江戸摩呂日記 ~メディア千本ノック~
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タダのガソリンスタンド役だけが日本の国際支援か?

毎日新聞 2007年(平成19年)8月31日(金曜日)7面

政策の進化図る局面 ( 日本総合研究所会長 寺島実郎 )


 民主党が参院選に勝ってから、テロ対策特措法延長問題が、新聞紙上でもあれこれ言われとる。法律の期限が6年間と定められたテロ対策特措法は、何にもしなければ、111日に失効する。その延長の可否についての国会論戦は、秋の臨時国会の最大のヤマ場。9.11から6年の情勢変化を踏まえて、これまでの支援のやり方はどうだったんか、どんな意味があったのかを冷静に評価し、日本の適切な関与を再構築する良い機会になると、まろは思っておる。

日本総合研究所会長(三井物産戦略研究所長)の寺島実郎氏は、日本の対アフガン政策を二つの基軸に立って進化させるべきであると指摘する(「政策の進化図る局面」毎日新聞、2007831日)。第一は、可能な限り国連が関与し、主導する形で地域の安定化を図ること。第二は、日本の貢献は軍事とは一線を画した形で、真にアフガニスタン国民の役に立つ貢献に集約すること。

これまで海上自衛隊はこの法律に基づき、アフガニスタンのテロ掃討作戦にあたる米艦船やらなんやらにインド洋上で給油活動を実施してきとる、と言われてきた。ところが実は、この自衛艦による燃料補給は、8割以上の油がアフガンではなくイラク作戦のために補給されとると、91日に放映された「朝まで生テレビ」で、江田けんじ衆議院議員は、米軍関係のサイトからの数字を引用し、強い疑念を提起してはった。

 それがほんまかどうか。与野党の緊張感ある国会論戦の中から、こうした事実の真偽、実態や費用やらなんやらの情報開示も含め、現在の日本の活動内容が、「テロ防止に役立っとるのか」検証してほしい。その上で、日本が今後なすべき支援は何なのか、見えてくるやろう。

インド洋でガソリンスタンド役をやることだけが、日本の国際貢献ではないはずや。政府開発援助(ODA)を活用した医療・食糧支援や、人道支援に特化した国際平和協力隊の派遣やらなんやら、テロ撲滅のために日本ができる選択肢は他にもあるし、そここそが国会議員の皆さんの知恵の絞りどころやろう。

日米関係は大切だからテロ特措法は延長するしかない云々を繰り返すだけなら、まろにだってできる。そうではなくて、テロ防止に対して何が本当に日本と世界のためになるのか、有権者を納得させるほんまもんの議論を国会でやって欲しいもんや。

参院選!みんなの結果予想

参院選が始まった。与党苦戦という結果は見えとるという御仁もいはるやろうが、そこは選挙。やっぱり、勝負はフタを開けるまではわからんと思う。

この参院選、安倍政権がむかえる最初の国政選挙らしい。ならば、とりあえずはっきりしてるのは、この参院選は「安倍政権への国民審査」でもあるちゅうことや。

年金やら、憲法やら、各党党首は、これこそが真の争点だといわんばかりに、それぞれ争点を訴えてはる。それは、それぞれに傾聴させてもらうとしても、これが安倍政権への国民審査である以上、つまるところ、安倍政権が去年の9月にできてからこれまでの10ヶ月の実績をみて、

「安倍政権が続いて欲しい」と思えば、与党に投票すればよろしいし、

「安倍政権が続いて欲しくない」と思えば、野党に投票すればよろしい、

ということや。

さて、与党、野党、どっちが勝つやろか?

