民事訴訟の前提知識!処分権主義と訴訟物について【民事訴訟法その2】

処分権主義・訴訟物民事訴訟法

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法上向
法上向

民事訴訟においてまず最初に考えるべきものは何だと思う?

えっと,請求ですか?

法上向
法上向

んー,不十分だなー。一番最初に考えるべきは訴訟物だよ!

民事訴訟は訴訟物からすべての話がスタートします。つまり,訴訟物を押さえないと何も始まらないということです。今回は民事訴訟の訴訟物について理解することを第一に進めていこうと思います。また,民事訴訟の提起での考え方である処分権主義についても触れていきます。

処分権主義・訴訟物のポイント

まず,訴訟の開始での考え方,処分権主義について押さえます。

次に問題になるのは訴え方です。これには,給付訴訟確認訴訟形成訴訟の3つがあります。

そして問題になるのは審理対象です。審理対象は訴訟物のことを言います。

これらの点について学説上の対立はありますが,ここでは無視していこうと思います(笑)。特に初学者によっては惑わすものでしかないからです。ただし民事訴訟法は学説の対立を勉強する分野でもありますので,言葉自体には触れていきたいと思います。

①処分権主義とは何かを理解する。
②訴訟物を理解する。
③訴え方の3種類について押さえる。

処分権主義は当事者主義が背景にある

処分権主義」という言葉をいきなり聞いても「知らんがな」って感じですよね。

処分権主義とは,訴訟の開始,審理対象,終了において,裁判所は当事者主義をとりますよ,という考えです。つまり,訴訟の開始に限定して言うと,訴訟は当事者が訴えないと始まりませんよ,ってことです。

え,そんなの当たり前じゃないですか

と思われた方もいるかもしれません。しかし,処分権主義を逆に言うと,どんなに民事上悪いことがあっても当事者が訴えなければ始まらないことを意味しています。そのため,民事訴訟でまず相手を訴えたい場合は,当事者が訴えようという意思が必要をもち,実際に訴えないとダメなわけです。

何か,民事上不満に思うことがあっても,裁判所からは動いてくれないので,自分で訴えてくださいね。さらに,自分で対象を設定してください。裁判所は判断しませんよ,ということも意味します。

なるほど,じゃあ訴えたい場合は自分から動くってことだね。じゃあ,審理する内容も自分で決めないといけないわけか。
以外とだるいな。

法上向
法上向

民事訴訟は刑事訴訟とは違って,自分で訴えて審理対象も設定していかなければいけないから,大変ってことだね。

自分で審理対象を設定しないといけないのが処分権主義から出てくるのでした。では審理対象はどう設定すればよいのでしょうか。次に進んでみましょう。

審理対象の基本は訴訟物

まずは何について争うか決めなければなりません。その訴訟対象(審理対象)のことを訴訟物と言います。つまり訴訟で対象とする法律関係というわけです。

ここで旧訴訟物説新訴訟物説といった学説の対立がありますが,こんなものどうでもいいです(過激)。実務は旧訴訟物説で動いていますので,旧訴訟物説で行こう進めてみます。

旧訴訟物説をかみ砕いて説明すると,実体法(民法)の条文によって訴訟物が区別されるという考え方です。例えば債務不履行による損害賠償請求権(民法415条)と不法行為による損害賠償請求権(民法709条)は別の訴訟物であるとします。そして実体法上の権利,法律関係=訴訟物というわけです。

とはいえ,訴訟物概念はなかなかイメージしにくいものです。ここではざっくり,

審理の対象となる法律関係のことで実体法(民法)によって区別する,と考えておけば大丈夫でしょう。

審理対象の設定のポイントは訴訟の種類

さて,訴訟物が決まりました。この次考えるポイントは訴え方です。

裁判所には大きく分けて3種類の訴え方があります。給付の訴え確認の訴え形成の訴えです。

簡単に言うと,デオキシスのアタックフォルム,ディフェンスフォルム,スピードフォルムみたいなものです。

それぞれについてみていきましょう!

