宝島社の「このミス」関係の一冊。ポストモダンというかサブカル風というか、ポップなタイトルで手にした。
クリスティーの「そして誰もいなくなった」をはじめ、ミステリーと童謡や童話の親和性は高い。そのへんは作者も当然意識していて、十分に効果を出している。最後に「何故、森のくまさんでなければいけなかったのか」が判明すると、凄惨な物語であるに関わらず小さな笑いがわき起こる。いわゆるシリアルキラー物であるが、その小さな笑いが、救いにもなり、また、断崖から落とされることにもなる。背反するものを描くということは、すなわち人間を描くということだろう。