会計進化論。

〔注意書き〕

 1 この物語は、いかなる実在する団体や個人と関係ありませんえっ

 2 本気で書いてますが、情報の部分は批判的に読んでくださいむっ

 3 受験生の方は、ブログにはまらないで、勉強頑張ってくださいガーン

Amebaでブログを始めよう!
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ある日本で1番暑い日に


 暑い夏が今年もやってきました。どうして、税理士試験は一番暑い夏に行うんだろう・・・。試験会場はすでにひとであふれ、ますます暑さが増すようでした。それでも昔は、エアコンがついていなくて当然だったため、気をつけないと、汗で答案用紙がべたべたになったほどでした。それに比べたら、まだいいのかもしれません。


雪うさぎ「・・・」


 試験は終わり、手ごたえはありました。

 しかし、どこか言い知れぬ虚しさも感じていました。


雪うさぎ「これから、どうしよう」


 試験に合格する、しないにかかわらず、受験が終わったら就職活動をする予定でした。試験会場周辺でも、就職関係のパンフレットやうちわを配っている人もいます。


 ユキコは、わき目も振らずに、地下鉄を目指しました。



ヒヨコ「う~~ん」


 まさかあの理論が出るとは・・・。

 何とか書いたものの、ひよこくんが書いた答えは、あとで確認してみると、原則と特例が逆でした。


ヒヨコ「う~~ん」


 4月から西京市に来ていましたが、受験は例年通りの方がいいだろうと思って、那古野市で受けることにしていました。勉強時間はニワトリ氏の配慮でむしろ多くなっていましたが、いざ問題を見てみると、つめが甘かった、と思うばかりでした。


ヒヨコ「まあ、気持ちを切り替えて、またがんばるか」


 ひよこくんも、地下鉄の駅を目指しました。



 駅の構内はごった返していました。そして、ようやく到着した電車に、ユキコが乗り、そして続いてひよこくんが乗りました。電車の中は、帰る受験生でいっぱいになり、吊り革もすぐに埋まってしまいます。



 『この先、電車、揺れますので、ご注意ください』



 アナウンスがあったかと思うと、電車はぐわりと、揺れました。その揺れで、ユキコは前の人が肩から提げていたカバンが顔にぶつかり、めがねを落としてしまいました。



雪うさぎ「あ、メガネ・・・」

ヒヨコ「あ、大丈夫ですか?」



 ひよこくんはたまたま視界に入ったその光景を見て、メガネを拾い上げました。


ヒヨコ「どうぞ」

雪うさぎ「すみません、ありがとうございます」



 ・・・とまぁ、これが、ひよこくんとユキコの初めての出会いだったのですが、電車の中の一瞬の出来事でしたので、後に二人が出会ったときも、この日のことは二人とも記憶には残っていなかったのでした。



                                 第1部・完



【最後なので長めの補足】


 この投稿をもちまして、しばらく連載はストップします。

 今まで拙い文章をご愛読ありがとうございました。

 第2部を書くかどうかは、税理士になってから考えることとします。



 第1部で書きたかったのは、税理士という環境の変化です。


 別のブログでは、「税理士 年収」「税理士 給料」といった検索語句でやってくる方が非常に多く、「大丈夫かな」と少し不安に思っています。



 雑誌を見ると、税理士というのは、資格を取れば、さも、高収入が稼げるように書かれていますが、では、その人がそれを一生の仕事としようと思ったときに、税理士という資格がなくなることを想定しているのだろうか、と考えてしまいます。


 もちろん、なくなるかどうかはわかりません。



 しかし、実質的になくなる時代は、来る、と私は考えています。


 そのときに考えても、遅いという危機感から、このブログとあわせて、もう1つのブログを異なる視点から書いていました(そういう意図で、2つのブログは書かれています)。



 それに対するこのブログの結論は、すでにお読みいただいている方は、ご理解いただいていると思います。


 キーワードは、「○○○○○」ですね。



 税理士業は「先先と呼ばれて威張る」業じゃない、他と同じ「サービス」業だ、という考え方がありますが、もう一歩進んで、普遍的なことを言えば、「○○○○○と言ってもらえることをし続ける」業だと私は考えています。



 そんなの当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、今のご時勢は、その当たり前のことが守られない残念な出来事がたくさん起こっています。食品の偽装問題を考えていただければ、それは決して食品メーカーだけの問題ではないことが容易に想像がつきます。


 初志は立派でも、ちょっとでも「これくらいなら」という気持ちが起こった瞬間に、すべては狂い始めます。税法をはじめとする法律を使う税理士、会計事務所にとって、それがどれだけ致命的かは、もしかすると、すべてが狂うまで、本当の意味では気づけないかもしれません。




