【2020年5月27日】「小松菜の日」にちなんで小松菜のことを調べてみた〜旬は冬だけど〜
《この記事の文字数:約3,700》
ちょっと読み応えアリ
どうも、chimonです。
今日5月27日は、5(こ《ま?》)2(つ)7(な)ということで「小松菜の日」らしいですよ。
語呂合わせ以外、特に深い意味はないみたいなんですが。笑
ってことで、今日はなかなか興味深い野菜「小松菜」について深掘りしていきます。
1. 小松菜の旬は冬だよ
いきなりなんですが、そもそも小松菜の旬はこの時期ではありません!
だから言ったじゃないですか。「5月27日は語呂合わせでしかない」って。笑
そんな単純な理由だけで記念日を制定していいのかって、chimonは若干思ってしまうわけなんですが、仕方ありませんね。
「小松菜の日」自体は、2006年に大阪・堺市で小松菜などを栽培する会社が定めたものだそう。
で、肝心の小松菜の旬は冬です。
言われてみれば、関東風のお雑煮に欠かせない具ですよね。
お雑煮って地域差がかなりあるものですが、東京生まれのchimonにとっては「醤油ベース、具は角餅、鶏肉、(にんじん)、そして小松菜」っていうのがベーシックなイメージ。
江戸時代末期の1837年から約30年間にわたって書き上げられた、江戸の風俗誌『守貞謾稿』にも、以下のように書かれています。
諸国ともに雑煮を食ふ。
(中略)
江戸は切餅を焼き、小松菜を加へ、鰹節を用ひし醤油の煮だしなり。
喜田川守貞著、宇佐美英機校訂『近世風俗志(四)(守貞謾稿)』P149より一部引用
つまり、少なくとも江戸では小松菜が庶民の野菜として親しまれており、雑煮に欠かせない具だったことが推測されますね。
別名「冬菜」「寒菜」なんて呼ばれることからも、冬が旬であることがよくわかります。
また、春先にかけて採れる小松菜は「鶯菜(うぐいすな)」とも呼ばれます。
小松菜は耐寒性に優れているらしく、霜が一、二度降りた方が、葉の甘味が増して柔らかく美味しくなるんですって。
霜害にめっぽう弱いお茶とは正反対!
himekuri-nippon.hatenablog.com
小松菜の遠いご先祖は、南欧の地中海沿岸が原産地と考えられているそう。温帯育ちだから比較的寒さに強いし、日本の気候にも合ってるってことなんでしょう。
対するお茶は、亜熱帯の中国雲南省周辺が原産と言われていますから、そりゃ違いが出るわけです。
やっぱり、農作物っていうのは、元々育った場所の気候に適応しているもんなんですね。
元は冬が旬だった小松菜ですが、今となってはオールシーズンの野菜と化しています。
というのも、小松菜ってとっても優秀な野菜で、夏に種をまいたらまいたでちゃんと育つみたいなんですよね。しかも、冬より夏にまいた方が収穫までのスピードが速い。
おまけに種を入手しやすく、栽培も比較的しやすい!ということで、今や日本の食卓に欠かせない野菜になっているというわけなのです。
2. 小松川の小松菜
「小松菜」って名前の由来はご存じでしょうか?
これは有名な話かもしれませんが、東京江戸川区の「小松川」という地名に由来していると言われています。
言い伝えによると、江戸時代の1719年、時の徳川将軍・吉宗が鷹狩のために小松川を訪れました。
その際、吉宗は香取神社(現在の新小岩香取神社)を参拝します。
出迎えた神主は「何か将軍に出せるものはないか?!」と考えた末、お餅の入ったお澄ましに、地元産の青菜を少々添えて出しました。
すると、吉宗は美味しさに大喜び!
「この青菜は何と言うのじゃ?」と、神主に尋ねました。
しかし…地元で愛されていたこの青菜には、名前がありませんでした。
吾輩は青菜である、名前はまだない。
これを聞いた吉宗は、「小松川で採れる青菜なんだから、『小松菜』でどうじゃ!」と言ったそうな。
(将軍の言うことには逆らえませんから)結果、吉宗の命名した「小松菜」という名前で広まっていきましたとさ、ちゃんちゃん。
話は逸れますが、吉宗って歴史に名を残す将軍だけあって、いろんなところで名前ができますね。
当ブログの記事で言うと、「赤坂氷川神社」の社殿を造営したのも吉宗でした。
himekuri-nippon.hatenablog.com
で、小松菜の話に戻します。笑
要は、吉宗が名付けるまで「名もなき菜」だったってことになりますが…
ここでもう一つ、小松菜の由来に関する説をご紹介しておきましょう。
それが「葛西菜」と呼ばれていた青菜が、改良されて「小松菜」と名付けられたという説です。
葛西も江戸川区の地名ですから、どちらにせよ、現在の江戸川区周辺で古くから栽培されていたというのは間違いなさそうですね!
