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アストラゼネカも優れた有効性を発揮

by 黒岩留衣
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アストラゼネカは月曜日に、コロナウイルスワクチンの後期試験の肯定的な試験結果を発表した3番目の製薬会社になりました。

オックスフォード大学によって開発されたそのワクチン候補は最大90パーセントの有効性を発揮したと発表されました。

 

科学者も政治家も、コロナウイルスの症例が多くの国で壊滅的なレベルに急上昇しているにしても、パンデミックの終焉が見えていることを示す兆候として、3週連続の好調なニュースを歓迎しました。

ファイザーとそのドイツのパートナーであるビオンテック、およびモデルナの実験ワクチンはそれぞれ、臨床試験で95%の有効性を報告しています。

 

アストラゼネカの臨床試験は全体で70%の有効性があり、投与量が少ない小規模なグループでは最大90%の有効性がありました。

異なるテストデザインは直接の比較を困難にしますが、保護がいくらか低くても、アストラゼネカのワクチンはより安価である可能性が高く、氷点下の低温で保管する必要がないため、世界の多くの地域でより現実的な選択肢となりえる可能性があります。

 

エイズとの闘いに尽力したことで知られるロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディシンの所長ピーター・ピオット氏は、3つのワクチン候補から得られた肯定的な結果を過大評価することはできないと述べました。

彼は次のように述べています。

「2020年は、米国選挙のあった年であり、都市封鎖の行われた年であり、そして何よりcovid-19によって多くの命が失われた年として人々に記憶されるでしょう」

「ですが、科学の進歩と成功をこの記憶のリストに追加する必要があります」

彼は「covid-19の感染拡大を抑える唯一の方法は、世界中に大量に配備できる複数の効果的で、かつ安全なワクチンを入手することです」と付け加えました。

 

フィラデルフィアのウィスター研究所のワクチン専門家であるヒルデグント・C.J・エルトル氏は「私は本当に喜んでいます」と述べています。

「私は、このウイルスは非常に簡単に打ち負かすことができると信じています」

「なぜなら、90〜95%の有効性は、インフルエンザ・ウイルスに対して私たちが夢見てきた次元のものであり、これまで決して手に入れることのできなかった高次元の水準です」

インフルエンザのワクチンは、その菌株によって左右されますが、平均として40〜60パーセントの効果があります。

 

オックスフォードとアストラゼネカのチームは、ジャーナリストとのビデオ会見で、被験者が始めに半分の用量を投与され、1か月後に全用量を投与された場合、候補ワクチンはコロナウイルスに対して90%の防御を提供したと述べました。

被験者が月に2回の全用量を投与された場合、有効性は62%と低くなりました。

 

オックスフォード臨床試験の主任研究員の一人であるアンドリュー・ポラード氏は、この調査結果はワクチンが多くの命を救いうることを示していると述べました。

「非常にエキサイティングなことに、私たちの開発計画の1つが約90%も効果的である可能性が示唆され、この投与計画を使用すると、より多くの人々がワクチン接種を受けられる可能性があります」と彼は述べました。

 

英国は1億回分を事前注文しました。

これは、1人あたり1回半の投与量で人口の大部分をカバーします。

米国は3億回分を注文しましたが、両国はリスクヘッジとして、複数のワクチン取引に署名しています。

アストラゼネカ社は、今後数週間で米国でのワクチン試験をファイン・チューニングする予定です。

 

アストラゼネカの結果はまだ査読も公開もされていません。

低用量レジメンがより効果的だった理由など、まだ多くの疑問が残っています。

また、ワクチンがコロナウイルスの感染力を減らすことができるかどうかも不明です。

これは、人々がどれだけ早くマスクの着用をやめることができるかに影響を及ぼします。

ワクチンによる免疫がどれくらい長く続くかもまだ誰も知りません。

 

オックスフォードの主任研究者の一人であるサラ・ギルバート氏は、完全に理解するには、1回と半分のレジメンをより綿密に研究する必要があると述べました。

しかし彼女は、最初の半分の投与量は人の免疫系を十分に刺激している可能性があり、ブースター効果は感染に対する強力な防御を生み出すように抗体を促進するのだろうと述べました。

 

アストラゼネカとオックスフォードは世界中で第3相臨床試験を実施しており、最新のデータは、主に英国とブラジルの約23,000人のボランティアと131件のコロナウイルス感染に基づく中間分析から得られました。