 蛇足ですが、もう1つのブログのキーワードは、「○○○○」です。


 年度末になると、予算を消化するために各地で不可思議な道路工事が行われます。きれいな道路なのに、それをひっくり返してつぎはぎだらけにします。


 みんな○○○○なぁ、と思いながら、同じような光景が繰り返されています。


 最近の税制改正は、近所の道路工事のように意味のわからない改正が多く、また、その改正の仕方もつぎはぎだらけの状態になって、税法が泣いています。


 でも「○○○○」ことを「○○○○!」と言うためには、何が○○○○か、どうして○○○○のかを知っていなければなりません。そのためには、過去の経緯であったり、現状を知る必要があります。


 しかし新聞などを読んでいても、「流行」には詳しくなれますが、本当の基礎基本はなかなか身につきません。そこで、流行に流されないブログづくりを心がけてきました。


 納税の義務だけが強化され、納税の権利がないがしろにされている世の中で、何を本当に問題としなければならないのかを、考える材料になれば幸いです。



 さて、長くなりましたが、皆様の今後のご活躍を祈念しておりますヒヨコ




新しい委員会の行方


 さて、ネコミミ氏にゃーが所長になってから、彼女は所長室直属の組織として、委員会砂時計をつくりました。この委員会は、税理士法人コケコッコーのトップと職員の代表1名、株式会社経営管理サービスのトップと職員の代表1名の4名で構成されています。


 税理士法人からはネコミミ氏にゃーとウサミさんウサギが、株式会社からはトメさんカメとねこへびくんねこへびが選ばれました。


 そして、まずは「グループヴィジョン旗」を発表しました。


カメ「ほほほ。懐かしいねぇ。ネコミミは先代のシャモ所長の奥様そっく

  りだよ」

ねこへび「そうなんですか?」

ウサギ「まぁ、たしかにそうかもなぁ」

カメ「先代を支えた奥様は、先代が亡くなって、2代目のニワトリ所長に

  変わったとき、次々と職員が事務所を去っても、誰にも文句を言わ

  ず、そして、ニワトリ所長のことを支え続けたんだよお茶

ねこへび「そうだったんですか」

カメ「そして、私と他に残ったメンバーを前にして、こう言ったんだよ。

  『残ってくれて、ありがとう。主人は死んでも、あの人の想いはあな

  たたちとともに、ここに残っているわ』とね」

ねこへび意志が強い方だったんですね柔道

カメ「ねこへび、女は怖いんだよ」

ねこへび「・・・それは、使い方がちがうような・・・」

ウサギ「まぁ、トメさんの言うことは腹八分で聞いたほうがいいぞ」


カメ「それにしても、今頃ニワトリハロウィンとひよこヒヨコはどこで何をしている

  のやら」

ねこへび「そうですねぇ。しばらく帰ってこないといってましたけど」

ウサギ「ニワトリさんはそう言って、気づくと横にいるからなぁ・・・」

カメ「まあ、いいコンビだよ。何か成果をあげて帰ってくるさ」

にゃー「あら、なんだか楽しそうですね。じゃあ、委員会を始めましょうか」


 ネコミミ氏が立ち上げた委員会は、表向きは、グループのブランド王冠1を高めるための活動をすると発表され、毎週ミーティングが開かれていました。



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どうぞ応援よろしくお願いいたします にわとり ニワトリ 鶏



【補足】

 さて、このブログでもおなじみのメンバーが集まりました。この委員会は、経済財政諮問会議がモデルです。少数精鋭で細かい話をつめ、トップダウンで改革を行っていきます。


どうやらねこへびくんねこへびの舞台は、ここのようですね。


ネコミミの恩返し


 さて、ひよこくんとニワトリ氏は、人材派遣業に着手するために、那古野市に戻ってくるのですが、彼らが西京市に行っている間の出来事を、ここで語っておくことにしましょう。


 ネコミミ氏にゃーは、優秀でした。


 それは、会計事務所の中では、その優秀さを鼻にかけず、むしろ進んで雑事をこなし、進んで顧問先のことを覚え、溶け込んでいったからでした。後から入った社員からは、もう10年以上のベテランだと思われるくらいでした。


 ネコミミ氏のポリシーは、顧客第一主義です。



 彼女が入所してから2年目のある日・・・


ブタ「所長、お電話です。タカアシ水産のタカアシ様からです」

ハロウィン「・・・もしもし、ニワトリです。タカアシ社長、いつもお世話になって

  います」

かに座「いやぁ、ニワトリさん、おたくのネコミミさんにゃーのことでちょっと話が

  あってね」

ハロウィン「ネコミミですか」

かに座「いやぁ、最初はオンナの担当者をよこすなんてと思っていて、相手

  にしないつもりだったんだが、こっちのかゆいところをうまくかいて

  くるというか、今までの担当者の中では一番面白いね。ありがとう」

ハロウィン「それは良かった」

かに座「うん、それだけだ。あんたもいい社員に恵まれたねぇ」

ハロウィン「ありがとうございます」



 電話が切れると、ニワトリ氏は内線をかけました。


にゃー「はい、ネコミミです」

ハロウィン「ニワトリです」

にゃー「お疲れさまです」

ハロウィン「今、タカアシ水産のタカアシ社長かに座から電話があったよ」

にゃー「え? ・・・クレームでしょうかしょぼん


 少し緊張した声で、ネコミミ氏は言いました。最近、立て続けに別の顧客のところでクレームをもらっていたので、徐々に声が小さくなります。


ハロウィン「『ありがとう』、だそうだ」

にゃー「ほ、ほんとですかビックリマーク


 ネコミミ氏の声に、思わず引き込まれそうになりました。それは本気で喜んでいました。ああそうか、彼女はきっと監査法人で生き抜くために、鎧(よろい)を身にまとったんだな。これが、本来の彼女なのだ。



