ここ数年、ブログサイト Ameba の「入院・闘病生活」カテゴリーで、
ブログランキング上位の大半が「がん闘病記」で占められるという、少し異常な状況が続いています。
10 年前は、うつ病や摂食障害などの精神疾患系の闘病記も多かったのですが、現在はがん闘病記一色という状況です。
AYA 世代 (15~39 歳の若年層)のがん闘病記が多いのも気になります。
これらの世代は昔であれば、がんとはあまり縁がなかった層なのですが、近年はがん罹患者が増加しているようです(特に女性の罹患が多く、全体の 8 割を占める)。
これら AYA 世代が中年期を迎えたときに、一体どのような事態が待ち受けているのかという不安も感じます。
また、先進国でがんが増えているのは日本だけです (肥満大国のアメリカでさえ、がんになる人が減っている)。
このような状況にも危機感を持ちながら、本記事ではブドウ療法について紹介したいと思っています。
ブドウ療法とは一言で言うと、食事をブドウだけに限定し続けるという食事療法です。
ブドウ療法は、約 100 年前の壮絶ながん闘病記から生まれました。
この闘病記は、主人公であるヨハンナ・ブラントさんが、末期の胃がんと診断され、余命 6 週間と宣告されるところから始まります。
そして、9 年に及ぶ激しい闘病生活を経て骨と皮だけになったあと、ブドウ療法に出会い、6 週間でがんを完治させるというストーリーです。
この闘病体験は、医学雑誌に掲載されてから、大きな反響を呼びました。
その後、数多くの実践例が積み重なっていき、ブドウ療法の体系が形作られました。
また、『ブドウ療法』 (原題:Grape Cure) というタイトルで書籍化もされています。
まずは、闘病記を時系列でまとめてみたいと思います。
■ がん闘病記 (時系列)
・1876 年、南アフリカ中心部に生まれる。動物性食品の消費量が多い地域で、がんになる人が多かった。
・1921 年、末期の胃がんと診断される。余命 6 週間と宣告された。
・通常療法を拒否し、自然療法の道を探る。断食療法に出会い、断食を開始。断食中に許されるのは水のみ。
・断食療法による闘病が 9 年間続いた。3 日間、5 日間、7 日間など、様々な期間の断食を組み合わせた。
ひどい痛みと共に、吐血することもあった。腫瘍の増殖により、胃が二つに割れようとしている寸前だった。
それでも、断食を続けることによって、なんとかがん細胞の増殖を抑えた。しかし、がん細胞が消えることは決してなかった。
激しい断食によって、骨と皮だけになってしまった。
断食明けに食事を摂ると、がん細胞が新たな領域に手を伸ばそうとしているように感じられた。
(後から気付いたことだが、断食明けの食事内容が悪かったのだ!)
・新たな療法を模索。3 つの要件を満たす療法を求めた。
1 つ目の要件は「がんの成長を効果的に抑えること」、2 つ目は「組織の毒素を除去してくれること」、そして 3 つ目は「新たな組織を形成してくれること」。
そして、ブドウ療法に出会う。
・ブドウ療法を実践。許された食事はブドウのみ。
・感覚が冴え始め、よどんだ瞳は輝きを取り戻し、髪の毛もつやを帯び始めた。体重も増加。
ブドウ療法開始から 6 週間でがん細胞が消えた。
・闘病記が医学雑誌に掲載され、ブドウ療法が知られるようになった。『ブドウ療法』(Grape Cure) も執筆。
・その後 40 年、ブドウ療法をベースにした食事 (つまり、フルータリアンベースの食事) を続け、死の直前まで活力的に生きた。がんの再発はなかった。
・87 歳で死去
■ ブドウ療法概要
ブドウ療法は、食事をブドウだけに限定するというシンプルなものですが、以下の 5 つのステージを踏むことになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 1:準備期
ブドウ療法を始める前の重要な準備期。水だけの断食 (ファスティング) を行う。
体から有害物質を取り除く上で浣腸も有効。
断食の目安としては 2~3 日。
断食を行うと、脳や心臓など生命の維持に直結する重要な組織以外の組織から消費されていく。
組織に溜め込まれた毒素が分解され、血中に流れ始める。
頭痛、吐き気、下痢が起こる場合があるが、これはヒーリングクライシスと呼ばれる現象で、体のデトックス作用が活発に働いていることを意味する。