給付の訴え

給付の訴えとは文字どおり,給付してくれ,というものです。ある請求権を根拠に相手方に「〇〇してくれ」というものですね。

我々がイメージする一番メジャーな訴訟形態だと思います。某法律テレビ番組でで出てくる訴訟で「絶対に訴えてやる」と言った場合の訴えのほとんどは給付の訴えでしょう。

給付の訴えによる給付訴訟で請求が認められると,既判力執行力が生じます。既判力とは,法律関係の存否の判断,つまり権利があるという判断です。執行力とは強制執行できる力と捉えておけば大丈夫でしょう。

確認の訴え

確認の訴えも,文字通り確認を求めるものです。多くは「〇〇の権利ってあるよね」「〇〇の義務ってないよね」といった確認を求めることになります。

確認の訴えによる確認訴訟では,請求が認められると判決により既判力が生じます。ここで注意なのは執行力はないという点です。確認訴訟はそもそも権利があるかないか(=既判力と同じ!)を求める裁判ですので既判力しか生じないわけですね。権利があるから行使しろ!強制的にやらせるぜー!ということはできないわけです。そうさせたいのなら給付の訴えをしなさい,というわけです。

形成の訴え

形成の訴えは法律関係の変動をもたらす判決を求めるものです。これはレアですし,形成の訴えができる場合については法律に書かれています。それ以外の場合で形成の訴えをすることはできません。形成の訴えの例としてよく挙げられるのは,会社法の株主総会取消しの訴えみたいなものですね。

一応,会社法の株主総会取消訴訟についてのリンクを貼っておきます!

形成の訴えによる形成訴訟の場合は既判力の他,形成力も生じます。形成力とは法律関係を変動させる力のことです。そもそも形成力が法律関係を変動させることを目的としてましたから当たり前ですね。

まとめ

訴え方には三形態,給付の訴え確認の訴え形成の訴えがあるのでした。さらにこれらの訴えによる訴訟,給付訴訟,確認訴訟,形成訴訟の判決の効力を確認してみます。

給付訴訟で請求が認められた(認容)の場合には,既判力執行力が生じます。逆に認められなかった(棄却)の場合には既判力のみが生じます。

確認訴訟で請求が認められた(認容)の場合には,既判力が生じます。逆に認められなかった(棄却)の場合にも既判力が生じます。

形成訴訟で請求が認められた(認容)の場合には,既判力形成力が生じます。逆に認められなかった(棄却)の場合には既判力のみが生じます。

あれ?どれも請求が認められない(請求棄却)の場合には既判力だけが生じるってことですか?

 

法上向
法上向

いいところに気がづいたね。よく勘違いされるけど,訴訟に負けた場合には何も生じないわけではないんだよ。既判力が生じるんだ。既判力についてはまた別の講で触れるが,基本的に請求がないという判断が生じて,以後,この権利について争うことができなくなるのさ。

まとめ

以上,民事訴訟法の最初の部分について解説してみました。訴訟を提起して以降生じる処分権主義,あいつ訴えたいなと思ったときに最初に考えるべき訴訟物,次に考えるべき訴え方。

このストーリーを頭に入れると民事訴訟法の理解がしやすくなると思います。自分自身が訴える側となって自分なりのストーリーを形成してみましょう。

以下にその例を載せておくので自分なりに置き換えてみるとわかりやすいと思います。

「あいつ,嫌な奴だな!毎回いじわるしてくるし。訴えよう!」と考えた。
①まず民事訴訟においては処分権主義があることを意識する。
「自分が主張しないと訴訟は始まらないし,自分の主張した対象しか審理されないんだな。自分がしっかりしないといけないな。」
②次に訴訟物を考える。
「いじわるしてくるからお金とれないかなー。民法の条文で何かいいのないかなー。あ,709条の不法行為が使えそうかな。」=訴訟物は不法行為による損害賠償請求権となる。
③そして訴え方を考える。
「不法行為の損害賠償請求権があることの確認を求めてもお金とれないからなー。となると,給付の訴えか。給付訴訟には執行力があるから判決によって強制的にあいつからお金をとることができるぞ。」
この①②③を考えることで,不法行為による損害賠償請求権を訴訟物とした給付の訴えをすることになる。

参考文献

民事訴訟法で初学者向けの基本書を見つけるのは難しいですが,以下の本は薄くかつ分かりやすいのでおすすめです!よかったら読んでみてください。

 

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