ハロウィン「ネコミミさん、自分に自信をもちなさい。クレームをもらうのは、あな

  たがそれだけ動いた証拠じゃないか。大切なのはそれを悪化させ

  ないことと、2度と起こさない仕組みをつくることだ。僕はクレームを

  1つも起こさない社員なんて信用しないよ。あなたは『ありがとう』

  を言われるだけのことをやっているんだから、堂々と胸を張りなさい」

にゃー「ありがとうございます」



 さてこのとき、ネコミミ氏は、1つの想いを胸に秘めていました。クライアントから『ありがとう』がもらえる職場でしたが、監査法人時代とはまたちがう忙しさが、ここにはあります。「人が行う」という点は、少しも変わりません。


 そんな中で、事務所を去っていくものもいました。しかもネコミミ氏の後に入った若手が、次々に辞めていくのを見て、危機感を感じていました。これは、かつて自分がいた監査法人で、次々に入ってくる若手(ジュニアクラス)が辞めていくのとは、同じようで、しかしどこか拍車がかかっているような気もしていました。


 『若者は、3年以内に会社を辞める』


 ・・・いつの間にか、そんな風潮が世間に広がっていました。



にゃー「・・・次は、私が恩返しをする番だわ」



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【補足】

 今さらかもしれませんが、物語の会計進化論。は、4人の主人公がいます。ひよこくんヒヨコ、ニワトリ氏ハロウィン、ユキコ雪うさぎ、そして、ネコミミ氏にゃーです。会計事務所を舞台にして、彼らがどのように進化をするのか。そして、それによって、会計事務所がどう進化していくのか。そういうお話だと思って、お読みいただけると幸いです。


ただしフィクションですので、半分感情移入して、半分距離を置いて読んでいただくくらいが、ちょうどよいのかもしれません。今回のタイトルはジブリ映画から。


人材派遣業の歴史


 どうしてここ十年足らずの間に、これだけ人材派遣業を行う企業が伸びたのでしょうか、あるいは派遣という就労状況を選ぶようになったのでしょうか。人材派遣業の歴史は、「規制緩和の歴史」でもあります。

 人材派遣業というのは、労働者派遣法(1986年施行)が厳しく規制していました。かつては、一生同じ会社に勤めるのが当たり前という「終身雇用」と先に正社員として入ったものが優先される「年功序列」で成り立っていたため、非正社員である派遣労働者は、非常に限られた業種のみ認められていました。


 金の卵という言葉をご存知でしょうか。団塊の世代(一般的には1947~1949年の第一次ベビーブームの世代)は、高度経済成長期の終わりにかけて、次々に集団就職し、日本の経済を下支えしました。


 しかしバブル崩壊叫びという経済状況の変化は、終身雇用と年功序列をも崩壊させ、企業は「新卒者を採用して育てればよい」時代から、「新卒者を育てる暇がない」時代へと変わってしまいました。これにより、転職が増加しました。


 今でこそ転職は当たり前ですが、20年ほど前は異端でした。また、リストラや派遣社員を採用して人件費を下げることで利益を出し、企業は冬の時代雪を乗り切ろうとしました。

 

 1999年、労働者派遣法が改正され、対象となる業務が、一気に拡大しました。これにより、本格的な人材派遣サービス市場が登場します。


藤田社長「人材派遣には主に2つの形態があり、みなさんが考えている派遣と

  いうのは、ほとんどは登録型派遣のことです。7割以上はこの登録型

  だといわれています」


 (1) 登録型派遣(一般労働者派遣)

 (2) 常用型派遣(特定労働者派遣)


藤田社長「登録型は、期限付きで派遣会社に雇用されるのに対して、常用型

  は期限を決めないで派遣会社に雇用されます。つまり常用型の方

  が社会保険なども継続するので、安定収入を得ることになります。

藤田社長「しかし常用型は、どちらかといえば大企業がグループ内に人材派

  遣会社を設置し、関係会社間の雇用の調整のために用いることが

  多いので、それほど多くはありませんね」



 (3) 紹介予定派遣(テンプトゥパーム(Temp To Perm))


藤田社長「さらに2000年で解禁され、2004年に法制化された紹介予定派遣

  は、派遣先の会社の社員になることを前提にして、派遣スタッフとして

  働くという形態も可能になりました。これは、雇用のミスマッチを解決

  する手段として注目されており、当社でも主として、この紹介予定派遣

  をSE(システムエンジニア)で行い、急激に成長し、株式も上場させま

  した」




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【補足】

 「なぜ人材派遣会社が出てくるの?」と思われるかもしれませんが、人材派遣が当たり前になった時代背景と、若者が3年以内で辞めるようになった時代背景は、全く同じものなのです。

