天使じゃない
2020年12月06日
この頃、もう一つイライラすることがあった。
それは、筆者に付いた担当看護師。
若い茶髪の女性で、はきはきとした感じ。
仕事はできる方だと思うし、面倒を見ようという意気込みもあった。
多くの患者は、そう不満を持つことはないだろう。
でも、筆者にとってはもう一つだった。
何が具体的に、というより、雰囲気的なもの。
入院生活が長くなって、看護師を評価するスキルが育ったせいもある。
彼女は、いつまで経っても、筆者の目の状態を正確に把握してくれなかった。
どうも、最低限の空間認識もないと思っていたらしい。
それがあるから退院できたし、筆者も何度も話している。
彼女が誤認しているから、リハビリ病棟は居心地が悪かった。
他にも、痒いところに手が届くようなことはなく。
巡り合わせもいいとは言えなかった。
比較するのは良くないかもしれないけど、前の入院での担当さんとは大違い。
前の担当さんは、筆者のことをかなり理解していた。
シャワーの時は、着替えの他にカミソリもいるんやよ、とか。
自分の判断で、糖尿病のノートを渡してくれたりとか。
気遣いもあったし、重要な場面には必ず彼女がいた。
退院時は、エレベーターでさよならするまで、面倒を見てくれた。
それも決して過剰でなく、やや控えめに。
前の担当さんは、お母さんも気に入っていた。
筆者にとっては、天使だった。
彼女ほどは期待していなかったが、もう少しできたかな、とは思う。
結局、最後の立ち会いは別の人になり、お母さんも嫌味を言うくらいで。
筆者との相性は最初から良くなかったのかもしれない。
彼女は天使じゃない、と心の中でリフレインした。
本当の天使は、筆者の前に現れてくれなかった。