変化球習得のデメリット

変化球習得のデメリット

多彩な変化球を操るピッチャーへの憧れを持つ選手も多いと思いますが、変化球を投げることで、真っすぐや他の変化球に悪影響を及ぼすケースがあります。

変化球を投げるピッチャー

今回は、変化球習得のデメリットについてご紹介します。

他の球種のボールの回転が変わる

スライダーが持ち球のピッチャーが、スライダーと逆方向に曲がるシュートやチェンジアップを覚えようとした場合、シュート回転のボールを投げ込むことで、スライダーにも無意識のうちに同じような回転がかかってしまうことが多くあります。

プロ野球で言えば、福岡ソフトバンクホークスなどで活躍した新垣渚選手の例で、2006年のオフにシュートを習得したことが例としてあります。

シュートを習得したその年、そのせいで指先の感覚が変わってしまい、 スライダーが抜けるようになったり、引っかかるようになり、そのシーズンにNPB新記録の22暴投とすると、故障離脱するまで25暴投まで記録を伸ばし、最終的に7勝10敗の成績で終え、3年連続の2桁勝利が途絶えました。

新垣渚選手のワイルドピッチ
写真:YVyUYyT2VSh4aH より

このようにキレのよかったスライダーが、本人も気づかないうちに中途半端な変化になってしまい、同じことが真っすぐにも言え、本来はキレがよく伸びるような真っすぐを投げられていたのが、無意識に余計な回転がかかることで、キレやコントロールのズレが生じてしまいます。

その為、まずはストレートと1つか2つの変化球を組み合わせて活かすことを考えて変化球を覚えることが重要です。

高校時代は投げなかったスライダー

プロ野球からMLBへ渡った投手で、高校時代に他の球種への影響を考慮してあえてその球種を投げなかった判断をした選手がいます。

前田健太選手の代名詞は150kmのストレートとスライダーですが、プロ入り前のPL学園高校時代には、スライダーを持ち球にはしていませんでした。

また、大谷翔平選手の持ち球と言えば、最速165kmのストレートと鋭く変化するスライダー、落差のあるフォーク、時折挟むカーブですが、前田選手と同様高校時代にはスライダーを投げることで身体を横に振るようになってしまい、ストレートに影響が出る為、投げる球種としていなかったそうです。

今の野球界は、スライダー全盛時代とも言われ、プロ野球やMLBの投手をはじめ、甲子園の球児もカットボールなどを含めたスライダー系の変化球を持ち球にしているのを多く見ますが、

「スライダーに頼りたい気持ちは分かりますが、スライダー系には危険が伴います。特に、中高校生から投げるのはあまりおススメしません。身体ができて、フォームが固まってからにするのがいいと思います」

Number Web より

と、山本昌も提言しています。

このように、スライダーをはじめ変化球を曲げようとして腕の振りを緩めていくことで、ストレートの腕の振りにも影響を及ぼす為、自分に合う球種についてもよく見極めながら投げる球種を決めていくようにしましょう。

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ケガのリスク

変化球の習得を目指す場合、ケガのリスクがあります。

ストレートを投げる場合、体の横かつ斜め上から腕を振りますが、カーブを投げる場合、より縦の方向から投げ下ろすように腕を振らなければならない為、その分肘も高く上げる必要があり、肩甲骨の柔軟性が求められます。

これは、自分の体が自然に動かないほうへ無理やり動かすことになり、腕だけで投げてしまう為です。

またシュートを覚えようとした場合、若干体を開きながら腕をひねる動きをしますが、柔軟性がない場合体が開きすぎてしまい、腕だけで投げてしまい、リスクが大きくなります。

1球毎に同じ投げ方をしていても、軌道や変化は微妙に異なるのは力の入れ具合や腕の振りに微妙な違いが出る為、毎回同じ状態で投げられることはありません。

そのため柔軟性がないのに練習を続けていれば、たった1球で体を痛めてしまう危険性もはらむので、体の柔軟性を身につけ、本格的な変化球の練習に入っていくようにしましょう。

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変化球習得のメリット

変化球を習得する利点は、単に打ちにくい球を投げるという強みばかりか、ストレートをより速く感じさせられ、その緩急操作が打者に本来のスイングをさせない、巧みなピッチングスタイルをつくっていくことにもつながります。

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