八本木ヒルズにて(後編)

 八本木ヒルズのあるフロアの応接室では、和やかな雰囲気お茶で会話が繰り返されていました。


ハロウィン「私は20年近く税理士の業界で働いて、そのうち15年は所長として

  事務所を運営してきましたが、今年の3月で事実上の引退をしました」

藤田社長「それは勇気のいるご決断でしたね。経営者の仕事というのは、働か

  ないことが大事ですが、なかなかできないものですよ。私も仕事が面

  白すぎて、ついつい働きすぎて怒られますからね」

ハロウィン「いえいえ。しかし同時に、危機感ももっていました。この業界では、コ

  ンピュータや安価なソフトウェアのおかげで、それはもう、一昔に比べた

  ら比べ物にならないほど便利になり、効率化が進みました」

藤田社長「私もSE(システムエンジニア)の端くれですから、それはなんとなくわ

  かりますよ」

ハロウィン「ただ、問題があるとすれば、そこに『知識偏重』と『技術偏重』が起

  こってしまったと思うんですよ」

藤田社長「ほぅ、それは興味深い! 私が今のビジネスを始めるきっかけも、ま

  さにそれでした。私はSEの派遣をやっていますが、当初は知識や技

  術をとにかくつめこんで送り出していましたが、会社を乗っ取られたと

  きにはじめて、『自分に味方がいないこと』に気づきました。なるほ

  ど、知識と技術はマニュアルがあれば一定レベルには簡単になれる

  でしょう。ビジネスモデル自体は間違っていないと今でも思っていま

  す。しかし・・・」

ハロウィン「しかし・・・ドキドキがついてこなかったんですね」

藤田社長「そういうことです」


ハロウィン「今では『3年以内に若者が辞める』という本がベストセラーになる

  くらい、若者の退職が問題になっていますが、我が業界、もっと言え

  ば我が社でも、それは同じことです。でも良く考えてみると、会社に入

  った若者は、『この会社では自分の未来を描けない』『あれが10

  年後の自分の姿か』『この会社の将来像が見えない』と、不安に

  なったり、絶望しているのに、それに我々が答えていないのですね」

藤田社長「まったく、そのとおりだと思いますよ。私の仕事も、単にプログラミン

  グを行うだけの職人としてのSEを派遣するのではなくて、人間的にも

  優れたSE、管理職としてリーダーシップを発揮できるSEを育て、

  派遣することです。ですから、常に『人づくり』が私の仕事だと思ってい

  ます」



ハロウィン「それにしても、どうして派遣社員を全員正社員として雇われたので

  すか?」

藤田社長「そうですね。たしかに正社員として雇うのは、グループ企業がつくる

  グループ内の子会社や関連会社に対する派遣会社が多いですが、

  うちはそういうのとはちがいますからね」

藤田社長「そうそう、この前、社員のひとりが、こんなことを言ってました。『僕

  たちはもっと上を目指さなければならない。そうでなければ、自

  分たちに憧れている後輩たちに夢を与えられないから』、とね」

ハロウィン「・・・」

藤田社長「ニワトリさん、私はどんな成功も、真似をすることから始まるん

  だと思っています。『真似るは、学ぶに通じる』・・・使い古された

  言葉ですが、これほど本質をついた言葉はないと思うんですよ。

  そして、私ができることは、真似をしたいと思わせる人間を、次

  々に育てることなんですよ。今の若者は、IT長者やデイトレーダー

  とか、華々しい結果だけを見て、その虚像を追おうとしますが・・・ま

  あ、これは我々大人の責任でもありますが・・・それだけじゃぁない

  ぞと証明をしたいのですよ」

ハロウィン「まったく、そのとおりだと思います。・・・今日は、本当にお忙し

  いところ、ありがとうございました」

藤田社長「いやいや。お互い、志は同じだと感じました。私にできることが

  あれば、ご支援します」

ハロウィン「重ね重ねすみません」



 あっという間に、30分が経ったのでした。


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【補足】

 さて、「なぜ若者は3年で辞めるのか」ということについて、よく言われる答えが登場しました。これだけではないでしょうが、これらは、年功序列が崩壊し、実力主義が中途半端に導入された結果、起こってしまったんだろうなと思う次第です。

 今、現場には、真似したいと思わせる人間が、どれだけいるでしょうか。

 20代の若者が辞めることが問題なのではありません。それ以上に問題なのは、30代がそれ以上の世代から継承されるべきものを、継承できなかったことにあるのだと私は考えています。すべては、バブル崩壊という黒船来航や第二次世界大戦クラスの日本の根幹を揺るがす事件が起こした悲劇なのかもしれません。


八本木ヒルズにて(前編)


