関西電力を巡って原発マネー還流疑惑が生じた。今件では故・森山栄司氏が関電経営陣に高額な贈答品を贈っていた事が発覚した。関電では、マスコミの批判を受けて会長と社長の辞任を発表した。また、事実を究明するとして第三者委員会を設置するというが、未だにテレビや新聞では森山氏に関しての情報タブーをタブーのままにしている。森山氏の孫が東京地検特捜部の検事である事も報じられていない気がする。

既に週刊新潮10月17日号では森山氏が設立し、その筆頭株主であったという会社名も記載されている。現在ともなると福井県警OBの天下り先として欠かせない警備会社があると週刊文春でも報じられていましたが、オービング社(高浜町)という事になるのかな。そして、そのオービック社の関連会社であるアイビックス社(福井市)があって、このオービング社とアイビックス社の会長個人の名義で稲田朋美元防衛相、高木毅元復興相に政治献金があった訳で、やや紛糾があった訳ですね。もしかしたら原発マネーってのは還流してるって事じゃないのか、と。

しかし、予想した通り、マスコミ報道、テレビや新聞の報道が気になる…。こう感じているのは私だけではないらしく、週刊文春10月24日号の「新聞不信」でも取り上げられている。少し摘まみ食い的に引用します。

原発を巡って巨額のおカネが還流していることは、かねて囁かれてきた。今回、元助役周辺の実態が明るみに出たが、「原発マネー」は他にもあるのではないか。毎日新聞はそうした問題意識を窺えるが、他のメディアが酷い。二週間で三回も記者会見を開き、その挙句、トップ二人が辞任に追い込まれた経緯は記者会見当日にテレビやネットで流れるニュースを見ていればわかること。速報性に劣る新聞が大きく紙面を割く必要はない。にもかかわらず朝日や読売が十月十日付朝刊で関電が各方面から猛バッシングを受けてトップのクビが飛んだ経緯を執拗に書いている。

〜中略〜

日頃、原発政策にあれこれ物申している朝日に期待したが、これまた関電叩きに終始していることに唖然とした。日経は「原発マネー」の存在に触れた。さらに関電で不祥事が発覚したことで「再び原発再編に向かう可能性がある」という東京電力幹部のコメントを紹介している。そこは評価したいが、見出しが悪い。「原発問われる説明責任」で、記事の中身を想像できる人はまずいない。


どうも会長と社長が辞任した事で、もう、それに満足してしまっているかのような、そういう報道になってしまっているって事でしょうねぇ。副題は「辞任を喜ぶだけでどうする」とあるし。

思えば、ごくごく単純な疑問であろう「そもそも何故、こんな事になったのか? 森山氏はどのようにして原発のドンになったのか?」という箇所をテレビや新聞は断じて報じず、それでは語りようもない。以下、週刊新潮10月17日号からの引用です。

いまから半世紀ほど前。高浜町役場にある一室で、鋭い怒声が響いていた。

「なんでいまドン!って置いたんだ。俺が部落の人間だからか! 差別だ!」

男の横で立ち尽くす女性職員。机には彼女が運んできたお茶が置かれている。声の主は、若き日の森山氏だ。部落解放同盟福井県連合会高浜支部の中心人物として、高浜町役場に赴いたときの一幕である。

このときの彼は、京都の綾部市役所に職員として勤務するかたわら、解放同盟の運動にも熱心であった。怒声と、のちに、高浜町役場に奉職することになる奇縁との因果関係は不明だが、

「こうした威圧的な振る舞いやその背景こそが、森山さんの、ひいては、関電の問題の本質です」

と、高浜町の関係者。


この同和に係る箇所がテレビと新聞はタブーとしているって事なのでしょうねぇ。しかし、実際には出版社系の雑誌や書籍では取り扱われているし、引用した箇所からも分かるように「問題の本質」とも関係している話なだけにねぇ…。

同和問題に限らず、アメリカでも黒人差別に対しての配慮が逆差別になってしまっているという声が上がって10〜15年ぐらいになるのだと思いますが、まぁ、差別問題に係る逆差別みたいな問題って、常識的にも起こり得る話な訳でしょう?! 仮に相手を威圧する気がない場合であっても、結果として威圧してしまう事だって有り得る。語ることそのものをタブーにしてしまうと何がどうしたのか、さっぱり分からない。森功氏らの著書であるとか、宝島社の文庫本あたりではバブル期前後に暴力団が同和を利用して暗躍していた事柄なども記されており、そこに触れないで、この事件を報じたら、ただただ関西電力だけが諸悪の根源みたいな理解になりかねず、或る程度は構造に触れないと語りようもないケースだと思いますけどねぇ。

週刊新潮誌が報じたように「お茶の置き方」への不満を以って「差別だ!」と言い出されてしまったら、実際問題、良識的な者であれば誰だって当惑する状況に追い込まれる事は容易に想像できますよね。

さすがに問題だろって思うのは、関電のみに責任を押し付けて、会長や社長の辞任に喜んでしまうような報道になっている可能性がある事、それが或る種のガス抜き効果になってしまっている可能性がある事じゃないだろか。