彼らのうち、半分はワクチンを受け、半分はプラセボを受けています。

 

ワクチンは生産中であり、承認されれば、最初の400万回分は12月中に準備が整い、2021年の第1四半期には4000万回分が投与される可能性があると同社の幹部は語っています。

春までに、同社とブラジル、インド、ロシア、米国のグローバルパートナーは、月に1億から2億回の投与を行いうる可能性があります。

 

月曜日の夜遅くの記者会見で、英国のボリス・ジョンソン首相は「良い風が吹けば、イースターまでに最も保護を必要とする多くの人々にワクチンを接種できるはずだ」と述べました。

昨年春にウイルスに感染し、集中治療室で数日間過ごしたジョンソン氏は月曜日に議会で、ワクチンは「ウイルスからの解放にこれまで以上に近づいており、これが終わりのないパンデミックでは決してないことを強調している」と語りました。

 

アストラゼネカは月曜日、ワクチンを接種した参加者は、コロナウイルスの重症例を発症したり、入院を必要としたりしなかったと述べました。

同製薬会社はまた、ワクチンに関連して「重大な副作用」は報告されていないと述べました。

これは通常、投与レベルや年齢に関係なく、参加者によって「十分に許容された範囲内」のものでした。

 

ファイザーとモデルナのワクチンはどちらもメッセンジャーRNAを使用しています。

これは、人体の医療製品としては過去に承認されたことのない新しいタイプのワクチンプラットフォームです。

アストラゼネカの結果は、これらより有効性がやや低いことを示していますが、ワクチンは通常の冷蔵温度で最大6か月間保管および輸送できます。

これにより、マイナス70度で保存する必要があるファイザーのワクチンや、冷蔵状態で30日間しか安定せず、その後マイナス20度で凍結する必要があるモデルナのワクチンよりも、世界中に配布するのが大幅に簡単になる可能性があります。

 

サラ・ギルバート氏と彼女のチームは、わずかな予算でオックスフォードの小さな研究所でアストラゼネカワクチンの開発を開始しました。

大学は130万ドルを投入し、製造パートナーとしてアストラゼネカを選びました。

大学の副学長であるルイーズ・リチャードソン氏は「ワクチンから利益を得られないようにしたかった」と述べ、ワクチンが広く配布されるようにするために必要経費以外の利益を放棄することを望んでいると述べました。

「ワクチンは裕福な国のためだけにあるのではありません。世界中が必要としています」

 

科学者たちは、パンデミックを終わらせるのに必要な何百万もの用量を生産できる会社はないと述べています。

「私たちには地球全体に供給するにたりる十分な量がありません」とアンドリュー・ポラード氏は述べています。

「ですが、そこにある重要なメッセージは、高齢者の間でもうまく機能するように思える、少なくとも3つの非常に効果的で安全なワクチンがあり、それらはさまざまに異なる技術により、必要となる数十億の用量を製造するための最短ルートを確保しようと努力しているということです」

 

ポラードは、異なるワクチンが異なる結果を生み出した理由は「不明」であり、彼と科学界はすべての臨床試験からの完全なデータが得られることを期待していると述べました。

彼はまた、異なる研究が有効性を説明するために異なるエンドポイントを設定しているとも述べています。

「現時点では、違いを完全に説明することはできません」とポラードは言いました。

「誰もが何を測定しているのかを正しく理解することが重要です」

 

 

AstraZeneca coronavirus vaccine up to 90% effective and easily transportable, company says

The Washington Post

これで3つ目のワクチン候補が優れた有効性を示したことになりますね。

正直に言って、これほど順調な結果を出すとは思いませんでした。

アストラゼネカ・オックスフォードのワクチンは通常の冷蔵温度でも保存できるようで、これが承認されれば大きな病院や施設のない場所でも接種が可能になるでしょう。

記憶の限りですが、ジョンソンエンドジョンソンのワクチンも同タイプのものだったと思います。

これらのワクチンが承認されれば、来年の早い段階で想像より広く接種ができるようになるかもしれません。

 

余談ですが、トランプ政権が後押しした『ワープスピード計画』にはアストラゼネカ・オックスフォードのワクチンは参加していません。

これは、価格を抑え、広く世界にワクチンを届けるために、敢えて利益を確保しないというオックスフォード大学の考えに基づくものです。

 

管理者 黒岩留衣

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