 ニワトリ氏がテレビを見て、一風変わった経営者の姿を見たのが、2週間前でした。テレビを見た翌日にすぐに連絡を取りましたが、当初、彼は多忙で、本当なら1年後のスケジュールまでいっぱいでした。今日、30分の面会時間を取れたのは、偶然が重なっていたようです。


 その会社は、西京市港湾区の中央部に位置していました。再開発が進み、数年前にできた八本木ヒルズビルは、まさにその象徴でした。


ヒヨコ「これが八本木ヒルズですかぁ・・・。あ、八本足のクモだ」

ハロウィン「なかなか面白い建造物だね」

ヒヨコ「それにしても、よく会ってくれましたね」

ハロウィン「熱意だよ」

ヒヨコ「さすがニワトリさん」


 部屋で待つこと少々。ドアが開きました。


藤田社長「すみません、お待たせしました」

ハロウィン「こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません」

藤田社長「いえいえ。那古野市で事業をされているとか。いやぁ、懐かしい。

  私が最初に起業したのも実は出身地の大分ではなくて、那古野市

  でして、あの頃は一人で売り歩いたものですよ」

ハロウィン「那古野市は閉鎖的なところもありますから、苦労されたでしょう」

藤田社長「それはすぐにわかったので、ひたすら世間話をしましたね。それか

  ら、帰り際にお菓子を渡すんですよ。経理の女性社員の方や奥様に

  喜ばれましたね。いやぁ、大事な商品のパンフレットを置いていかな

  いでアメだけを置いていく変なやつだと思われましたが、一人に信頼

  されてからは早かったですね」


 ひよこくんは驚いていた。テレビで見る姿とはこんなにちがうとは・・・。

あれはあくまでもブラウン管の中のキャラクターなのだろうか。


藤田社長「それから、いくつか会社をつぶしたり乗っ取られもしましたが、今

  はプロのSE(システムエンジニア)の派遣をしています。・・・本

  題はそれですか」

ハロウィン「はい。私も同じように、プロの経理社員の人材派遣をしようと思

  い、それで今日はお時間をいただいたわけです」

藤田社長「興味深い。たしか税理士の業界もかなり規制緩和が進んでいる

  そうですね」

ハロウィン「よくご存知で。今までは資格に守られていましたが、今後は自分の

  身は自分で守る時代だと思っています」

藤田社長「なるほどなるほど」




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【補足】

 というわけで、ニワトリ氏はなにやら新しいことをはじめようとしていますが、ひよこくんは今のところよくわかっていません。しかし、本当に挑戦しなければならないのは、実はひよこくん自身だということを、この時点では知る由もなかったのでした。


「ありがとう」と言われる職場

 税理士法人コケコッコーの現在の所長、ネコミミにゃー氏は、税理士法人コケコッコーの中では、唯一の監査法人出身者です。大学在学中に、公認会計士試験(2次)に合格した才女で、卒業と同時に監査法人に入所し、3次試験もクリアし、公認会計士として、7年間、一貫して、一部上場会社の監査を担当していました。


 そんな彼女は、常に、疑問を投げかけていました。



にゃー「なぜ私たちは、クライアントから『ありがとう』と言われないの・・・」


 彼女が監査法人に入ったのは、1990年代後半でした。それはちょうど、監査法人や公認会計士にとって受難の時代のはじまりでした。エンロン事件が起こり、アメリカにある世界最大級の会計事務所の1つが消滅し、2002年には銀行の監査をめぐって、彼女の所属していた監査法人内で、繰延税金資産メラメラを巡る意見の対立が起こりました。


 その後もコンプライアンスという言葉がビジネス用語として浸透するとともに、監査の世界でも日に日にその要求は厳しくなっていきます。


 では、監査報酬を支払うのは誰でしょうか。それは、監査される企業自身です。企業の経営者や担当者にとっては、監査というのは車検と同じで、できることなら高いお金を払いたくないというのが本心でした。



・・・。「ネコミミ、私は、自分の非力さを知ったわ」

にゃー「そんな・・・私たちはまだできるわ」


 同僚たちは1人、また1人と去っていきました。毎年大量に公認会計士の2次試験に合格した若者たちを採用していきますが、すぐに辞めていきます。ちょうど、中間管理職になっていく30代・40代の神経症や精神病も問題になり、残業時間が一定数を超えると、強制的にカウンセリングを受けなければならなくなったりと、まさに「人材の自転車操業状態自転車」でした。


 そして、ある内部告発をきっかけに、大規模な不正会計処理が次々に発覚し、所属していた監査法人が解散することになると、ネコミミ氏はかねてからの疑問を解消できないまま、監査法人を去ることになりました。