こうした予想は、イギリスなどではブックメーカーが、スポーツの結果予想はあたりまえ、国政選挙の結果や為替相場、果てはあしたの天気まで、予想の場を提供し、みんなで結果を予想して楽しむのが常の話や。

みんなでする予想というのはたいしたもので、「みんなの意見は案外正しい」という本に詳しいが、それぞれが情報と知恵をもちよって、ベットという形で表現すると、その予想は、下手な専門家や評論家の言うことより、よっぽど的確に当たるんやそうや。

今回の参院選の結果を予想する、そんなベットがないものかと思っていたら、あった。e-betがそれや。

まろも、参院選結果予測にベットのポイントを投じてこようと思う。おっと、本物の一票の方も、忘れんように投票しとかんとあかんな。

衆院決算行政監視委、与党出席せず前例なき審議拒否

衆院決算行政監視委

日本経済新聞によると、


7月4日の衆院決算行政監視委員会は、民主党の仙谷由人委員長が職権で開催を決めたんやけど、与党が応じずに、委員会は定数を満たせへんまんま流会するとゆー異例の事態になったそーだ。そのとき仙谷氏は記者団に「極めて遺憾。議事運営を多数の意のままにすれば、議会の存在理由を自ら消すことになる」と与党側を批判したそーだ。委員会は、民主の委員10人が約2時間、安倍晋三首相や与党議員の出席を待ったそーだ。民主党は「前例のない与党の審議拒否」 と非難して、翌日の5日も委員会を開催すると決めたとゆーことだ。


そもそも、決算行政監視委員会とは、読んで字の如く、行政の無駄遣いや天下り・談合やら、底知れぬ行政の素行を監視する役目があるとゆーことだ。本来、毎日かて開かれて然るべくこの委員会であるが、例年数回程度開かれるだけでお茶を濁してるのが実情だそーだ。それかて会期末には、総理を始め関係閣僚出席の上で締め括り総括質疑が行われるのが恒例だそーだ。それにも関わらず、今回、与党が審議拒否した背景には、「年金記録」問題で追求の手を緩めへん民主党の長妻議員と、安倍総理の対決を避けるためやったと言われとる。自民党は自ら会期を延長し強行採決までしておいて、都合が悪くなると審議拒否とはあんまりに調子よすぎへんか。与党の審議拒否はまだしも、政府が出席を拒むことは憲法第63条 国務大臣の議院出席義務に違反してるとの指摘もある。


それにしても国会閉幕前2日間にわたって与党が審議拒否する中、職権で委員会開催を決めた民主党の仙谷由人氏の決断は大したもんや。これで国会に新たな「前例」ができたわけだ。

年金仮払い措置法ってええやん



例の消えた年金の話。まろも、ふらふらと仕事が変わったりしておったので、ほんまに他人事ではない。


 政府の年金救済法は、記録の持ち主が判明して、その人が本来もらえる年金額が分かるが、改正前では、記録が訂正されて年金額が増えても、一時金として受け取れるのは訂正を申請した時点からさかのぼって5年分だけだったのを、これを満額受けられるようにしたんだとゆー。
それは、めでたく記録の持ち主が判明したラッキーなケースやろう。領収証のないまろのような人は、どうなるんやろか。


 アベ首相は、領収書しか認めないようなしゃくし定規の対応を改め、相談者の立場に立った柔軟な対応を約束したそうやが、ほんまやろか。約束守るんやろか。アベ首相は、「申し立てがあった人すべてにお支払いをしろということなんですか」と語気を強めてのたまったそうで、年金給付は「多くの方の保険料負担によって成り立っている」として「何かしらの証拠」が必要だということは、頑としてゆずらなかったそうやし。やっぱり不安や。
そもそも、納付の記録がどこかに飛んでしもたんは、政府のチョンボやろ。記録を持って来いだの、証拠がないのでダメですだのとかゆーのは、通じまへんわ、フツー。民間企業なら、お客先に出向いてくるで。責任転嫁もええとこや。
そうこうしていたところ、民主党、衆議院の仙谷センセ 、参議院の峰崎センセ やらが、「消えた年金」申請者全員に即時全額仮払いをする「年金仮払緊急措置法」とかゆーアイデアを打ち出したようや。

「年金保険料支払に関する客観的証拠がない場合であっても、申請者全員に即時仮払いを行います。年金データの突合をしている間も年金受給者の生活が、まさにそこにあるからです。受給資格認定ガイドラインを策定し、順次確定払いとして処理を進めていくとともに、事後に不正申請が発覚した場合には、仮払金の返還を始め厳しい罰則等で対処します。安倍総理は「自動的な給付」はモラルハザードだとの立場のようですが、むしろ崩壊過程にある政府がその責任をほおかむりした国民へのお為ごかしと言わざるを得ません。国民を信頼しているからこそ、被害者の権利回復策として「年金仮払緊急措置法」を提唱するのです」

