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ELISA(酵素結合免疫吸着法)の原理

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ELISAの原理

新型コロナウィルスの抗体検査で使用されるELISAについて解説します。

酵素免疫測定法(EIA)

酵素免疫測定法とは抗原抗体反応を利用する免疫測定法(Immuno Assay)の一種で、

 Enzyme Immuno Assay(EIA)と呼ばれています。

・目的とする抗原or抗体を、酵素標識抗体と結合させ、

 酵素の発色基質を加え、その発色を測定して目的とする抗原or抗体を定量します。

放射性同位体を標識抗体に用いるRadio Immuno Assay(RIA)に対し、

 EIAは酵素を標識抗体に用いており、標識方法の違いを区別するための呼称です。

酵素結合免疫吸着法(ELISA)

酵素結合免疫吸着法Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay(ELISA)のことで、

 主に96ウェルプレートのウェル底に捕捉用の抗体or抗原を固相化したEIAを指します。

ELISAには直接法、間接法、競合法、サンドイッチ法など幾つか種類があります。

・新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の抗体検査に利用されている間接法、

 その他の検査でよく利用されるサンドイッチ法について解説します。

※あくまで現時点で調べた限りであり、今後、他法も利用される可能性があります。

間接法

・ウェル底の固相化抗原で試料中の抗SARS-CoV-2抗体を捕らえた後、

 その抗体に標識抗体を結合させ、発色基質を加えて測定します。

サンドイッチ法

・サンドイッチ法という名称は、試料中の目的とする抗原or抗体を、

 ウェル底の固相化抗体と、添加する酵素標識抗体で挟み込むことに由来します。

・ウェル底の固相化抗体(一次抗体)に試料中の抗原or抗体が結合し、

 その抗原に酵素標識抗体(二次抗体)を結合させ、発色基質を加えて測定します。

イムノクロマト法との比較

・イムノクロマト法は簡易・迅速に検査できますが1キットで1検体のため、

 多くの検体を検査できず、また陽性・陰性を定性することしか出来ません。

ELISAでは主に96ウェルプレートを用いた場合、1キットで96検体を測定できるため、

 多くの検体を一度に測定でき、また抗体濃度を定量することができます。