皮を剥いてみたら

「今日は在宅勤務だったので、一時間遅く起きた」と打とうとして、「一時間遅く生きた」と打ち、胸を衝かれてしばらく考え込んでしまった。
 
 今日は在宅勤務だったので、一時間遅く起きた。

 遮光カーテンの隙間から青空が確認できたので、しばらく洗っていなかったベッド三兄弟(掛け布団カバー、敷きパッド、マットレスカバー)を洗おうと考えていたが、3つを干せるだけのスペースがうちのベランダにあるのだろうかと悩んだ末、三兄弟ともエイヤッと洗ってやったら無事に干せた。気持ちいい。
 洗濯機から取り出したとき、マットレスカバーの一部だけ、全く濡れていない箇所があったので、そこだけは未だに汚れが蓄積されているのだなと思ったら、エイヤッで3つとも干せた快感を優に超えて嫌な気分になったが、めんどくさいのでそのままにした。

 午前中にバチバチ仕事をしていたら昼になった。腹も減った。そして空も曇っている。信じられない。このまま三兄弟を干していても夜までには乾かないだろう。雨に振られる可能性もある。コインランドリーで乾燥させることにした。
 セールで買ったランドリーのプリペイドカードが6000円分あるので300円だけ使った。もうすぐ引っ越しするのに、このペースで使っていたら確実に余る。実家の近所で使えるところもないしどうしたものか。安物買いの銭失いを地で行っている。
 乾燥を待っている間に昼食をとって、会計のときQR決済がバグって、頭もバグった。

 午後もバチバチ仕事をして、定時がきたので夕飯の準備をしようとしたら、今日中に片付けたほうがいいだろうな、という事案が発生した。

 小さい里芋がたくさんあったので、夕飯に里芋カレーを作った。小さすぎて皮を剥くのがとても大変で、中学生以来の皮むきで挫折しそうになったが、軽く茹でたらツルンと剥けた。(ちなみに中学生のときはお風呂で剥いた)ネッチョリした食感がとても美味しいカレーが出来上がった。
 

 一日のなかでも、うまくいかないことがたくさんあるのに、一生で考えたら、どれほどのたくさんうまくいかないことがあるのだろう。そして里芋の皮が剥けたように、ツルンと人生の問題も、ふとしたきっかけで解決する時が来るのかもしれない。もしかしたら一時間遅く生きているうちに。 生まれ変わった三兄弟のいい匂いの中でそんなことを考えてみた。