別に、国民を信頼してくれんでもよろしいが、第三者委員会とやらに判断を丸投げしておいて、将来ほんまに払ってくれるかどうか、さっぱりわからん年金救済法よりは、「まずは仮払い」という方が、ずっとすっきりしているし、何より助かる。その昔、まろが奉公人だった頃の出張費の仮払いを思い出せば、そのことはよくわかる。


 参院選が気になる政府は、年金救済法で何とか幕を引きたいんやろーが、甘い。チョンボのために国民が被った損害をきっちり埋め合わせない限り、責任をとったことにはならん。政府には、心からのお詫びと、国民に迷惑をかけたことの埋め合わせを、責任をもって進めてほしい。

「社保庁が 振り込め詐欺とは 気がつかず」


シャレにならんわ、ほんまに。

「みんなで政治スタンス診断」

yuko5053


「選挙もおいしい?ネット|政治が新たなビジネスネタに…」(週刊アエラ2007年4月9日号)


 法律では、禁止されとる選挙でのインターネットの利用だけれど、アエラに掲載されたこの記事では、将来の解禁をにらんでさまざまな試みを紹介しとった。

摩呂がおもろいと思ったのは、Yahoo!の「みんなの政治」で行われとる、「政治ポジションテスト」だ。この「政治ポジションテスト」は、アンケート形式の問いに答えるて自分の政治的な立ち位置が分かるとゆーものだ。 この記事によると、Yahoo!の「みんなの政治」は、1カ月に200万人以上がアクセスする人気サイトで、3月には、週刊誌と連動した選挙漫画の連載やらを盛り込んで、統一地方選特集を始めたそーだ。そしたら、このテストは手軽さがウケて3週間で3万人が利用したとゆー。 


 質問は、全部で16問。

 その内容は、外国人労働者の受け入れとか、ワーキングプアに対する政府の救済の是非とか、今国会かて議論されとるテーマまでいろいろある。
 結果は、リベラルなのか、それとも保守なのか。大きな政府志向なのか、それとも小さな政府がいいと思っとるのかが四つのグループに分類されて分かる。
回答結果は、タイプごとに身近にある説明がされていて、グループの考えに近い政治家も紹介されとる。摩呂の立ち位置が、他の連中とどれくらい離れているかをグラフで比較して、その距離感を実感できるんや。”政治初心者”かて十分楽しめる構成になっとる。


 摩呂は、このテストが何となく性格診断に似とると思った。

自分を再認識して、目指す方向にある障害を克服するために作戦を練り直す…。

摩呂は、友人、同僚、意中の人はどんな結果になるかが気になって、このテストを紹介したんやけど、おんなじ志向だと思っとった人が別の結果にならはったこともあって、その違いが、笑いや新たなネタになったから面白かった。何よりも、それぞれが漠然と持っとった政治意識を、手軽な方法ではっきりさせることができた意味は大きいと思うんや。きっと多くの回答者は、政治や、政治家をぐっと身近に感じたはずだ。

 

 テストをさらに進化させると、投票の際の判断材料かてなる。企画したのは、新日本パブリック・アフェアーズとゆー会社だそーやけど、「テストを活用し候補者の政治スタンスを一覧にしたら、有権者も投票しやすくなるはず」と提案しとった。摩呂は、夏の参院選では、どこぞのメディアが、候補者の政治スタンス一覧表を作ってくれたらおもろいと思うんや。

ペコちゃんに濡れ衣着せたみのもんた!

