フルータリアンの備忘録

フルータリアンとは、果物を主食にしているベジタリアンのことです。人間は果食動物? 果食動物で死ぬ?

生菜食主義の普及に最も貢献した人物――霊的指導者サティヤ・サイ・ババ

2021-01-03 | 20 世紀に学ぶ
20 世紀において、生菜食主義の普及に最も貢献した人物は、
インドの霊的指導者サティヤ・サイ・ババ (1926 年 11 月~2011 年 4 月) だと思います。

2011 年 4 月の葬儀では、世界中の要人・宗教関係者を含む 50 万人の参列者が集まり、国葬で葬儀が執り行われました。
インドで国葬されたのは、大統領など政治関係者を除けばマザー・テレサ以来であったことから、その影響力の大きさがわかります。

日本でも一時サイ・ババ ブームが起き、何もない手の中からビブーティと呼ばれる聖なる灰や腕時計・貴金属などを取り出してみせる「物質化現象」が特に話題になりました。
日本のテレビ番組では、半ば超能力者扱いで一面的な取り上げ方をされることが多く、
学校・病院の建設、水道設備の敷設などの慈善事業や、サイ・ババの思想そのものが知られることは少なかったように思います。

サイ・ババの思想で興味深い点は、食生活に関する言葉・指針を多く残しているところです。
例えば、こんな言葉があります。
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・骨を作るために、もっと人参を食べるべきです。

・ゴマの種子は動脈を清め、視力を向上させます。

(出典:『プラサード―食物に関する御言葉集―』142 ページ)
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具体的な食べ物が出てくるのが面白いと思います。
さらに興味深いことは、60 年前にサイ・ババが示唆していた食生活の科学的妥当性が今になって証明されているように見えることです。

食べ物に関する、サイ・ババの発言を集めた本『プラサード 第 2 版 食物に関する御言葉集』
(サティヤ・サイ・オーガニゼーション・ジャパン婦人部編、サティヤ・サイ出版協会訳、サティヤ・サイ出版協会、2007 年 6 月)
から、特に印象に残った 12 の言葉を紹介させていただきたいと思います。

[1] 現代人の心の中に潜む悪魔的傾向について
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食物は、人間の生命力、肉体、心、人格の主原因です。
肉体によって摂取される食物の大部分を占める粗大部分は、排泄物として体外に排出されます。
食物のわずかな部分を占める精妙な部分は、肉体に吸収されて、血液として循環します。
そして、ごくわずかな分量である、食物のもっとも精妙な部分が、心 (マナス、マインド) を作り上げます。
したがって心は、自分が摂取した食物を反映しています。
現代の我々の心の中の動物的・悪魔的な諸傾向は、自分の摂取する食物に起因するのです。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』40 ページ
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→ 菜食主義になってイライラすることが少なくなったという人は多いです。
食物は、精神の微細な動きに影響を及ぼしています。
現代にはびこる衝動的で無意味な暴力は、根本的には食生活に起因しているのかもしれません。

[2] なぜ動物たちは生まれてくるのか?
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人間が動物を殺すとき、その動物に苦しみや痛みや傷を与えます。
神はすべての生物に宿っているのですから、どうしてそのような苦しみを与えることができるのでしょう。
だれかが犬をたたくと、犬が悲鳴を上げることがあります。
犬が大きな苦痛を感じるからです。
それでは、殺されるときの苦しみはどれほど大きいでしょうか?
動物たちは、人間に食べられるために生まれて来たのではありません。
動物たちは、それぞれの生涯をこの世でまっとうするために生まれたのです。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』176 ページ
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→ サイ・ババは非菜食の家庭に生まれたのにもかかわらず、物心ついたときから肉を食べることを拒みました。
これは、少年時代に既に常人離れしていたことを示すエピソードの一つです。
そして 14 歳のとき、サソリに刺されて意識を失ったことがきっかけで、自らを聖者シルディ・サイ・ババの生まれ変わりであると宣言しました。

