膝関節のロールバック機構を担うPCL(後十字靭帯)について

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膝関節について
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どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

前回、膝関節のロールバック機構について記事にしていきました。

前回の記事はこちら。

膝関節のロールバック機構とは?~膝の屈曲を正常に行うために必要な機能~
今回は、膝関節のロールバック機構についてまとめていきます。このロールバック機構は後十字靭帯(以下、PCL)の機能により生じる膝の正常な動きのことを指します。ロールバック機構が機能することで、膝の屈曲がスムーズに行えるわけです。正常の膝だけでなく、TKAにもこの機構を生かした機種が多く使われており、術後のリハビリを行う上で重要なチェックポイントになります。

 

ロールバック機構は後十字靭帯(以下、PCL)により成立する機構であり、PCLの変性や断裂により、このロールバック機構は破綻します。

 

つまり、膝屈曲が円滑に行われなくなることを意味します。

それだけPCLはACL同様に重要な組織であるということですね。

 

今回は、このPCLについて少し振り返りもかねてまとめていきたいと思います。

それではよろしくお願いします。

 

 

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1.PCLの解剖

まずはPCLの解剖から見ていきましょう。

PCLの走行

PCL は、ACLよりわずかに分厚く、脛骨の後方部(脛骨後方深部の後顆間区)から大腿骨の顆間窩のやや内側部(大腿骨内顆軸面上の顆間窩頂)に走る太い線維束で、ACL の約 2 倍の強度を有しています。

また、PCLの走行は、ACLと比べてより垂直で、それほど斜めではありません。

図:膝の解剖(膝を上面から見た図)

図:PCL・ACLの付着部がわかる図

図:PCLの走行(側面から見た図)

筋骨格系のキネシオロジー より加工し引用

 

PCLの解剖学的特徴

PCLには、2つの線維束があり、靭帯の大部分を形成する大きい前方部分(前外側線維(anterolateral bundle))と小さい後方部分(後内側線維(Posteromedial bundle))があります。

前外側線維の構成要素は屈曲位で緊張し、そして、後内側線維は伸展と深い屈曲で最も緊張します。

 

 

2.PCLの2つの機能

次はPCLの機能について紹介します。

学校で習うのは1つ目の機能がメインではないでしょうか?

①膝関節の後方安定化(後方のstabilizer)(静的な機能)

PCLはハムストリングスの収縮とそれによる脛骨の後方滑りにより引っ張られ緊張します。

※ハムストリングスの収縮に加えて大腿四頭筋が強く収縮するとPCLの緊張と伸長は減少する

 

正常では、脛骨の他動的後方移動に対する全抵抗力の95%をPCLが担っていることから、膝関節の後方制動にはPCLが深く関わっているといえます。

ちなみに、PCLが損傷すると脛骨は大腿骨に対して後方に落ち込むことが多く、代表的なテストに後方引き出しテストがあります。

 

 

②膝関節屈曲時のロールバックのガイドを行う(動的な機能)

PCLのもう一つの重要な機能は、固定された脛骨上の大腿骨前方推進の制動です。

言い方を変えれば、PCLの制動により脛骨上で大腿骨を後方に引き込むことで膝屈曲時の後方インピンジメントを回避しています。

これを膝関節のロールバック機構と言います。

 

実際の臨床場面では以下のような考え方もあります。

スクワットでの素早いしゃがみ込み、膝関節を部分的に屈曲した状態でのジャンプの着地などの活動は、脛骨上の大腿骨に大きな前方剪断力がかかる。

この前方剪断力に対して、PCL・関節包・筋の力によって、大腿骨を後方へ引くことによって、大腿骨は脛骨の前縁から滑らないよう保たれ、前方剪断力を軽減している。

 

3.まとめ

今回は、前回からの記事の続きで、ロールバック機構を担うPCLの機能についてまとめていきました。

ロールバック機構にはPCLの機能が必須になります。

このPCLの機能には、ロールバック機構以外にも、膝関節の後方制動の役割も担っており、静的と動的の二つの制御機能を有していることがわかりました。

 

臨床ではACL(前十字靭帯)の方に目が行きがちですが、PCLに対しても注意して評価していく必要があることが理解できました。

ロールバック機構に関しては、TKAのCR型では特に重要な機能になるため、しっかり理解しておきたいところです。

 

次回は、今挙げたTKAのCR型との兼ね合いについて記事にしていきたいと思います。

 

それでは本日はこの辺で!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

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