西蔵編(12)ラサ(その5)セラ寺(中編)
セラ寺(セラ・ゴンパ)(色拉寺)( Sera Monastery )には、ラサ(拉薩( Lhasa ))滞在中、何度も訪れている。
自分がチベットで修行僧として暮らしている夢を見たことがあるが、前世というものが存在するならば、ここで修行していたことがあるような気がする。
訪れる度に何故か懐かしい気持ちになった。
そして、修行僧達は皆フレンドリーだった。
初回訪問時、どうやら問答の試験日だったらしく、セラ寺の高僧が立ち会っていた。
若かりし日の自分を見る思いだったのだろうか、修行僧達を見守る優しい眼差しが印象的だった。
私はこの日セラ寺の問答修行を初めて観たのだが、ふと広場に立っている木に手を当ててみた。
長い歴史の間そこで行われていた問答を、この木はどういう思いで見つめていたのか、木に触れれば何か教えてくれるかもしれないと思ったからだ(木の想いを感じる能力・才能を持っているわけではないが、この時は何か分かるような気がした)。
すると、そばで修行僧の様子をじっと見つめていた年配の僧(上記写真左側の人物)が話しかけてきた。
「お前は木の気持ちが分かるのか?」
チベット語で言われたのだが、多分そんな意味のことだろうと勝手に解釈した。
高僧に付き添っている侍従僧(上記写真右側の人物)は、中国語が分かるようだったので、筆談でお願いをした。
「その高僧にお願いをして欲しい。私にチベット語で名前を付けて頂きたい」
今振り返ると随分厚かましいお願いだと思う。しかもその場の思い付き(インスピレーション)でお願いをしているのだ。
しかし、彼は嫌な顔一つせず通訳してくれ、高僧はノートに名前を書いてくれた。
※話が脱線するが、この日宿に戻った後に不思議体験(UFO目撃)をしている(⇒おまけ記事はこちら)。
後に、宿の主人に高僧の書いたチベット語を翻訳してもらった。
そこには「モンク・オブ・チャンバーイーシー」と書かれており、チャンバーイーシーとは、仏陀の化身の一人のことだそうだ。
そして彼はこう言った。
「その名前は君にくれたものではなく、その高僧自身の名前だろう」
彼にお願いして、ノートにチベット語で「私に名前をください」と書いてもらった。この一文を見てもらえれば名付けてくれるかもしれない。
その後何度かセラ寺を再訪したが、高僧には再会出来なかった。
しかし、No.2的立場の僧侶(彼の名前は阿旺洛珠(アーワンロートュー))(上記写真右側の人物)に名前を頂くことが出来た。
「ロッサン シルッ」という名前で、ロッサンは“ good motivation ”(良い動機、やる気)を意味し、シルッは“ wisdom ”(知恵、知識、学問、分別、賢明)を意味するそうだ。
阿旺洛珠氏は、問答修行の場に毎回立ち会っていた。
カイラスに向けラサを発(た)つ前日に、家族からのメールで親類に不幸があったことを知った。
お別れの挨拶と共に親類が亡くなったことを伝えたところ、彼は快く供養を引き受けてくれた。お金を払おうとしたが、受け取らなかった。
※地図
(旅した時期:2004年)
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