鈴木さんちの球日記

撞球愚痴日記。2006年から書き続けているので、昔と今とでは持論が変わっていることが多いです。1プレイヤーの成長記として、生暖かい目で見守ってください。

近づけば遠くなる

2本立て

 

1本目

 

この手の話をする度に毎回引き合いに出している気がする、某幽遊〇書の某△影のセリフ。


今回も出そうと思って、どういう言い回しだったか調べようと思ったら、こんなのを見つけました。

 

幽遊白書~遠くなっていく飛影 - 飛影が躯にスカウトされて魔界で... - Yahoo!知恵袋

 

質問者さんはまだ若い子なんでしょうかね?


経験を積んだ大人ならこんな質問はしないんじゃないだろうかと思います。


自分の腕前と経験値が上がることで、相手との力量差が正確に読み取れるようになるってのはビリヤードでも同じだと思います。


I氏と公式戦について話していた時に、I氏がこんなことを言いました。


「出場者は誰も、あわよくば優勝してやろうって思ってるんじゃないですか?」「公式戦に出るような人は、誰もがSAになろうって思ってるんじゃないですか?」


そして、I氏自身、出来ることならタイトルが欲しいと思っているらしい。ほんまかいな。

 

 

無理だよ

 

 

I氏の球歴は私より長くて16年ほど。それだけの歴で未だ中堅B級なI氏が、どうやってSAになろうというのだろうか。


もちろん、絶対に不可能というわけではありません。I氏がこれから毎日毎日タイトルを取ることを意識しながら10時間練習するような日々を過ごせばSAになることは夢ではないと思います。


しかし現実のI氏は公務員です。真面目に働いております。しかも、家や職場の近くに球屋は無い。


本人からも言質が取れました。「毎日1時間練習してればなれませんか?」

 

 

なれるわけねーわ!

 

 

私はこう言いました。


「よく『高頻度短時間撞きと低頻度長時間撞きと、どっちが良いのか』みたいな話がされるけど、それは『出来る範囲で上手くなろう』っていう一般的な社会人プレイヤーの話。プロはもちろん、SAになるような人達は高頻度長時間撞きだよ」


毎日1時間の練習。これだと、Aになるまでも結構時間がかかると思います。質が低いとAクラスにすらなれないかもしれません。


また、Aクラスというのは絶対評価ですので(クラス分けの基準が曖昧だという話はさておくとして)基準値を越える実力を手にすれば誰でもAクラスになれます。


一方SAというのは相対評価です。並み居る強豪を倒して、その中でのトップになれなきゃいけません。高頻度長時間撞きをするのは当たり前で、その中でもさらに質の高い練習をし、加えてセンスも問われる。仮に毎日1時間練習していればSA相当の腕前になれたとしても、毎日1時間以上練習している人なんて世の中に何百人いるんだって話ですからね。その中でトップになれるとでも?


毎日1時間練習すればSAになれると思っているだなんて、脳が足りなさすぎるというかなんというか、、、、Bクラスの皆様。毎日1時間の練習ではSAになんてなれないって分かりますよね?


よっぽどのセンスがあればなれるのかもしれませんが、そんだけのセンスがあればBクラスなんてやってないでしょう。


I氏の場合、そもそも毎日1時間練習なんてしてないし、したこともないはずです。I氏にとって毎日1時間球を撞くだなんてのは「物凄い努力」っていうイメージなんでしょうねぇ。


「公式戦に出るような人は、誰もがSAになろうって思ってるんじゃないですか?」ですが、大半の参加者は思っていないんじゃないでしょうか。憧れはあっても目指してはいないって人が多いだろうし、憧れすら持ってない人も少なくないのでは。


公式戦に頻繁に出るようなA級は、自分とSAとの実力差が良く分かっている。SAの人たちがどういう球人生を歩んできたのかを知っている。自分が同じことを出来るか?と考えて「NO」という結論を出している人が多いはずです。


自分の出来る範囲で最大限に上手くなって、最大限の結果は出したいとは思っていても、SAは憧れ程度っていう人がほとんどなんじゃないでしょうかね。具体的にSAを目指している人なんて一握りのはず。

 

毎日1時間の練習でSAになれると思っているI氏はさすがに極端だとしても、やはり下のクラスの人ほど彼我の実力差を判断する能力に劣るなと度々感じさせられます。


私自身もそうで、球を始めてB級の中ほどくらいまでは何の苦労もなくポポンっと上ってこれまして「Aクラスもあと少し」って思ってましたが、その「あと少し」がやたら遠かったし。


B中くらいまでの時には全く歯が立たなかったAクラスの人といい勝負が出来るようになってきて「もうちょっとだ」「差は少し!」って思っていたのに、その「ちょっと」が全く縮まらないっていう。


まさに、上達すればするほど成長曲線が緩やかになるっていうやつですねぇ。


B中くらいまでの人にありがちなセリフに「Bクラスが一番レベルの幅が広い」みたいなのあるじゃないですか。あれぞまさしく分かってない発言の典型なわけで(;´∀`) 私も言ってましたよ、同じこと。


シュート率1つを見たって、85%だったシュート率を86%に上げるのより、0%を50%に上げる方が圧倒的に楽ですからね。上手くなってきた後の「ほんのちょっと」は果てしなく遠い道のり。


毎日1時間練習すればSAになれると思っているようなBクラスがいて。


Aに上がりたてくらいの人だと「SA凄い」「自分もあれくらいなりたい。頑張るぞ!」とか思っている人もいて。


中堅A級くらいになると「ありゃ無理だ」って思う人が大半になるっていう。


まさしく、近づけば近づくほど遠くなるのです。

 


