつくば市職員を選択するのではないかと思われます。

 

議会は、市町村によって千差万別ですが、行政は市町村によって大きく異なる仕事をするということはありません。同じような仕事をしていても、給料だけが変わるというのが、地域手当の現実です。

 

解決方法は、1、地域手当の撤廃、2、近隣の市町村に合わせて地域手当を支給する、というようなことになると思います。しかし、一度、生活給として支給されている手当を撤廃することはほとんど不可能です。

 

そうすると、2の方法となりますが、国は地方交付税を減額するという「いじめ」をしてくる可能性が高いと思います。東海村や神栖市のように不交付団体ならばいざ知らず、地方交付税に頼って自治体を運営している自治体が大半ですから、兵糧攻めに遭うとすぐに引っこめるということになります。国が解決の方向性を放置しているならば、私は、2の方法での解決を模索すべきだと思います。

 

こうした地域手当の存在という制限がある中で、優秀な職員を確保するというのはなかなか難しいと思います。その解決が、年齢制限の撤廃だけでないことは分かり切っていますが、それでも、公務労働への意欲と地域活性化へのアイディアを持った職員が応募してくることを期待したいと思います。

 

この地域手当は、保育士や幼稚園の先生、介護の職員の等、すべての職種に応用されています。保育士の確保も、保健師の確保も、つくば市と比較すればきわめて困難ということになります。

 

以前の記事

 

地域手当 特別地方交付税減額 2009年3月9日

https://ameblo.jp/sougousenryaku/entry-12486758814.html

地域手当 那珂市の場合 2007年6月8日

https://ameblo.jp/sougousenryaku/entry-12486758190.html