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「しあわせの五・七・五 足して引きひとつ残ればいい人生」(近藤勝重/幻冬舎) MBSラジオ「川柳で生き方再発見!」毎日新聞「近藤流健康川柳」

2021年1月14日木曜日

川柳 本の感想

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しあわせの五・七・五

2014年発刊の「しあわせの五・七・五 足して引きひとつ残ればいい人生」(近藤勝重/幻冬舎)です。
しあわせの五・七・五 足して引きひとつ残ればいい人生

MBSラジオ「川柳で生き方再発見! しあわせの五・七・五」を中心に、毎日新聞(大阪)「近藤流健康川柳」に寄せられた句を加え、それに近藤勝重さんが「生きる手がかり」というエッセイをつけた本です。

MBSラジオ「川柳で生き方再発見! しあわせの五・七・五」
「どうすれば心身ともに健康でいられるのか。幸せに生きられるのか」を川柳で探求する番組。
毎日新聞「近藤流健康川柳」

内容

「はじめに」に掲載されている一句から。

過ぎた日が泣いたことさえ笑わせる(三宅一歩)

この世に、自分とかかわる一切を黙って受け入れてくれるものはそれほどたくさんありません。数少ないその一つが文章です。短いぶん言いたいことを端的に表現することの出来る川柳。何かで悩んでいたり、辛く思っているならば、生きる手立てを探すためにも川柳を味わってみて欲しいといった願いからこの本はスタートします。

この本には全部で25句の川柳とそれにちなむ「生きる手がかり」というエッセイが載せられています。「生きる手がかり」の中にも関連する川柳がいくつか載せられているので、掲載されている川柳の数はそれなりにあります。

「生きる手がかり」には友人関係はもとより、男女の事、夫婦の事、常識や根拠なき自信、生きざまについてなど様々な人生へのアドバイスが書かれています。

私が好きな一句はこちら。

哀しみを知って笑いを深くする(津田公子)

東日本大震災の被災者の方が避難所生活を経てつくった川柳です。ここまでの境地に至るまでに如何ばかりの哀しみがあったかと思うと胸が苦しくなります。それでも乗り越え笑う強さ。「笑いを深く」という表現に心惹かれます。

著者は次の一句でこの章をまとめています。

何気ない笑いが人生つくってく(のんちゃん)

哀しみを超え、ささやかな日常を大切にし、笑い合い、そしてそれが人生となっていく。人間そのものがもつ強さを感じます。

もう一句、この本の副題にもなっているすばらしい川柳を。

足して引きひとつ残ればいい人生(三宅一歩)

欲しいものばかりで欲が尽きない人生において、一つ残ればいい人生と達観できるようになるにはどうしたらいいのかと思いふけってしまう。でも深く考えれば考えるほど、もしかすると、実は何も残らない人生なのではないかと不安にも陥ってしまう。たくさん持っているように見えているが、本当に一つでも残るのか。一つの重みを思う。大切なものを一つでもいいから残したいと願ってやまない。

上記は「はじめに」にも川柳が掲載されている三宅一歩さんの句です。糖尿病の合併症で目を患い手術の前日に阪神大震災が発生。視力を失い、大混乱の中、川柳と出会い川柳を支えにしている方だそうです。「川柳で生き方再発見! しあわせの五・七・五」のHPでも経歴が紹介されていました。この本を読み素敵だなと思った句の作者をみると三宅一歩さん。本当に素晴らしい川柳を作る方だなと思いました。

生きるとは何かを考えさせてくれる一冊です。

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