[3] 動物の命と植物の命は違う
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人々の中には、野菜や木にも命があるのだから野菜を切るのは暴力行為だ、と論じる者もいるかもしれません。
野菜や木にも命があることは確かです。
しかし、野菜や木には心 (マインド、マナス) がありません。
そのため、野菜や木が傷みを感じることはありません。
五つの鞘、つまり、食物の鞘、生気の鞘、心の鞘、知性の鞘、至福の鞘を備えているのは人間だけです。
心を持っている者は苦しみと喜びを体験します。
人、動物、鳥、虫には心が授けられていますが、木と野菜には授けられていません。
果実をもぐと樹液がにじみ出てくる木があります。
木から樹液が出るのは自然現象ですが、それを苦痛の涙と誤解している人たちもいます。
木は心の機能を備えていないため、傷みを感じることはありません。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』178~179 ページ
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→ 非菜食主義者の主張でよくあるのが「植物にも命があるのだからベジタリアンは矛盾している」というものです。
これに対してサイ・ババは、動物と植物は別であり同一視してはならないと言っています。
植物には傷みを感じる心 (マインド、マナス) がないからです。
動物に暴力が加えられたとき、その打撃は中枢神経系を経て脳に痛みとして伝達されます。
これは植物には見られない現象です。
また、リンゴの木から果実をもぎ取ったとしても、リンゴの木は死にません。

[4] ノン ベジタリアン フードの実害
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ノン ベジタリアン フードはガンをはじめとするさまざまな病気の原因です。
皆さんは、シンガポールやバーラタ (インド) の多くの人々は魚を食べているせいで有毒なバクテリアに感染している、
という記事を雑誌や新聞で読んだことがあるでしょう。
多くの人々はノン ベジタリアン フードは力をつけてくれるという間違った観念をもっていますが、
実際は、ノン ベジタリアン フードは健康を害します。
ノン ベジタリアン フードを摂ることでひとたび健康を損なったなら、
残りの人生を果実と塊茎を食べて森で暮らしても、決して元の健康状態には戻れないでしょう。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』164 ページ
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→ 菜食主義者はほぼすべての部位のガンにおいて、発症率が非菜食主義者よりも低いことがわかっています。
動物性食品は、植物性食品よりも食物連鎖の上位に位置するため、生物濃縮によって高濃度に汚染が蓄積している場合が多いです。

[5] 浄性の食事
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一方、健康は大きな財産であることを知る者は、サトウィック フード(浄性の食事)だけを摂ることに、たいへん気を使います。
生の食物、ナッツ、果物、発芽した豆類がベストです。
こうした食物を、少なくとも一食に、たとえば夕食時に、用いなさい。
それによって長寿は確実となります。
長寿に努めるのは、人類同胞に奉仕する手段としてその長い年月を利用するためです。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』297 ページ
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→ サイ・ババは、体と心と魂の健康のためには「浄性の食事」が必要だと言いました。
生の食物、ナッツ、果物、発芽した豆類。
生菜食主義を心がけている人たちにとってはお馴染みの食べ物です。

[6] 人間は 840 万分の 1 の例外である
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みずからの神性を発見する能力を与えられているのは人間だけです。
この点で食習慣は重要な役割を演じています。
地上の生物は 840 万種類ありますが、そのうち 839 万 9999 種類が虫や鳥や動物や獣などで、
自然界に神によって用意されたものを食べて生きており、概して病気にはかかりません。
この点で、人間は唯一の例外です。
人間は食欲の奴隷となり、スパイスを効かせて調理された種々の食物を特に喜んで食べていますが、
そのような食物が人間の寿命をどの程度縮めているかは全然知りません。
そのほかにぜひとも注意すべきことは、菜食の人々は病気にかかりにくいのに、
肉食主義者がかかる病気の数は多いという事実です。
理由は何でしょうか?
それは、肉食は人間の身体の必要と相容れないからです。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』145~146 ページ
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→ ローフードの考え方が示されています。
人間以外のすべての動物は、自然界の法則に従いローフードで生きています。
これは当たり前の法則ではありますが、人間の社会に住んでいると意識することもなく忘れてしまうようなことです。

[7] なぜ人間の世界には病気が蔓延しているのか?
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病気の主な原因は何ですか?
地球には種として分類された数億もの生き物が住んでおり、自然から確保した食物、自然によって供給されたものによって生きています。
人間だけがその例外です。
味覚や感覚を満足させるために、人間は、自然がもたらしてくれたものの構造や特性を変えて、煮たり、揚げたり、混ぜたりして、
生命力のない調合物を作っています。
鳥や獣はそのような破壊的な方法を用いません。
鳥や獣は、生のものを食べ、力を与えてくれる命のエキスを摂っています。
そのため、鳥や獣は、人間が自らにもたらしている多くの病気の犠牲になることがありません。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』296 ページ
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→ 不必要な調理により食べ物の栄養が壊れてしまうことを言っています。
私は、生菜食を実践しているうちに、コロッケやフライなどの揚げ物料理がもっとも苦手になりました。
今となっては、超高温で処理されたものを当たり前のように食べていた過去が不思議に感じられます。

