conparu blog

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新聞の対談記事から

2020-09-01 22:33:35 | 随想

朔日の今日、朝日新聞朝刊に興味深い対談が載っていた。京都大学総長の山極壽一氏と千葉工業大学学長の松井孝典氏である。『人間と生命について考える』と言うやや硬いテーマながら、時局にあった問題意識を述べ合っている。お二人の対談を逐一載せることは出来ないが、双方を要約した自分なりの理解の範囲で記してみよう。
先ず、人間とウィルスの類似性については、外部のモノをハードとして利用する点であるが、人間はAIを、ウィルスは人体を利用して生きている。
類似性の一端を述べたもので、人間もウィルスも進化の過程で影響を及ぼしてきたとして、その元になっているのが『生命の進化には時間が関係している』という概念である。

『生命の営みとは、時間と共に解体されてバラバラになるはずのモノを、その流れに抗って秩序を保とうとすること』『増大するはずのエントロピー(エネルギーの変容)を、そうならないように捨て続けていくのが生命の働き』だと。生命体が個体として原姿を保っているのは、エントロピーを捨て続けているからだと理解していいのだろう。
『地球や他の星についても歴史的経過を見れば、時間作用によって存在の系と環境が生れてきた。人類やウィルスと同様に変化を辿ってきたのである』『時間の概念については、人間の意識と深く結びついたモノと捉える。時間は開放系であるが、エネルギーの流れの中で熱という利用できないエネルギーの発生と関係している』『我々は個々の素粒子であるミクロの世界を感知できず、素粒子の膨大な集まりであるマクロの世界しか識別できないため、個々の素粒子の情報を平均化して得られる、熱や温度という、ある意味アバウトな概念を導入して現象を理解しようとしてきた。』

宇宙の成り立ちも人体の生命も、ミクロの組成からなるマクロの世界を通して、時間と共にエネルギーの流れの中で育まれてきた、とする一体論と観てよいのだろう。この様に宇宙と生命の生成が、時間の経過とエネルギーの作用によって進化してきた事を述べた上で、更なる進化としてAIのディープラーニングに及んでいくのである。ディープラーニングの蓄積はやがてシンギュラリティのラインを超えて人間の知をリードする領域へと進化しかねない問題を含んでいる。

『人間は自らの他にAIといった知能を持ったことで、ディープラーニング(を獲得した)AIによる環境の変化に直面している。』『情報のレベルではAIの決定した思考の詳細までは理解できない』ので、AIの先行した環境が人間の今までの生活環境を大きく変える可能性を秘めている。
来るべき人間社会が、AIのディープラーニングによって、予期しない環境の変化に迫られている、と云うものだ。折しもコロナ禍のリモートワーク、スティホームと言ったビジネス環境の変化が、AIの情報化社会と結びついた時、社会環境は一変する。
新聞記事の印象から思いを綴ってみた。

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