奇妙な話は小説などにも多く描かれています。
ミステリーともホラーとも言い切れない、そんな奇妙な物語をいくつか紹介します。
最初は「博士の愛した数式」がベストセラーを生んだ、小川洋子さんの短編集「夜明けの縁をさ迷う人々」から。
こちらを一言でたとえるなら、大人向けのおとぎ話というところでしょうか。
エレベーターの中で生まれ落ち、エレベーターの中で育ってゆく男の子の話や、一滴の涙を売る少女の物語など。
小川洋子さんのストーリーテラーとしての才能あふれる内容に仕上がっています。
非現実的な思ってもみない展開の数々は、日常から離れてリラックスしたい時にはうってつけの一冊。
続いて紹介するのは、ノーベル文学賞の候補とも言われた安部公房の代表作ともいえる「箱男」です。
元カメラマンの主人公は、ダンボール箱をかぶっている「箱男」。箱をかぶることにより、見られる側ではなく「見る側」の立場になるという発想には興味をそそられます。
しかも奇妙なのは設定だけというわけではなく、物語りの途中に挿入される手記やエピソード、さらには偽物の箱男の登場など。
その難解な構成に誰の視点に立つのか、何が書かれているのかが分からなくなっていきます。
さすがに一度読んでこの本を理解するのは困難と言われる所以です。
ただ読み終わったころには、この奇妙な面白さに取り憑かれていて、もう一度読みたくなる一冊となっています。
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