週刊文春2007年4月5日号「『朝ズバッ!』不二家報道に『捏造』疑惑 ペコちゃんを泣かせたみのもんた」

 消費期限切れの牛乳を使こうてシュークリームを製造などとして、社長交代までに発展した不二家。みのもんた氏が司会を務める人気情報番組「朝ズバッ!」(TBS)は、連日、問題操業を告発して同社を突き上げてきたけど、大誤報をしとった疑いが浮上した。不祥事報道には平身低頭やった不二家も、ねつ造疑惑には猛抗議。同社が、社外に設置した「信頼回復対策会議」も応戦しとる。フジテレビ系「発掘!あるある大事典」のねつ造が社会問題となっとるなか、TBSは同様の疑惑に真摯(しんし)な対応をしてへんため、今も不二家vsTBSのバトルが続く異常事態となっとる。

 記事によると、疑惑の報道は1月22日やった。平塚工場の元パート従業員の女性が、賞味期限切れのチョコレートを再包装したり、店舗から回収したチョコを牛乳で溶かし直して再製品化していたと証言したことやった。チョコでも問題操業があったとするスクープで、みの氏は「廃業してもらいたい」とまで畳みかけたんや。だがその後の検証で、この証言に信ぴょう性のないことが明るみになったんや。もともと、賞味期限切れのチョコが店から工場に戻る仕組みはない上に、再製品化するには、人件費などのコストがかさむから、法を犯してまでのこんなことをやるメリットがないというのが不二家の言い分や。極め付きは牛乳やった。チョコは、水分を加えたら団子のようになってしまい、牛乳を混ぜることはあり得ない。取材経緯でも、やりとりが記録に残っている不二家に対し、TBSは取材した人も特定できずメモもないというんや。


 TBSはシラを切り続けたが、問題が大きくなったんで、ようやく4月18日に番組内で謝罪した。でもなその後、井上弘社長が記者会見で、「チョコの再利用は信用性が高い」と発言したため再燃。ついに、総務省も「事実に基づかない報道が行われた」と裁定に出たんや。実は、TBSは、ねつ造疑惑報道直後の2月にも、「人間!これでいいのだ」と、「サンデージャポン」で、放送法に抵触したとして、4月27日に同省から、「厳重注意」処分を受けるなど問題が相次いでいるんや。

ねつ造では、「あるある…」を制作した関西テレビが、行政処分のほかに、広告収入などに影響する日本民間放送連盟の会員活動停止処分を受けるなどの制裁を受けており、ねつ造が、テレビ局の信頼と、イメージを傷つけるだけでなく、経営に深刻な打撃を与えることが分かっていて、今回の疑惑に対するTBSの強気な態度には、摩呂も開いた口がふさがらないんや。

この間、不二家は外部機関を活用するなど必死に信頼回復に取り組んできておった。

一方のTBSは、疑惑に対する釈明が二転三転しており、全く反省が見られない。


摩呂は、報道機関として不祥事企業を追及するのはもっともだが、ねつ造は論外やと思うんや。折しも楽天が、TBSに企業買収を持ちかけているが、その適格性は別として会社として一度出直した方が良いのではないんやろうか。

「JAL再建をめぐるホンネ」

日航決算に「利益操作の疑い」と書いた政投銀リポートの波紋(週刊エコノミスト2007年4月10日)


 大型連休では、飛行機に乗る方も多いやろう。今回は、経営再建にいそしむ日本航空(JAL)をめぐる記事を取り上げたいと思うんや。


 JALのメーンバンクは、意外なことに政府系金融機関の日本政策投資銀行(来年10月に株式会社に移行、その後完全に民営化することが決まっとる)、要は、資金が焦げ付いた場合は税金で穴埋めしはるとゆーことだ。記事によると、2003年2月に政投銀の研究員が発表した「利益操作の研究」と題するリポートに、JALの「機材購入時での値引き等に関連する機材関連報奨額の処理や長期為替先物予約に係る為替差損の簿価算入等の問題も利益操作の疑いがある」と指摘した。要は、JALはインチキ決算をしてる疑いがあるとゆーことや。