この準備期を設けることで、ブドウの解毒作用が働きやすくなる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 2:ブドウのみの食事
ブドウ療法開始。
真っ黒な便が大量に排泄されて驚くかもしれないが、これは長年腸にこべりついていた老廃物である可能性が高い。
2 時間ごとにブドウを食べる。これを 1 日あたり 7 回繰り返す。
1~2 週間続ける。デトックスの状況や症状に応じて 1~2 ヶ月の場合もある。
紫、緑、赤、白などブドウの色は何でもよい。種なしでもよい。
ブドウの作用によってかき立てられた毒素の影響によって、不快な症状を経験する可能性が高い。
不快感が強い場合、組織に大量の毒素が存在することを意味する。この場合、再度水だけの断食に戻ること。
毒素の排泄が進み、体重は減少し続ける。
体重の減少が止まるまで、ブドウだけの食事を続ける。
体重の減少が止まるまで、通常 2 週間から 2 ヶ月はかかる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 3:他のローフードの導入
ブドウは生命の維持に必要なほとんどの栄養素を含んでいるが、決してブドウだけで生きていけるわけではない。
ブドウをメインの食事にしながら、少しずつ他の果物を導入する。
(メロン、りんご、グレープフルーツ、アプリコットなど、なんでもよい。)
数日後、乳製品を夕食に摂ってもよい。
乳製品が苦手であれば、熟したバナナ、トマトなどでもよい。
7~10 日経過したら、2 時間ごとの食事をすべて違うものにしてバラエティをつける。
(※ 現代では、衛生上の理由から生の乳製品は手に入りません。また、同じ乳製品でも 100 年前のものとは成分・組成が異なる可能性があり、注意が必要だと思われます。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 4:ローフードダイエット
ローフードであれば何を食べてもよい。
生野菜、サラダ、果物、ナッツ、干しぶどう、デーツ、いちじく、乳製品、はちみつ、オリーブオイル、など。
食事の回数自体は減らしていく (生野菜は果物より消化に時間がかかるため)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 5:ローフードと加熱食の混合
病気が完治したらこの段階に進んでもよい。
ただし、過去の症状が再発する場合もあるので、その場合はステージ 4 のローフードだけの食事に戻ること。
この段階まで来れば、多くの患者はローフードだけの食事に対して抵抗を感じない。
食事例としては、[朝食] 一種類の果物だけ [昼食] 加熱調理されたもの [夕食] サラダ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ブドウ療法は、食べ物とデトックスの関係を考える上では最適な教材だと思います。
「水だけの断食」→「ブドウだけの食事」→「ローフードへの移行」と、体のデトックス状況を観察しながら各ステージを進めていきます。
果物だけの食事だと、永遠に体重が減少し続けてガリガリに痩せ細ってしまうのではないかと不安を感じる人もいるかもしれませんが、ある一定のラインで体重の減少が止まり、体重が安定するようになります。
そして、この「体重の安定」が次のステップに進む上での指標になります。
また、ヒーリングクライシス (好転反応とも呼ばれる) についてですが、私の場合、
ベジタリアン→ヴィーガン→ローフード→フルータリアンと段階を経ながらゆっくり食生活を変えていったため、
強い不快感や特別な症状を体験することはありませんでした。
ローフード生活を始めたのが 20 代前半の若い時期であったため、それまでに溜め込んでいた毒素の量も少なかったのかもしれません。
逆に言うと、それまでに不摂生な食事を長年続けてきた人が、いきなりブドウ療法を始めると強いヒーリングクライシスを体験する可能性があります。
不快感が強い場合は、もう一度「水だけの断食」に戻ることになります。
■ がんの原因はどのように考えられたか
ブドウ療法を処方していた当時の医師たちは、がんの原因をどのように考えていたのでしょうか?