2本目


私は9ボールにせよ10ボールにせよ、定位置にある9番10番に対して「近くて厚く出す」を実行するのは難しいので、たとえ手球がどこにあろうとも入れられるように練習すべきであると考えています。

 

 

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ここら辺に出せれば充分だし、ここら辺にすら出せなくても入れなきゃならんと。


もちろん、低リスクでより良い位置に出しに行けるなら出しますけども、リスクを負ってまで9番を入れるのが簡単なところに手球を持って行こうとはしないのであります。


私がそう考えるようになったのは私自身の経験によるものでもあるし、多くの上級者が同様の取り方をしてきたのを見てきたからです。


その中でも特に印象に残っているのが2つ。1つは土方プロが

 

 

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こんな配置に追い込まれていて「どうするんだろ?」と思ったら、ちょっとだけ前にコロコロっと転がして、後は土手撞きロングで9番を入れるだけっていう。


2つ目の例はレイズ。具体的な配置は良く覚えていないのですが、8番から9番に出すのがちょっと難しくなり「この配置をレイズはどう出してくるんだろう」とワクワクして見ていたら、チョコンッと撞いて手球をほとんど転がさず

 

 

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この辺に出して9番勝負。普通にあっさり入れて終わりでした。


「これで良いんだな」と思いました。


この2例は特に強烈でしたが、他の上級者達を見ていても、わざわざ無理してまで9番に綺麗に出そうとはしていないことが多い。


「正確に出すことよりも、9番を入れることの方が大事」と思わされたのであります。

 

一方でI氏は真逆のことを言っておりました。


成功率が低いことをやってしまうI氏。その一環として9番に対して難しい出しをしようとしてしまって8番をシュートミスしたり9番に出しミスしたり、、、ってのもありました。


それに関してI氏は「試合で見かけた上手い方やプロの方々の球を見ていると、みんな9番に綺麗に出してるから。。。。」と言う。


I氏は私とは逆の例を見たんだなーって思いました。


私は「ここで充分」という位置に手球を出して9番入れ勝負に行く上級者をたくさん見た。I氏は正確に9番に出す選手達を見た。


どういう人の球を見たかで、考え方も変わるよなーーって思ったんです。最初は。

 

でも、すぐに疑いました。何を疑ったかってI氏をです。


私が見た例は何十何百という例です。色んなプレイヤーの色んなシチュエーションでの球を見て来た。


I氏の場合、2~3例だったりする可能性がだいぶ高い。たまたまの2~3例で「正確に出さなきゃいけないんだ!」って考えてしまった。その可能性はI氏には充分にある。


出しに拘りがある特定の上級者の球だけを見たっていう可能性もある。


また、僅かな例から「正確に出さなきゃいけない」と思い込まされ、以降はその思い込みから入れ勝負をしている例を見かけてもスルーしてしまうってのはありがちだと思います。思い込むと物事が正確に判断できなくなりますからね。

 

疑いその2。


B級目線からすれば難しい出しであっても、A級以上のプレイヤーからすれば低リスクな出し方ってのはあります。


撞いた本人は、簡単に出せるから出しに行っただけなのに、見ていたB級I氏は「あんな場面でもしっかり出せるんだ!!」って思って印象に残ってしまったという可能性はある。

 

疑いその3


プレッシャーの無い状態の上級者の球を見た可能性。


ミスすることを気にしない球を撞いている時の上級者であれば、リスクなど気にせず9番に綺麗に出そうとしていくことは普通にあると思います。

 

I氏はどうも分不相応なことをやろうとするというか、今の実力でまずやるべきことが分かってないっぽいんだよなぁ。


「上には上がいるし下には下がいる。どっちを見過ぎても駄目」みたいなツイートをこの間しました。


自分より下の人ってのはたくさんいます。たまには下を見て精神を安定させるのも良いかもしれませんが、下ばっかり見てたら当然成長しません。


一方で、上を見過ぎても気疲れしてしまうし、目標を見誤ることにもつながると思います。


たまーに下を見て精神衛生を保ってみたり、たまーに思いっきり上を見て長期の目標を立てるのも良いでしょうけど、基本的にはちょっとだけ上。頑張って精進すればそう遠くない未来に手が届くくらいのところを見ているのが良いですよね。


I氏は、1本目で書いた通り彼我の実力差ってもんが判別出来ないもんだから、遥か高みにいる人のことを「ちょっとだけ上」と勘違いしている可能性もあるなぁ。


そういや「僕にとってA級っていうとAさん(←元球聖位)なんで」と、Aさんと勝負できるくらいにならないとAにはならないって言っている馬鹿なSBがいましたけど。。。


そのSBもあれかな。SAプレイヤーまでもほんのちょっとの差だとでも思ってんのかな?


そう考えると、I氏が特別ってわけでもないか。Bクラスプレイヤーが全般的にそうなのかな。近づくほど遠くなる感覚ってのを味わったことが無いのだろうか。

 

っていう偉そうな発言も、私がその時期を通過したからこそ言えることであって、私も当時はそんな感じだったけかなぁ?

 

短期目標が無く長期の目標ばっかり立ててしまっている人とか、目標を見誤ってトップ選手並の技術取得を短期~中期の目標に出来ると勘違いしているような人も少なくないです。

 

下級者はたまに自分の目標を上級者に話して判断をしてもらう必要がありそうですし、上級者も優しくアドバイスしてあげる必要がありそうです。

 

大事なのは、上級者は馬鹿にせず親身に話を聞いてあげて、下級者は素直に聞き入れること、ですね(笑)