恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

2.河童の川

2018年07月05日 | 家族
 子供の頃、真夏の暑い日、山奥のばぁちゃん家の帰りに父と歩いていると大きな水溜まりというか、川みたいな所がある。
 それを見た父が呟くように言った。
 「今日は河童はいないなー。」
 私は不思議に思って聞き返した。
 「この川に河童いるの?」
 「昔、よくここで泳いでいたら足を引っ張られて、水の中に河童が二匹いた。」私は本当にいるのかどうか、上から水の中を覗き込んだが、薄汚い水は見えなかった。
 それから、脳内出血で父が倒れて手術している間、私は、病院の控室で、河童の夢を見ていた。
 私はあの川の中、濁った汚い水の中にいた。頭に皿を乗せた河童が、父を水の中に引きずり込もうとしている。私は無我夢中で阻止しているが中々うまくいかない。父は、近くにあった石でおもいっきり、河童の皿を殴った。
 河童は「キュィン!!」と声を出し、痛いような顔をして沈んでいく。私と父が水の中から出ようとした所で目が覚めた。
 ぼんやりとして、母が目の前にいて、峠を越え、一命をとり止めたと言った。
 さずが無敵だなと思った。あの時、夢の中で河童から引きずり込まれていたら死んでいたのか疑問が残るが、生き返ったならそれでいい。


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