 その後、ネコミミ氏は大学時代の同級生のいた、ニワトリ会計事務所(現・税理士法人コケコッコー)に入所したのでした。



 あれから5年。


 誰よりも顧客第一主義を掲げて走ってきたある日、ネコミミ氏は、所長室に呼ばれました。


ハロウィン「ネコミミさん、次期所長になってくれないか」


 開口一番、ニワトリ氏はそんなことを言いました。


にゃー「・・・私は、この事務所ではまだまだ新参者です。それに、私は、

  私の道を行きますが、それでもよろしいのですか」

ハロウィン「誰もが、自分の道しか歩けないものさ。人の道を歩こうなんて思

  っても、無理だよ得意げ まぁ、これは僕の言葉じゃないけどね」

にゃー「わかりました」

ハロウィン「私は、入社年度ではなく、ネコミミさん、あなたの顧客に対する気

  持ちが一番大事だと思っている。所長というのは、経験でなるもの

  ではない。誰にも負けない想いロケットがない限り、何年経っても決し

  てそこには立てないし、誰もついてこないよ」

にゃー「・・・」

ハロウィン「君は、君の道を歩きなさい足あと


 それから2年間、副所長として経営に携わった後、2007年4月から、ネコミミ氏が正式に所長となりました。



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【補足】

 まず「監査法人がありがとうがない職場」・・・と思うかどうかは人それぞれ、ということをはじめに書かなければなりません。これはあくまでも、ネコミミさんの一個人の見解であり、公認会計士の皆さんの総意ではないということです。


 したがって、ネコミミさんの発言に眉をひそめる方もいらっしゃるかと思いますが、そういうことを考える人もいるという程度に、寛容なお気持ちでお読みいただけると幸いです。ここでは、どのようなストレスが彼らにあるのかを、少しでも感じ取っていただけば、今回の目的を果たせるかと思います。


ある雨の日曜日に

 その日は、西京市を中心に午後から大雨雨の日曜日でした。


 買い物に行きそびれてしまったため、ニワトリ氏とひよこくんの2人は、近所のラーメン屋さんラーメンに行きました。客はほかに1人しかいません。いつもなら野球中継が流れているはずでしたが、放映予定だった試合は雨で中止となっていたため、テレビは、バラエティ番組を放映していました。



 ラーメンが運ばれてきました。スープはしょうゆ豚骨です。


ヒヨコ「いやぁ、なんかあったまりますねニコニコ

ハロウィン「たしかに。今日は急に温度が下がったからなぁ」



 そのとき、ニワトリ氏の目がテレビにとまりました。普段からテレビを見ないニワトリ氏ですが、このときは、ブラウン管に映し出されたえらく羽振りの良い服を着たやさ男風の若い男性藤田社長をみて、「ん? なんか一人変わった人がいるな」と気になってしまいました。


ヒヨコ「どうしたんですか、ニワトリさん」

ハロウィン「いや、あの番組テレビはどんな番組なのかな、と思ってね」

ヒヨコ「ああ、あれですか。結構面白いですよ。毎回スポーツ選手が登場

  して、面白いエピソードを語るんですよ」

ハロウィン「スポーツ選手? じゃあ、あの眼鏡の人も何か有名なスポーツ選

  手なのかい?」


 ニワトリ氏が指差した人物を見て、ひよこくんは笑いました。


ヒヨコ「あの人ですか? サッカーチームのオーナーサッカーボールですよ」

ハロウィン「サッカーチームの?」

ヒヨコ「ええ。バンディッツ西京というチームのオーナーですよ。今、けっ

  こう上位にいて強いチームなんですよ」

ハロウィン「へぇ、そうなんだ。それにしても派手なパフォーマンス好きの人みた

  いだなぁ。どんな業種の経営者なんだろうか」

ヒヨコ「あれ? そういえば、ええっと、なんだったかな・・・」



 そこで、2人のやりとりをきいていた客が、おもむろに口を開きました。


スナフキン「あの人は、少し変わった人材派遣会社の経営者だよ」

ハロウィン「人材派遣?」

スナフキン「おっと失礼、余計な口を挟んだかな」

ハロウィン「いえいえ。お詳しいのですか?」

スナフキン「まぁ、人並みにはね」

ハロウィン「『少し変わった』というのはどういうことなんでしょうね」

スナフキン「あそこは派遣する社員が全員、正社員なんだ。新卒を次々に採

  用して、エンジニアとして育ててから、派遣をしているんだよ」

ハロウィン「派遣社員が全員正社員?? エンジニア?」


 ニワトリ氏の顔つきが、変わりました。


スナフキン「おたく、興味があるのかい?」

ハロウィン「ええ」

スナフキン「そうか・・・。まぁ、調べてみればいろいろわかるだろうが、本社は

  隣の港湾区にあるから、直接経営者に会ってみると面白いかもな。

  ・・・大将、ごちそうさま」



 そういって、1000円札を置いていきました。まるで童話ムー○ンに出てくるス○フキンみたいだ、とひよこくんは得体の知れない雰囲気を感じましたガーン


 ニワトリ氏を見ると、ぶつぶつと、先ほどから何かをつぶやいています。


ハロウィン「そうか。そういう仕組みもあるのか・・・」




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【補足】

 今回は、あえて補足しません。。。

泥臭い仕事

 創業者としてカリスマ性をもっていたシャモ氏にわとり ニワトリ 鶏


 どこかとぼけたところもありながら包容力のあるニワトリ氏ハロウィン


 ・・・それに対して、3代目のネコミミ氏にゃーは、言葉にするなら才色兼備。それはプレイヤーとしては魅力ではありましたが、果たして経営者として成り立つのか・・・当初、所内では、彼女に経営者としての器があるのか、疑問にもつものも少なくありませんでした。