100 年前の医師の言うことなど時代遅れだと思う人も多いかもしれません。
しかし、がんの原因に関しては今もなお、はっきりしたことはわかっていないのです。
上顎洞癌を患い、2019 年に 70 歳で死去された作家の橋本治さんも"がんの原因"に関して以下の疑問を呈されています。
----------------------------------------------------------------------------------
今や日本人の半分が癌で死ぬともいう。
なぜ癌はそんなにも近づいて来るようになったのか?
京大の本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞された。
癌の治療薬オプジーボにつながる、免疫細胞の中にある癌細胞を攻撃する仕組を解明されたのだという。
それはいい。それはいいが、「癌を治す」という方向にばかり進んで、「人はなぜ癌になるか」がほとんど解明されていない。
癌は感染症じゃない(はずだ)。
それなのに癌患者がどんどん増えて行くのはなぜなんだろう?
我々の生きている空気や環境の中に発癌性物質が増えてでもいるのか?あるいは食物に。
なってからでは遅い─というか早期発見もあるが、なぜなるのか分からないと防ぎようがない。
「【第 52 回】なぜこんなに癌になる?」より引用(遠い地平、低い視点 ちくま web 2018/11/20)
----------------------------------------------------------------------------------
ブドウ療法を処方していた当時の医師たちは、"血液の汚れ"ががんの原因だと考えていました。
血液の汚れの大半は、誤った食生活に由来していると推定されました。
特に動物性食品の摂取は、血液の汚れにつながる最大の原因とされています。
そして、ブドウには、汚れた血液を解毒・浄化する強い働きがあると考えられたのです。
ブラントさんは、近い将来、ブドウの解毒・浄化作用が科学的に解き明かされる日が来ると予想していました。
しかし現在のところ、この予想は少し外れているようにも思えます。
逆に起きたことは、「医薬品産業の爆発的な拡大」と「医学教育における栄養学の軽視」です。
ここまで医薬品産業が拡大するとは、ブラントさんも予想していなかったはずです。
また、医薬品産業の拡大と相まって、医学教育カリキュラムに占める栄養学の割合も少なくなっています。
■ ブドウ療法からモノダイエットへ
ブドウが豊富に採れるヨーロッパとは違い、日本ではブドウは高級品であり、ブドウだけに限定した食事は非現実的です。
そこで、ブドウ療法の長所を現代に受け継ぎながら、「モノダイエット」という形で再解釈しようとする試みもあります。
(例えば、"The Detox Mono Diet: The Miracle Grape Cure and Other Cleansing Diets" Christopher Vasey (著)、Inner Traditions (出版社))
モノダイエットとは、食事を 1 種類のローフード (主に果物・果物のジュース・生野菜ジュース)に限定するダイエットです。
加熱食品は消化に多大なエネルギーを要するため、体の解毒に使われるべきエネルギーが消化活動に奪われてしまうという問題があります。
よって、ローフードのみが許されます。ローフードは酵素を豊富に含んでおり、消化に負担をかけません。
モノダイエットの目的は、消化にかかる負担を最小限にしながら (つまり、断食時に近い状態を作り出しながら)、体に最大限の栄養を与えることです。
食事を 1 種類のローフードに限定することで、消化活動をシンプルにすることができます。
私の場合、よくハネデューメロンでモノダイエットをします。
ハネデューメロンは、メロンの中で最も安く、サイズも大きいことからコストパフォーマンスに優れています。
何より、熟したハネデューメロンのジュースは最高に美味しいです。
メロンの高い抗酸化力を売りにした高価な美容液もありますが、一番肌がきれいになるベストな方法は、ハネデューメロンの生ジュースを飲むことだと信じています。
今年はハネデューメロンの出回りが悪く、あまり実践できなかったのですが、モノダイエット実践例としてまたの機会に紹介できればと思います。