  「機材関連報奨額の処理」の場合、航空機購入の際にボーイングなどが値引きした額を「営業外利益」に計上することで、この結果、自己資本の「利益剰余金」が過剰に計上されるとゆーことや。例えば、定価百円のものを七十円で購入したのに、帳簿には百円で購入し、値引き分の三十円を「営業外利益」とする。「航空機を購入するたびに利益が増える一方で、余分な出費を出し、自己資本が実態以上に膨れるというカラクリや。こんなおかしな会計処理は、ANAを含めて日本の航空業界だけで長年続いたが、批判を受けて2006年3月期決算から修正した。そやけど、かさ上げした自己資本はそのままだとゆーんや。前回このブログで紹介したジャーナリストの町田徹氏も以前からJAL問題の根深さを指摘(朝日新聞2007年2月10日「政投銀の支援は時期尚早」)してはって、「06年3月期末に1480億円とした自己資本は、適正には636億円だった」と主張している。再建計画の前提になっている決算がかさ上げされていては、完全復活できないのは明らかだそーだ。


 エコノミストの記事ではリポートの衝撃を伝えておる。「今国会でも取り上げられ、永田町も巻き込む騒動に発展した。これで困ったのは、融資要請を受けた銀行団。2月に日航が発表した再建策を受け、約600億円の融資を政投銀、みずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友などの主力銀行が応じる計画だった。メーンバンクからかつて出されていた”本音”とも思われる指摘に、銀行団の足並みが一時乱れかけた(最終的に融資契約は結ばれた)」。だが、問題なのはこれを取り上げた新聞やテレビはほとんどなかったことや。
 経済報道でマイナス材料を扱う際は、特に市場への影響の大きいとして経営者や役所の言い分しか伝えない、”お行儀の良い報道”ですませることが多い。けど、JALの場合は政府保証のある資金が投入されている上に、個人株主の割合が非常に高いことからも、むしろ積極的な情報提供を行わなければ混乱を招くのではないやろうか。この政投銀リポートも、丁寧に用語説明をし実際の決算の数字を拾った上で専門家の話を紹介すれば、経営陣がこの債務が隠されていることが明らかになり、JALには抜本的な再建策が必要なことが分かるだろう。確かにマスコミ各社はJALから巨額の広告宣伝費と取材の際の座席の便宜などを受けているが、これ以上及び腰の報道を続けているようでは今度はマスコミが読者離れの制裁を受けるだろう。

「日興コーディアルグループの粉飾決算を暴いた男」

 巨額の粉飾決算を行っても上場廃止を免れた日興コーディアルグループ。旧経営陣が関与した利益操作かてことは、みんな分かっとったのに、上場を維持した東証の判断は、論外だとゆーことを改めて書いてもいいんやけど、今回は、この問題をスクープして、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞 」を受賞した経済ジャーナリストの町田徹 氏を取り上げようと思う。



 この雑誌ジャーナリズム賞は、1995年に始まって、出版社や新聞社の編集者約100人の投票によって、前年の雑誌に掲載された企画や記事を大賞に表彰するものだそーだ。昔からの歴代受賞者は、溝口敦氏や岩瀬達哉氏ら現代屈指のジャーナリストが受賞していて、どえらい権威のある賞だそーで、多くの新聞や雑誌が、「明日、逮捕へ」やら目先の情報の正確さだけを競ったり、ゴシップネタを競い集めるスクープ合戦を繰り広げる中で、ライブドアの粉飾決算事件よりも巨額で悪質なのに見過ごされとった日興の粉飾決算を暴いたとゆー意味で、これこそ真のスクープ記事だと思うんや。


 町田氏の原点は、ウォーターゲート事件や田中角栄元首相の金脈問題とかの報道にあるとゆー。日経時代は、証券スキャンダル、金融制度改革、NTT分割論やらを取材していて、連日一面トップを書き続けたスクープ記者やった。上司からダメ出しが出ると、次の日はもっと大きなネタをつかんで上司に突きつけ紙面化を勝ち取っていった 。かて、新聞記者の寿命は短くて、四十歳ごろになると後輩記者の書いた原稿の手直しや、取材チームの指揮を執る「デスク」業の役が回って来て、現場からの引退を迫らはるらしい。デスクの打診を受けた町田氏は、なんと退社を選んだとゆー。下世話な話やけど日経の年収は新聞業界かてトップクラスや。その安定した生活を捨てて独立、そして 二年足らずでこの受賞作を書き上げたんや。