 しかしニワトリ氏は感じていました。


 彼女には、誰にも負けない信念と、人に対する興味があると。



 会計事務所というのは、人が辞めることが珍しくありません。もともと独立志向が高い業種でもあり、実家が同じように会計事務所で、一定年数が経つと家業を継ぐために辞める者も、少なくありません。また、繁忙期を含め、多忙であることから、体調を壊す者し、辞めていく者もいます。



 7年前、ニワトリ氏がネコミミ氏に始めて会ったときの第一印象は、「優秀な人だな」というものでした。ニワトリ氏は鉄鋼王として有名なアンドリュー・カモネギートリ印という偉人の大ファンで、自分の仕事は、「自分より優秀な者を集めて、働きやすい環境を提供すること」だと彼の考え方を拝借していたのですが、ネコミミ氏は「優秀すぎて大丈夫かなガーンと少し警戒していました。



ハロウィン「ネコミミさんは、どうしてうちへ?」

にゃー「私は今まで監査法人で働いていましたが、そこで行っていた監査

  業務に常々、疑問をもっていました。もっとクライアントと近いとこ

  ろで仕事がしたいと思って、御社を希望しました」

ハロウィン「ほぅ、それは珍しいですね。うちはあなたのように監査法人から何

  人か転職しようときてくれた方はたくさんいますが、あなたのような

  動機の方ははじめてですね。・・・ただ、初めに言っておきますが、

  ここでは、あなたが今まで働いてきた環境とは、180°逆の世界だと

  思いますよ」

にゃー「・・・」

ハロウィン「非常に泥臭い作業モグラの連続だと思います。あなたが想像して

  いる以上に」

にゃー「・・・。その履歴書には書くところがなくて書いていないことですが、

  私は早くに両親を亡くして、それ以来、就職するまで、いろいろな

  場所でアルバイトをしてきました」

ハロウィン「・・・」

にゃー「大学時代は、ある中小企業の経理のアルバイトをしていました。

  私は経済学部でも法学部でもなく、文学部で社会学を勉強してい

  ましたが、そのときの経験がきっかけで、会計士の道を進むことに

  しました。今思えば、税理士を目指していれば遠回りしなくてすん

  だのかもしれませんが・・・」

ハロウィン「・・・」

にゃー「私、泥臭いのは得意中の得意です」


 そのとき、ネコミミ氏はここに来て初めて微笑みました。少し緊張していた表情が解けたとき、ニワトリ氏は、その笑みの中から、その言葉が嘘ではないことに気づきました。


にゃー「どうせなら、一番泥臭い現場で働かせてください。それが私の希

  望です。そこには、私が求める『ありがとう』がありますから」


 そして、彼女のひたむきさと、人間への興味に気づいたのでした。 


 

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【補足】

 たまにコンサルタント志望で「キレイな仕事音譜」をしたいと思っている方がいらっしゃいますが、そういう方は、理想と現実の差に悩んで、真っ先に辞めてしまうようです。カタカナの職業というのは、たしかにかっこよさそうに聞こえますが、どんな職業であったとしても、非常に地道な作業の繰り返しです。


 じゃあ、監査法人や大手の税理士法人はどうだろう、と聞いてみると、「自分が知っている名前の会社と仕事ができるのは面白いけど、それ以外は、やっぱり地味で地道ですよ。給料がよくても、残業も多いし」といわれました。


 あのサッカー選手や野球選手だって、試合に出る以外の時間は、ある意味では、単純作業の繰り返しです。厳しいことを言えば、イチローになりたいけど、素振りはつまらないから嫌、というのと同じなのかもしれません。これは自分の仕事じゃないと言って辞めるのは残念なことですが、上に上がれば上がるほど、基本動作が出てくるものです。その基本をおろそかにしてしまうことが、実は一番怖いことだったりします。

気づける人と気づけない人がいるだけ


 さて、すっかり主役のはずのひよこくんヒヨコの出番が長らくありませんでしたが、昼間はニワトリ氏とともに西京市にある会計事務所の見学をして、夜は税理士試験の勉強やシャモ所長時代の話などを聞いていて、それなりにちがった充実感がありました。しかし・・・。


ヒヨコ「ニワトリさん、今日で20件目ですね」

ハロウィン「いやぁ、どこもみなさん素晴らしいね」


 その言葉には、何か引っかかるものがありました。いったいニワトリ氏は、何を考えているのでしょうか。そして、ひよこくんはいったい何をしているのでしょうか。季節は、春から夏に向かっていました。