ブログランキング上位の大半が「がん闘病記」で占められるという、少し異常な状況が続いています。
10 年前は、うつ病や摂食障害などの精神疾患系の闘病記も多かったのですが、現在はがん闘病記一色という状況です。
AYA 世代 (15~39 歳の若年層)のがん闘病記が多いのも気になります。
これらの世代は昔であれば、がんとはあまり縁がなかった層なのですが、近年はがん罹患者が増加しているようです(特に女性の罹患が多く、全体の 8 割を占める)。
これら AYA 世代が中年期を迎えたときに、一体どのような事態が待ち受けているのかという不安も感じます。
また、先進国でがんが増えているのは日本だけです (肥満大国のアメリカでさえ、がんになる人が減っている)。
このような状況にも危機感を持ちながら、本記事ではブドウ療法について紹介したいと思っています。
ブドウ療法とは一言で言うと、食事をブドウだけに限定し続けるという食事療法です。
ブドウ療法は、約 100 年前の壮絶ながん闘病記から生まれました。
この闘病記は、主人公であるヨハンナ・ブラントさんが、末期の胃がんと診断され、余命 6 週間と宣告されるところから始まります。
そして、9 年に及ぶ激しい闘病生活を経て骨と皮だけになったあと、ブドウ療法に出会い、6 週間でがんを完治させるというストーリーです。
この闘病体験は、医学雑誌に掲載されてから、大きな反響を呼びました。
その後、数多くの実践例が積み重なっていき、ブドウ療法の体系が形作られました。
また、『ブドウ療法』 (原題:Grape Cure) というタイトルで書籍化もされています。
まずは、闘病記を時系列でまとめてみたいと思います。
■ がん闘病記 (時系列)
・1876 年、南アフリカ中心部に生まれる。動物性食品の消費量が多い地域で、がんになる人が多かった。
・1921 年、末期の胃がんと診断される。余命 6 週間と宣告された。
・通常療法を拒否し、自然療法の道を探る。断食療法に出会い、断食を開始。断食中に許されるのは水のみ。
・断食療法による闘病が 9 年間続いた。3 日間、5 日間、7 日間など、様々な期間の断食を組み合わせた。
ひどい痛みと共に、吐血することもあった。腫瘍の増殖により、胃が二つに割れようとしている寸前だった。
それでも、断食を続けることによって、なんとかがん細胞の増殖を抑えた。しかし、がん細胞が消えることは決してなかった。
激しい断食によって、骨と皮だけになってしまった。
断食明けに食事を摂ると、がん細胞が新たな領域に手を伸ばそうとしているように感じられた。
(後から気付いたことだが、断食明けの食事内容が悪かったのだ!)
・新たな療法を模索。3 つの要件を満たす療法を求めた。
1 つ目の要件は「がんの成長を効果的に抑えること」、2 つ目は「組織の毒素を除去してくれること」、そして 3 つ目は「新たな組織を形成してくれること」。
そして、ブドウ療法に出会う。
・ブドウ療法を実践。許された食事はブドウのみ。
・感覚が冴え始め、よどんだ瞳は輝きを取り戻し、髪の毛もつやを帯び始めた。体重も増加。
ブドウ療法開始から 6 週間でがん細胞が消えた。
・闘病記が医学雑誌に掲載され、ブドウ療法が知られるようになった。『ブドウ療法』(Grape Cure) も執筆。
・その後 40 年、ブドウ療法をベースにした食事 (つまり、フルータリアンベースの食事) を続け、死の直前まで活力的に生きた。がんの再発はなかった。
・87 歳で死去
■ ブドウ療法概要
ブドウ療法は、食事をブドウだけに限定するというシンプルなものですが、以下の 5 つのステージを踏むことになります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 1:準備期
ブドウ療法を始める前の重要な準備期。水だけの断食 (ファスティング) を行う。
体から有害物質を取り除く上で浣腸も有効。
断食の目安としては 2~3 日。
断食を行うと、脳や心臓など生命の維持に直結する重要な組織以外の組織から消費されていく。
組織に溜め込まれた毒素が分解され、血中に流れ始める。
頭痛、吐き気、下痢が起こる場合があるが、これはヒーリングクライシスと呼ばれる現象で、体のデトックス作用が活発に働いていることを意味する。