 ここまで来ると自分とは別世界の人だ…と人ごとに思ってしまうかもしれへんけど、ちーとばかし待ってほしー。摩呂が思うに、だれかて得手不得手はあるから、だれもが町田氏のように骨のあるジャーナリストにはなれへんやろうし、なる必要もあらへんと思う。けれど、どなたはんもが自分の持ち場で町田氏のように誇れる仕事はできると思うんや。目標を達成するために議論を闘わせたやろうか?作戦変更も考えたやろうか?みなやり尽くしたやろうか?ほんで、大事なのは、だれのためにその仕事をしてるのか?…胸に手を当てて自分に聞いてみればちびっと力がわいて来ると思う。

「アメリカが拉致問題に及び腰なワケ」

東京新聞(夕刊)2007年2月1日(2面)


 北朝鮮による日本人拉致問題は、安倍政権が、「拉致問題の解決なくしては国交正常化はない」と主張し続けてることや、拉致被害者家族連絡会等による様々な取組みが盛んに行われとることからも、日本では関心が高いと思っとる。その一方で、国際的には、圧倒的に北朝鮮の核開発疑惑に対して関心が集まっていて、拉致問題は影が薄いと思っとる。それを象徴してるのが、6者協議。ここでは、核問題の解決に向けて、アメリカ、中国、日本などの北朝鮮の周辺6カ国が集って、話し合いの場が持たれている。でも、再三日本による働きかけにも関わらず、拉致問題は、議題に上ったことすらあらへん。こうなると、どこかの国が、拉致問題に尻込みになっとるのではとゆー疑念さえわいてくる。先日、そのヒントになる記事があった。その、記事によるとこーや。


 「米中央情報局(CIA)がテロ容疑者として外国市民を他国で拉致していることに欧州で反発が広がっている。ドイツ検察当局は三十一日、拉致にかかわったとして十三人に対する逮捕状を取得したと発表。イタリア当局も別の拉致事件でCIA要員を追っており、大西洋を挟んだ外交問題に発展しそうな勢いだ。
 独検察が捜査しているのは、二〇〇三年十二月にレバノン系ドイツ人のハリド・マスリ氏が米中枢同時テロとの関連を疑われ、旅先のマケドニアでCIAに拉致された事件。同氏はアフガニスタンに移送された後、拷問などの虐待を受けたが、人違いだったとして五カ月後にアルバニアで解放された。
 捜査は米国が協力を拒否したため難航したが、移送に用いられた飛行機が立ち寄ったスペインの捜査協力で実行犯の十三人を特定。独検察は身元の詳細は明らかにしていないが、CIAの要員または協力者とみられる。
 これらの拉致には、内々に現地国側の了承があったことも取りざたされており、独伊両国とも米国の責任を真正面から問うことは避けている。だが、司法当局は捜査を進めており、各国で追及の声が高まりそうだ。
 CIAによる拉致事件では、イタリア検察当局も〇三年にミラノでエジプト人イスラム教聖職者ムスタファ・オサマ・ナスル師を拉致した容疑で、これまでにCIA要員ら二十六人の逮捕状を取得している。」


  もちろん、アメリカ政府は、この事実を否定しているけど、CIAは、テロを理由に、主に中東諸国からの移民をシリアやパナマ、東ヨーロッパなんかにある秘密収容所へ、”取り調べ”を口実として法的な根拠がないまんま連れ去って収監していて、そこでは、自白させるための拷問を行っとったとゆーことだ。しかも、CIAの拉致には、沢山の国が協力しとった疑いがあるとゆーから、問題の根深さは底知れへん。北朝鮮の日本人拉致問題に対する政治的な関心の低さとゆーのは、アメリカに限らず、どの国かて拉致はテロ対策の常とう手段そやさかいに、あえて真相を究明する必要はあらへんとゆーことなのか。
 くしくも拉致被害者、横田めぐみはんの母、早紀江さんらは、昨年春、拉致問題解決のために米国の協力を求めてブッシュ大統領に直訴した。当時、ブッシュ大統領は、「国家の指導者が幼い子どもの拉致を促すとは、米国人には想像もできない」と強く非難しとった。そやけど今となっては、ブッシュ大統領の発言は二枚舌やったことが、はっきり分かった。横田夫妻の思いを踏みにじっただけでなく、自国の都合の悪いことには反対するという傲慢な態度が見えてきた。このことは、環境問題で国際協調を求める京都議定書に賛同しないことや、住民虐殺や、人道に対する罪を裁く国際刑事裁判所(ICC)の加盟に反対する米国の態度と重なる。

