テーマ:呪術廻戦(324)
カテゴリ:呪術廻戦
昨日は楽天ブログの方、普段の2〜3倍のアクセスがありまして。
皆さん、記事タイトルの「バリウム」に反応なさったのかしらね? 夜にちょっと見に来てビックリしました。 では、今日の本題。 一昨日の小説の続きを。 pixivからの再録です。 原作漫画主人公とその仲間達のお話。 ちょい長いので2回に分けました。 pixiv同様、時系列バラバラですみません。 この話は、原作で現在揉めてる事案が一段落し、 主人公が学校に復学した後の設定となっております。 「呪術廻戦」をご存知ない方の為の予備知識。 ・呪術高専:呪術師の卵達が学ぶ高等専門学校。 東京の外れ(山ん中?)にある。たぶん4年制。 ・虎杖悠仁(いたどりゆうじ):原作主人公。高1。 呪いの王こと両面宿儺の指を食って、宿儺に呪われた厄介な子。 マズくても食うあたり、味覚も常識も大丈夫?ついでに胃袋も。 誰からも好かれる明るい性格の良い子。(体力馬鹿っぽい) ・五条悟(ごじょうさとる):虎杖(いたどり)達の担任教師。 原作中では現時点で最強呪術師。常に両目を隠している。 飄々としていて掴みどころのない性格。 ・伊地知潔高(いじちきよたか):高専職員で生徒達の補助監督。 結界など簡単な術しか使えないが、事務仕事は有能らしい。 気が弱くて、いつも五条にいじられてる苦労人。 ・家入硝子(いえいりしょうこ):高専医師。五条の同期。女性。 では、どうぞ。 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 機会は案外簡単にやってきた。その晩、なかなか寝付けず五条がベッドの上で考え事をしていると、携帯が鳴った。虎杖からだ。枕元から取り上げ、耳に当てる。電話をかけてきたものの話し出そうとしない虎杖に、五条から問いかけた。 「どうしたの、悠仁?」 「あの・・・先生、俺・・・」 「うん、どうした?」 促すように意識的に優しい声を出す。しばし待つと、ようやく虎杖が話し始めた。 「俺・・・先生に話してないこと・・・話さなきゃいけないことがあるんだ・・・」 電話越しでもわかるほどまだ言いづらそうにモジモジとする虎杖、見えずともその様子が五条の目に浮かぶ。このままモジモジさせておくのは虎杖がかわいそうだと、五条は自分から核心部分を切り出した。 「左肩のこと?」 ハッとした虎杖の息遣いが伝わってくる。 「・・・先生、知ってたの?」 「まぁね」 「どうして・・・?」 「ん〜、企業秘密」 「・・・そっか」 虎杖の声音が変わった。どうやら秘密が秘密では無かったことに、少しホッとしたようだ。 「明日、一緒に硝子のところに行こう」 「うん」 五条が誘うと、虎杖は素直に返事をした。そして、心底すまなそうな声で、 「先生・・・黙っててごめんね」 その声に五条はのどの奥でククッと笑うと、 「もう、ほんとにね」 わざと怒ったように言ってから、再び優しい声をかけた。 「さ、もう遅いからおやすみ」 「うん、おやすみ、先生」 (本当に悠仁は嘘のつけない子だよ) 五条は携帯を置くと、横になりゆっくりと目を閉じた。 翌朝、五条と虎杖は揃って家入を訪ねた。伏黒と釘崎は、適当な理由をつけて上級生に預けてある。 「お〜、来たね、ふたりとも」 医務室に入ると、虎杖は椅子に座らされた。 「早速だけど、見せてもらおうか」 家入に促されて、虎杖が上半身の服を脱ぐ。外気に晒された虎杖の左肩で、やや幼くも見える男の顔がニタリと笑う。 「「なるほど」」 五条と家入の声が重なった。怒られたり気味悪がられたりするかと身構えた虎杖だったが、大人二人は意外にもさほど深刻そうでは無かった。 「昨日見た時は焦ったけど、改めて見ると呪いとしては大したこと無いな」 五条の言葉に驚く虎杖。 「えッ、先生見たの!?どこで?どうして!?」 五条と宿儺のやり取りの記憶が無い虎杖は、わたわたと慌てた。そんな虎杖をスルーして、五条は家入に向き直る。 「どう、硝子?」 「ん〜、これなら綺麗に切り取れるかも」 「そっか。じゃあ任せていいかな?」 「おっけ〜。じゃ、とっとと始めるよ」 ねぇ?ねぇ?と喚く虎杖を蚊帳の外に、大人達は会話を進める。いきなり切除手術が決まったようだ。 「ところで、虎杖。全身麻酔と部分麻酔、どっちがいい?」 肩先からわずか3センチのところでメスが光る。結局虎杖は、手術の一部始終を自分の目で見守る選択をした。 「悠仁って案外マゾでしょ」 五条が呆れたように言う。そんな彼もしっかりその場に留まり、家入の手元を眺めていたのだが。 「う〜〜〜、だってさ。自分のことなのに訳わかんないままってヤじゃん?」 「虎杖、喋っててもいいが動くな〜」 サクッとメスが傷を切り取っていく。麻酔が効いているので痛みは無いが、なんとなく何かが触れる感触とツプリと湧き出る己の血に、背筋がゾワゾワする虎杖だった。 ふと、家入の手が止まった。 「硝子、どうした?」 「・・・何かある」 メスが傷口の中央に触れる。抉るように食い込ませ、続いて掬うように持ち上げた刃先の上で、何かがキラリと光った。とても小さくて、目を凝らさないとわからない程の何か。 「カケラだね」 「皿の破片か!」 1ミリにも満たない破片をじっくりと見た五条は、再び「なるほど」と呟いた。 「これが原因か」 五条は破片を指でつまむと、医務室の窓を開けポイと捨てた。そして、それに向かって呪力をぶつける。ボン!と小さな爆発が起きた。破片がどうなったかは見えなかったが、五条が「よし」と言ったのでたぶん跡形も無く消えたのだろう。 家入によって人面瘡は全部切り取られ、傷口が縫われていく。ガーゼを当てられ包帯を巻かれ、すっかり見えなくなった左肩に、ようやく虎杖は長いため息を吐き出した。 「しばらくは動かすなよ」 家入の言葉に頷く。虎杖は家入に礼を言ってから、五条と共に医務室を後にした。 「当分は映画鑑賞と座学だね〜」 「えぇ〜、またぁ〜?」 伏黒達が上級生と修行をしているであろう方角に向かって歩いていると、前方から伊地知が現れた。虎杖を見るとちょっとためらう顔をし、五条を呼び止める。 「五条さん・・・ちょっと・・・」 それに何かを察した五条は、 「ごめん、悠仁。先行ってて」 虎杖を追い払うと、適当な空き教室に伊地知を招いた。 「それで?」 「はい・・・つい今しがた警察から連絡があったのですが。先日の虎杖くんが怪我した件、あれの呪詛師の弟の方が先ほど突然亡くなったと・・・」 幾分か青褪めた顔の伊地知に、五条は「ああ」と呟いた。 「人を呪わば穴二つ・・・ってね」 「は?」 「まぁ悠仁を死なせたりはしないけど」 黒い笑みを浮かべ、伊地知を見る五条。その口元に人差し指を当てると、 「今の話、悠仁にはナイショだよ?」 ヒラヒラと片手を振りながら教室を出ていく最強呪術師に、心底ひんやりとしたものを感じて立ち竦む伊地知であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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