この準備期を設けることで、ブドウの解毒作用が働きやすくなる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 2:ブドウのみの食事
ブドウ療法開始。
真っ黒な便が大量に排泄されて驚くかもしれないが、これは長年腸にこべりついていた老廃物である可能性が高い。
2 時間ごとにブドウを食べる。これを 1 日あたり 7 回繰り返す。
1~2 週間続ける。デトックスの状況や症状に応じて 1~2 ヶ月の場合もある。
紫、緑、赤、白などブドウの色は何でもよい。種なしでもよい。
ブドウの作用によってかき立てられた毒素の影響によって、不快な症状を経験する可能性が高い。
不快感が強い場合、組織に大量の毒素が存在することを意味する。この場合、再度水だけの断食に戻ること。
毒素の排泄が進み、体重は減少し続ける。
体重の減少が止まるまで、ブドウだけの食事を続ける。
体重の減少が止まるまで、通常 2 週間から 2 ヶ月はかかる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 3:他のローフードの導入
ブドウは生命の維持に必要なほとんどの栄養素を含んでいるが、決してブドウだけで生きていけるわけではない。
ブドウをメインの食事にしながら、少しずつ他の果物を導入する。
(メロン、りんご、グレープフルーツ、アプリコットなど、なんでもよい。)
数日後、乳製品を夕食に摂ってもよい。
乳製品が苦手であれば、熟したバナナ、トマトなどでもよい。
7~10 日経過したら、2 時間ごとの食事をすべて違うものにしてバラエティをつける。
(※ 現代では、衛生上の理由から生の乳製品は手に入りません。また、同じ乳製品でも 100 年前のものとは成分・組成が異なる可能性があり、注意が必要だと思われます。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 4:ローフードダイエット
ローフードであれば何を食べてもよい。
生野菜、サラダ、果物、ナッツ、干しぶどう、デーツ、いちじく、乳製品、はちみつ、オリーブオイル、など。
食事の回数自体は減らしていく (生野菜は果物より消化に時間がかかるため)。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ステージ 5:ローフードと加熱食の混合
病気が完治したらこの段階に進んでもよい。
ただし、過去の症状が再発する場合もあるので、その場合はステージ 4 のローフードだけの食事に戻ること。
この段階まで来れば、多くの患者はローフードだけの食事に対して抵抗を感じない。
食事例としては、[朝食] 一種類の果物だけ [昼食] 加熱調理されたもの [夕食] サラダ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ブドウ療法は、食べ物とデトックスの関係を考える上では最適な教材だと思います。
「水だけの断食」→「ブドウだけの食事」→「ローフードへの移行」と、体のデトックス状況を観察しながら各ステージを進めていきます。
果物だけの食事だと、永遠に体重が減少し続けてガリガリに痩せ細ってしまうのではないかと不安を感じる人もいるかもしれませんが、ある一定のラインで体重の減少が止まり、体重が安定するようになります。
そして、この「体重の安定」が次のステップに進む上での指標になります。
また、ヒーリングクライシス (好転反応とも呼ばれる) についてですが、私の場合、
ベジタリアン→ヴィーガン→ローフード→フルータリアンと段階を経ながらゆっくり食生活を変えていったため、
強い不快感や特別な症状を体験することはありませんでした。
ローフード生活を始めたのが 20 代前半の若い時期であったため、それまでに溜め込んでいた毒素の量も少なかったのかもしれません。
逆に言うと、それまでに不摂生な食事を長年続けてきた人が、いきなりブドウ療法を始めると強いヒーリングクライシスを体験する可能性があります。
不快感が強い場合は、もう一度「水だけの断食」に戻ることになります。
■ がんの原因はどのように考えられたか
ブドウ療法を処方していた当時の医師たちは、がんの原因をどのように考えていたのでしょうか?