なお、紹介した2つの説が合体して「葛西菜を食べた吉宗が小松菜と名付けた」というハイブリット説も存在しており、もはや真実は闇の中。。笑
どうでもいい話ですが、chimonは一時期葛西に住んでいたので、何だか懐かしい地名です。はい、どうでもいい話でした。ちゃんちゃん。
となると、何で江戸川区あたりで作られるようになったん?という疑問が湧いてきますよね?
小松菜のご先祖様にあたるアブラナ科の野菜は、中国から鎌倉時代に日本へ伝来したと考えられています。
ただ、それがどのように江戸へ伝来してきたのかは謎です。
3. 関東人は葉物野菜がお好き?
小松川生まれということもあり、小松菜は長らく関東で愛される野菜でした。
今では全国的に食べられていますが、それでも関東地方が栽培の中心。
2018(平成30)年の都道府県別生産量ランキングを見てみると…
1位:茨城県
2位:埼玉県
3位:福岡県
4位:東京都
5位:群馬県
となっております。
出典はこちら!
6位に千葉県、7位に神奈川県もランクインしていることから、今もなお関東地方が栽培の中心となっていることがわかりますね。
というか、東京がこんなに上位の農作物ってかなり珍しいのでは??
chimonが知ってるのはウドくらい…(2016年時点で東京が生産量全国9位)
関連して、ちょっと面白いデータがあります。
それが、総務省統計局の発表している「家計調査」のデータ!
注目は「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html)という調査結果です。
要するに、食品の品目別に、世帯ごとの平均購入価格・購入数量をランキング化したもの。
小松菜を含む「葉茎菜」のランキングを見てみると、購入価格・購入数量ともに関東地方(特に首都圏)の都市が軒並み上位に位置しています。
購入価格に関しては、都市部で物価が高いことを考えれば当然の結果と言えますよね。
一方の購入数量のトップ10を見てみると…
1位:千葉市(約74kg)
2位:秋田市(約72kg)
3位:新潟市(約68kg)
4位:川崎市(約68kg)
5位:相模原市(約67kg)
6位:盛岡市(約66kg)
7位:大津市(約66kg)
8位:さいたま市(約66kg)
9位:東京都区部(約66kg)
10位:横浜市(約65kg)
TOP10のうち、実に6つを首都圏の都市が占める結果に!
数量を見ても、全国平均が約59kgであることを考えると、やっぱり首都圏の各都市は消費量が多め。
理由の一つとして考えられるのが、葉物野菜の鮮度が短いこと。
鮮度が短いため、多くの消費者にすぐ届けることができる大都市近郊で作られる、言わば「近郊野菜」として生産されることが多いわけです。
生産量が多い→供給量が多い→買い求めやすい→消費量が多い!という論理は成り立ちそう。
それなら、同じく大都市圏で近郊野菜が多く作られる関西圏や名古屋圏も、購入数量が多くなりそうなもんですよね?
これに関しては、関西圏は比較的購入数量が多いようです。
12位:京都市(約64kg)
14位:大阪市(約63kg)
16位:堺市(約63kg)
…
45位:神戸市(約53kg)
どうした、神戸?笑
こうなると、首都圏の各都市の方が満遍なく葉物野菜を食べている、とは言えそう。
名古屋圏は…
29位:名古屋市(約59kg)
32位:津市(約58kg)
35位:岐阜市(約57kg)
これは、首都圏に比べて明らかに少ないと言えますね。
総じて大都市圏の中でも、特に「関東人は葉物野菜がお好き」と言っていいのかもしれません。
その一翼を小松菜が担っているのではないか?という、chimonの勝手な推測でした!笑
4. おわりに
今回は「小松菜の日」にちなんで、小松菜について深掘りしてきました。
よく「小松菜とチンゲン菜って何が違うの?」的な話を聞くんですが、確かに似てますよね。違うけど。
それもそのはずで、かつて江戸時代に栽培されていた小松菜と、現在一般に流通している小松菜は別物らしく…
品種改良の過程で、チンゲン菜と交配しているものもあるみたい!そりゃ似てるわな。
中国と日本のハーフみたいな。笑
交配を続けてさまざまな種類が生まれても、変わらず「小松菜」として愛されるってことは、それだけ日本人にとって馴染み深い野菜だってことなのかもしれませんね!
今回はここまで!
(参考資料)
・喜田川守貞著、宇佐美英機校訂『近世風俗志(四)(守貞謾稿)』岩波文庫, 2001
(参考WEB)
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chimon