yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!ー

「大学への数学」執筆者・吉田信夫の数学探求ブログ(共通テスト系問題の研究報告)

2次関数の接線について,ちょっとだけ図形的に

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2次関数のグラフCのx座標がa,bである2点A,Bをとります.

A,BにおけるCの接線の交点Pは,x座標が(a+b)/2の点であることが知られています(接線の方程式を連立).
ちょうど真ん中で交わります.
図の①:①です.

また,直線ABと放物線Cで囲まれる部分の面積は,(b-a)^3に比例することが知られています.比例定数は,(x^2の係数の絶対値)÷6です.
さらに,Cと上記の2接線で囲まれる部分の面積は,上述の面積のちょうど半分になることも知られています.
図で言うと,いずれも「“幅”の3乗に比例」し,「面積比が2⃣:1⃣」であるということになります.

A,BにおけるCの接線の交点Pを通り,y軸に平行な直線を引きます.
つまり,x=(a+b)/2
この直線がC,直線ABと交わる点をQ,Rとします.
そのとき,

   PQ:QR=?

というのを考えてみましょう.

 

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2次関数を式で置いて,方程式を作って交点P,Q,Rの座標を求めたら,比は分かります.
けれど,メンドクサイ.

面積だけを使って求めてみませんか?

まず,A,BとQを結ぶ線分を引いてみます.

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すると,放物線と直線で囲まれる面積が現れて,これは,“幅”の3乗に比例します!
A~Bの幅はb-aですが,この2つの領域の幅は,その半分.(b-a)/2です.
だから,面積は,1/8倍になりそうです.
この小さい部分の面積を①と表すことにしたら・・・

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Cと直線ABで囲まれる部分は8倍の⑧で,Cと2接線で囲まれる部分は⑧の半分で④になります.

ということは・・・?

⑧から①を2つ切り取って④にくっつけると,上は三角形,下は凹んだ四角形.
その面積が

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上下とも⑥になります.同じ面積です!

上下の面積は
   QR×(b-a)÷2,PQ×(b-a)÷2
なので,面積が等しいから,PQとQRが等しいことが分かります.

ということで,答えは

   PQ:QR=1:1

でした!

方程式を使わずに,図形の組合せだけで導けました!
こういう風に情報だけで導くのは,定性的なアプローチとして,共通テストでも重視されるはずなので,慣れておきたいですね.
計算だけが数学ではないのです!

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