100 年前の医師の言うことなど時代遅れだと思う人も多いかもしれません。
しかし、がんの原因に関しては今もなお、はっきりしたことはわかっていないのです。
上顎洞癌を患い、2019 年に 70 歳で死去された作家の橋本治さんも"がんの原因"に関して以下の疑問を呈されています。
----------------------------------------------------------------------------------
今や日本人の半分が癌で死ぬともいう。
なぜ癌はそんなにも近づいて来るようになったのか?
京大の本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞された。
癌の治療薬オプジーボにつながる、免疫細胞の中にある癌細胞を攻撃する仕組を解明されたのだという。
それはいい。それはいいが、「癌を治す」という方向にばかり進んで、「人はなぜ癌になるか」がほとんど解明されていない。
癌は感染症じゃない(はずだ)。
それなのに癌患者がどんどん増えて行くのはなぜなんだろう?
我々の生きている空気や環境の中に発癌性物質が増えてでもいるのか?あるいは食物に。
なってからでは遅い─というか早期発見もあるが、なぜなるのか分からないと防ぎようがない。
「【第 52 回】なぜこんなに癌になる?」より引用(遠い地平、低い視点 ちくま web 2018/11/20)
----------------------------------------------------------------------------------
ブドウ療法を処方していた当時の医師たちは、"血液の汚れ"ががんの原因だと考えていました。
血液の汚れの大半は、誤った食生活に由来していると推定されました。
特に動物性食品の摂取は、血液の汚れにつながる最大の原因とされています。
そして、ブドウには、汚れた血液を解毒・浄化する強い働きがあると考えられたのです。
ブラントさんは、近い将来、ブドウの解毒・浄化作用が科学的に解き明かされる日が来ると予想していました。
しかし現在のところ、この予想は少し外れているようにも思えます。
逆に起きたことは、「医薬品産業の爆発的な拡大」と「医学教育における栄養学の軽視」です。
ここまで医薬品産業が拡大するとは、ブラントさんも予想していなかったはずです。
また、医薬品産業の拡大と相まって、医学教育カリキュラムに占める栄養学の割合も少なくなっています。
■ ブドウ療法からモノダイエットへ
ブドウが豊富に採れるヨーロッパとは違い、日本ではブドウは高級品であり、ブドウだけに限定した食事は非現実的です。
そこで、ブドウ療法の長所を現代に受け継ぎながら、「モノダイエット」という形で再解釈しようとする試みもあります。
(例えば、"The Detox Mono Diet: The Miracle Grape Cure and Other Cleansing Diets" Christopher Vasey (著)、Inner Traditions (出版社))
モノダイエットとは、食事を 1 種類のローフード (主に果物・果物のジュース・生野菜ジュース)に限定するダイエットです。
加熱食品は消化に多大なエネルギーを要するため、体の解毒に使われるべきエネルギーが消化活動に奪われてしまうという問題があります。
よって、ローフードのみが許されます。ローフードは酵素を豊富に含んでおり、消化に負担をかけません。
モノダイエットの目的は、消化にかかる負担を最小限にしながら (つまり、断食時に近い状態を作り出しながら)、体に最大限の栄養を与えることです。
食事を 1 種類のローフードに限定することで、消化活動をシンプルにすることができます。
私の場合、よくハネデューメロンでモノダイエットをします。
ハネデューメロンは、メロンの中で最も安く、サイズも大きいことからコストパフォーマンスに優れています。
何より、熟したハネデューメロンのジュースは最高に美味しいです。
メロンの高い抗酸化力を売りにした高価な美容液もありますが、一番肌がきれいになるベストな方法は、ハネデューメロンの生ジュースを飲むことだと信じています。
今年はハネデューメロンの出回りが悪く、あまり実践できなかったのですが、モノダイエット実践例としてまたの機会に紹介できればと思います。