ヒヨコ「でも、どうして僕なんでしょうか」

ハロウィン「ん?」

ヒヨコ「いや、僕は別に営業経験もありませんし、そもそも会計事務所で

  は下っ端ですよね・・・」

ハロウィン「それは前にも言ったとおり、『余計な先入観がない』からだよ」

ヒヨコ「先入観ですか・・・」

ハロウィン「先入観という観点から見れば、ひよこくんは今まさに染まるか染

  まらないかアートというちょうどギリギリの段階だったんだよ。今年でう

  ちにきてから3年目だろう」

ヒヨコ「はい」

ハロウィン「会計事務所のルーティーン業務は、3年やればたいていの流れは

  わかる。あとはそれをえんえんと繰り返していくか、資産税とか医業

  とか特化してコンサルティングを行っていくのがふつうだ。あるいは、

  最初から独立するのを前提にしている者もいるよね」

ヒヨコ「たしかに、周りを見るとそうかもしれませんね。今までお会いした

  事務所の方たちの中にも、そういうことをおっしゃっていた方もいま

  したし・・・」

ハロウィン「私も所長時代を含めて、この業界に15年以上いる。・・・まだまだ

  経験が足らないと怒られるかもしれないけど、正直ね、プレイヤーと

  しては、この業界に足を踏み入れたときから限界を感じていたんだよ」

ヒヨコ「限界ですか?」

ハロウィン「簡単に言えば、計算が苦手なんだよね。あはは。いつもトメさんに呆

  れられていたなぁ」

ヒヨコ「はぁ」

ハロウィン「だから経営者になれたのは、運がよかったと思う。運がよかったとい

  うよりも、周りも『ニワトリには申告書を作らせるな』というくらいだっ

  たからね」

ヒヨコ「それは知りませんでしたガーン

ハロウィン「まあ、そんなもんだよ。私は、鳥天使のように高いところから、大きな視

  点で見るのが好きだからね」


 そう言ってニワトリ氏は、いつものように笑いました。


ハロウィン「ひよこくん。税理士という業界は、すでに多くの規制緩和が起こり、ま

  た起ころうとしている。そんな中で、君は今後、今までの先入観の中で

  生きていくのは非常に危険なことなんだよ」

ヒヨコ「・・・」
ハロウィン「いつの時代も、若い人は、自分にとっての理想の青い鳥鳥を探し

  ている。僕らの時代も、君たちの時代もだ。しかしね、青い鳥なんていう

  のは、すでに誰の目の前にも当たり前のように存在して、飛び回ってい

  るんだよ」

ヒヨコ「当たり前のように、ですか・・・」

ハロウィン「そう。だからいつの時代も若者が気づかないといけないのは、青い鳥

  を探すことではなくて、青い鳥に気づくことができるようになるという

  ことなんだよ。多くの人は、目の前に青い鳥が羽を休めていることに、

  気づかないんだね」

ヒヨコ「でも僕は、別に青い鳥に気づいた気はしないんですが・・・えっ

ハロウィン「青い鳥に気づく方法はいくつかあるが、1つの方法は、今、目の前に

  ある仕事に専念することだ。こんなことは誰もが知っているというかも

  しれないが、それを実践している若者は、少ないんだよ。うちの若手だと

  ひよこくんの他には、ねこへびくんねこへびかな。まぁ、彼には別のチャンス

  を与えたけどねキラキラ


ハロウィン「ただし、ひよこくんはチャンスの1つをつかんだに過ぎない。それを今

  後の人生の中でどう活かすかは、君のがんばり次第だよ」

ヒヨコ「・・・。今の自分には、まだよくわかりませんが、チャンスを与えていた

  だき、ありがとうございます」


 そういえば、そろそろ名刺を作らないといけないな、とひよこくんはふと、

そんなことを思いました。それだけ、この数ヶ月間でいろいろなところを訪

ね歩き、いろんな人の話を聞きました。



ヒヨコ「きっと、あのまま事務所で働いていたら、気づかなかったな」



 大学時代の友人のうち何人かが、自分がやりたいことを求めて転職した

り起業したということを、人づてに聞きました。よく考えてみると今の自分は、

まるで転職をしたときのような経験を、させてもらってるんじゃないのか

な、とそんなことを思ったのでした。


ハロウィン「さぁ、かたい話はこの辺にして、ご飯にしよう」

ヒヨコ「あ! 待ってください」



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【補足】

 鳥が鳥の話をしてどうする・・・というツッコミはさておき、3年でたいていのことはわかるとか、そのあとは繰り返しか、特化するかだよ、といった言葉は、私が「実際に聞いたこと」を書いています。もちろんそれは、3年でわかったつもりになるというレベルかもしれませんが、しかし聞き逃せない言葉でもあります。


 また、若い人たちはいつの時代も「青い鳥症候群」に陥っているというのは、それほど間違った認識ではないような気がします。昨今は「この会社では成長できない」といって、早々と会社を出てしまう若者が増えていますが、青い鳥を探して別の会社に移ったとしても、青い鳥に気づく能力がないのであれば、また別の会社に青い鳥を探しに行くことでしょう。

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