田舎の空き家、使わないなら早々に処分して下さい。

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田舎で一人暮らしをしている80歳の父親がいます。3年前から介護施設に入居しています。
そのため住まいは現在まで空き家の状態です。建物、宅地とも父親の名義です。
わたしは東京でマイホームを持っており、田舎に戻ることはありません。
父親が住んでいた家は使わなくても維持管理費や税金がかかります。空き家を処分したいのですが、方法を教えて下さい。

使わないのなら、あまり金額にこだわらず、早々に処分して下さい。でも簡単にはできません。
私は2020年3月まで市役所にいました。土地対策の相談もいろいろやってきました。知っていることを説明いたします。

目次

なぜ空き家になったのか?

私は地方の市役所に勤務していました。お盆前後に都会の方が「空き家、空き地、田んぼを処分したい」といった相談がよくありました。

親が緊急に病気になったり死亡したりした場合を除けば、今後の生活をどうするといった重要なことを、親子間で話し合ってこなかったことが原因であることが多いです。

双方の気持ちがつかめれれば、お互いに譲歩することもできたと思うのです。
そんなときはまずは経緯を聞きます。だいたいはこんな感じの話が多いです。

8歳で東京の大学に進学しました。そのまま就職、結婚。
35歳で東京郊外に一戸建てのマイホームを購入しました。
現在45歳で妻と子は兄妹の4人暮らしです。
昨年、母親が亡くなりました。父親は介護施設に入っており、田舎に一戸建てがありますが、3年前から空き家になっています。
使う予定もないので処分を考えている。

話を聞いていると、過去に両親と先々の生活について、深く話をしていない人が多いです。

このケースでいうと、マイホームを購入しようとする時点で、両親と将来について深く話をしておくべきでしょう。

「退職したら田舎に帰って両親と同居しようと思っている。」とか「同居はしようとは思っていない」とか。
相互の意思をはっきりしておくタイミングは、あったのではないでしょうか。

3年前に両親とも介護施設にはいって空き家になったときも重要なタイミングでした。
介護状況にもよりますが、意思疎通がはっきりしているのであれば、何らかの話し合いはできたはずです。

話を聞いていると親子双方とも遠慮があり、「込み入った話はしてこなかった」そうです。

そんなことで結論を後回しにして、どうしようもなくなり、相談にこられます。
後回しの主な原因は以下のとおりです。

  • 話が込み入ってくるので面倒だ
  • 親の大事な家を勝手に処分するのは忍びない
  • 更地にすると固定資産税が高くなる

空き家処分の方法

空き家の所有者を確かめる

空き家を処分するには、基本的にはその空き家の所有者である必要があります。
父親が所有者で認知症である場合、意思表示ができないと判断されると、簡単には空き家が処分できません。

相続で所有権を移転してからでないと、処分できないことになります。
それまでの間は、管理し続けなければなりません。

相談相手を増やす

空き家の処分の相手はすぐには見つかりません。下記の人・団体に相談することから始めて下さい。

【相談相手】

  • 空き家の管理者
  • 空き家に近い親族
  • 空き家の近隣者
  • 空き家のある自治会
  • 不動産会社
  • 市町村役場
  • 空き家バンク
  • 農地がある場合は農業委員会

まずは管理をお願いしている人や業者に、処分したいことの相談をして下さい。
良い情報があるかもしれません。

次に親族に相談することです。
親族が地元の自治会にいない場合は、近隣者や自治会長さんに相談してみて下さい。
自治会では空き家は不用心ですからなんとかしたい、と思っていることが多々あります。

万一、管理放棄している宅地建物や農地があれば自治会に迷惑をかけています。
お詫びなど何らかの対策を、しなければならない場合もあります。
誠意をみせることで、今後の処分がやりやすくなります。

また、自治会長さんと顔見知りになっておくことは、相手を安心させます。
先々よい売却先を見つけてくれるかも知れません。

次は不動産会社です。
いろいろな案件をもっています。
市区町村役場と連携して空き家バンクとも関係している場合があります。

市町村役場には財産の寄付採納の申請、移住対策、空き家対策、耕作放棄地問題などを扱っています。空き家バンクの事務局も市町村役場にありますので確認して下さい。
農業委員会も市町村役場のなかにあります。
ケースによっては補助金の対象になったりしますので、できるだけ頻繁に通って下さい。

市町村役場はこのように側面的な支援はしてくれますが、無償でも不動産受け入れてくれることは、ほぼありません。
財政がきびしいことと、開発目的がないので受け入れることはほぼありません。

可能性があるとすれば、建物が文化的とか歴史的に価値のある場合です。それ以外はまず無理でしょう。

土地で受け入れてもらえるのは、偶然、道路工事の用地買収に関係した土地だったといったようなケースです。(建物の物件移転補償もあるかもしれません。)

つまり開発目的があれば、受け入れてもらえる可能性はかなり高まります。

なかなか売買は成立しません

地方では駅・学校・保育園・病院・スーパーマーケットが近いなどの利便性や立地条件がよくないと、なかなか売買に結びつきません。
それどころか不便な場所では、タダでも買い手がつきません。

建物は日に日に老朽化が進んできます。
解体することも検討して下さい。

当然、売りやすくなりますが、当然余分な経費が必要になります。管理費と見比べてどうなるかと、更地にすると固定資産税が高くなることも考慮して下さい。

国の対策は

地方の一部を除いて、人口減少と少子高齢化の影響で所有権を放棄したくてもできないのが現状です。
正直なところ八方ふさがりの状態です。国の政策に期待するしかありません。

国は法務省や国土交通省が中心になって所有者不明土地対策に力をいれています。私は法手続きによって所有権の放棄を一定条件のもとで認めることを期待しておりました。

確認したかぎりにおいては登記簿に所有権を明記していないものを明らかにするとか、未相続を防止することに力をいれています。

ますます増加するであろう土地などの所有権の放棄を認めていく方向とは相当違いがあると感じました。
これではまったくニーズに答えることにはなりません。奥が深い構造的な難問なのです。

まとめ

なかなか処分することはむずかしいです。
早いうちから家族で相談しておくことが重要です。そのうえで
使わないのなら、あまり金額にこだわらず、早々に処分して下さい。

処分できないのであれば、地域の自治会、不動産会社、市町村役場の関係者と連絡を密にして、先々処分できる道筋を作っておきましょう。

そのためにも迷惑にならないよう日々の管理を心がけましょう。

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