[8] 食べ物の「生命力」を壊さない
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人間は、自然の状態にある生の食物を嫌う唯一の生き物です。
ほかの動物は皆、穀物、草、葉、新芽、果実など、食物をそのままの状態で食します。
人間は、舌や目や鼻の欲求を満たすために、茹でたり、揚げたり、溶かしたり、混ぜたり、
さまざまな調理法を用いています。
その結果、個々の栄養価は減らされるか破壊されています。
油で揚げられれば、種子は発芽しません。
これは「生命力」が除去された明白な証拠です。
こういったわけで、調理されていない発芽されたばかりの生の豆類が好ましいのです。
ナッツと果物も好ましいものです。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』292 ページ
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→ 火で調理された豆・種子は生命力を奪われ、もはや発芽することができません。
栄養面においては、酵素の死滅、およびビタミン・ミネラルの損傷を招きます。
ローフードや酵素といった概念が確立されていない時代に、発芽したばかりの豆類がベストであることを見抜いていたのはすごいことだと思います。

[9] 他を助け、決して傷つけないこと
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皆さんが肉を食べるので、多くの人々が動物を殺さなければなりません。
その動物が殺されるのは皆さんの責任です。
皆さんが肉を食べるから、動物たちが殺されるのです。
これは罪です。
罪のない動物たちを殺して食べるとは、何という罪なことでしょう。
皆さんは、大切なことを二つ知っておかなければなりません。
つねに助け、決して傷つけないことです。
私たちは、だれをも傷つけてはなりません。
これこそが真の人間的価値です。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』177 ページ
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→ サイ・ババが言う二つの大切なこと、「他を助けること」「決して傷つけないこと」は日々の食生活においても体現することができます。
動物性食品を食べないことによって、動物を殺さずに済むだけではなく、環境に対する負荷も減らすことができます。

[10] 医者と薬を過信しないこと
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しかし、今、人は錠剤と注射の時代に生きています。
健康は医者を通じて得られる、もしくは維持できる、などと信じてはなりません。
また、薬だけが健康を保証できるものと考えてもいけません。
もしもそうならば、人は皆、死んだりしないはずです。
さて、医者たちが、他人に与えたアドバイスに自ら従っているかどうかを調べてごらんなさい。
彼らは、自らアドバイスした「してはならない習慣」、まさにその犠牲者なのです!

『プラサード―食物に関する御言葉集―』152 ページ
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→ 「医学はすごい速度で進歩している」という楽観論の裏で現実に起こっていることは、
癌・糖尿病をはじめとする生活習慣病のさらなる蔓延です。
また、天文学的に増え続ける医療費によって、ますます財政は圧迫されています。
医者と薬を過信せず、自身の健康に対して責任を持つことが社会的にも求められていると思います。

[11] 果物のジュースと葉物野菜
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私たちの摂取する食べ物の中には神聖な力があります。
学生はだれもがバランスのとれた食事をしなければなりません。
オレンジジュース、トマトジュース、ライムジュース、リンゴジュースはとても健康によいものです。
葉野菜はビタミンも鉄も含んでいるので、高い栄養価があります。
肉体は健康であるべきです。
健康な肉体をもっていればどんな仕事も引き受けることができます。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』157 ページ
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→ 日本で生菜食を実践している人は圧倒的に少数派であり、中には一人孤独に続けている人もいると思います。
そんな人にこそ、このサイ・ババの言葉を知ってほしいと思います。
わかりやすく「とても健康によい」と言っています。

[12] ずっと同じ体重
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私は 68 歳です。信じようと信じまいと、私の体重は 14 歳のときからずっと 108 ポンド (約 49 キロ) ちょうどです。
109 ポンドに増えたこともなければ、107 ポンドに減ったこともありません。
この種のバランスと節度をもてば、皆さんも健康な生活を送ることができます。

『プラサード―食物に関する御言葉集―』160 ページ
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→ この言葉が印象に残ったのは、私もずっと同じ体重で安定しているからです。
身長は 170 cm で体重はずっと 55 kg です。
細身ではありますが、BMI の「痩せ」には届かないラインで安定するのが面白いところです。
ナチュラルハイジーンという健康科学では、「毒血症」「排泄の遅れ」という観点から体重の増減が説明されます。
これに関しては、別の機会に取り上げたいと思っています。
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