 摩呂は、安倍さんにこう言いたいんや。「主張する外交」は、なにも中国や北朝鮮に対してだけではないんや。まず始めに、日本でもCIAによる拉致が行われとったかどうかを徹底調査すべきではないだろうか。ほんで仮に、米国による拉致が、なかったとしても米国にクギを刺すのが、同盟国としての責任ではないんやろうか。

「『私』でなく『公』の意識を」

東京新聞(朝刊)2006年12月31日(社説)


 このあいだ発表されたアカデミー賞では、地球温暖化の危険を訴えた「不都合な真実」ちゅう映画が、アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を獲得したんかて。また、伝統的なリムジンカーをやめて小型で燃費のええトヨタのハイブリッド車「プリウス」で会場入りする俳優が十人に上って、環境に配慮したスターの行動が注目を浴びたんかて。

 環境問題は、大勢の人が重要性に気づいとるけど対策がなかいなか進まへんそうだ。この記事では、ユニークな広告を紹介し、「これくらい、いいやろう」とゆー自己中心主義が蔓延してることを指摘していて、「公」を見直すことを呼びかけとった。

 

「『賢い主婦はスーパーで手前に並んでいる古い牛乳を買う』
 日本新聞協会が募集した「新聞広告クリエーティブコンテスト」の最優秀賞に選ばれた作品『エコ買い』の惹句(じゃっく)です。(中略)自宅の冷蔵庫では、古い牛乳から飲んでいるのに、スーパーでは新しい牛乳を買っていませんか?新しいのから売れていくと、そのぶん古い牛乳は売れ残ってしまいます。日本では毎日約2000万人分の食料が、賞味期限切れなどの理由で棄(す)てられています。できるだけ売り場の古い牛乳を買いましょう。飽食やぜいたくを見直すことで、食料輸送や焼却処分時の環境負荷を減らすことができます。無駄を減らしてcO2排出量を削減しましょう。審査委員の一人が、「商品棚の奥にある新しい商品を取る行為は、私もしていると罪悪感を持った。自分さえ良ければいいというエゴ」と語り、エゴでなくエコ買いをという生活者の視点を高く評価しました。もちろん、反論はあるでしょう。でも、ここで考えたいのは「自分さえ良ければいい」という意識です。多くの人たちが社会や公共の問題を遠ざけ、狭い領域にしか関心を持たなくなったという風潮です。」


 今年に入ってから、大手菓子メーカー不二家が、消費期限切れの牛乳を原料としてシュークリームを製造しとったことが発覚した。これは、世間から大バッシングを受け、このことはみんなの記憶にも新しいと思うんや。この一件で、食中毒やらなんやらの被害は、具体的に出てなんだけど、今や食品メーカーは、ただ「安全」な商品を作ればいいとゆーだけでなく「安心」して食べらはる商品を求められとることは、疑いようもへんことだと思うんや。ただ摩呂は、この不二家バッシングの最中に、『賢い主婦はスーパーで手前に並んでいる古い牛乳を買う』の広告を思い出して、胸に手を当てて反省してしもたんだ。みんなはどへん思ったんやろうか。


 記事では、「私」中心の生き方は、リスクの個人化と重なって、「私」へのしっぺ返しを招きかねへんとして、その解決策として、『社会全体の幸福を考える、さら「公」の創造と参加』を提案してるんだ。

 では、このさら「公」は何やろう?この分野に期待する寺島実郎氏によると、新しい「公」とは、「官」とはちゃう。官と民の間には「公(パブリック)」とゆー能書きがあって公的な目的の高い分野は、どなたはんかが利害を超えて汗を流すことで、社会を安定させることができるとゆー。摩呂は、その「どなたはんか」は、どなたはんもがなれる資格があると思うんや。

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