非国民通信

ノーモア・コイズミ

まぁ消費税を止めるのが一番の解決策ですが

2019-03-03 21:57:28 | 雇用・経済

軽減税率、高年収ほど恩恵 中位世帯で年1万2千円(共同通信)

 財務省は1日、消費税率10%への引き上げ時に導入する軽減税率制度の家計への効果試算をまとめた。負担軽減額は収入が多い世帯ほど大きくなり、全世帯を年収別の5グループに分けた場合の恩恵額は年約1万6千〜約8千円、中位の3番目の世帯は約1万2千円となった。民間試算と同様の傾向が表れ、野党は低所得者対策としての効果を疑問視している。

 2018年の家計調査を基に、8%の軽減税率が適用される外食・酒類を除く飲食料品と、定期購読の新聞に対する支出総額を抽出して計算。1日の衆院財務金融委員会に提出した。

 

 これと似たようなことを主張する人は他にも色々いますので目新しさはありませんが、こんなものを大まじめに持ち上げる財務省も共同通信も、そして何より野党筋も相当にヤバいと思います。まぁ流石に失笑を買うことの方が多かったものの、消費税全般に関して「収入の多い人の方が消費税の負担額は多い!」と力説する人もいたわけです。今回のは、それのマイナーバージョンでしょうかね。

 消費の総額が大きければ消費税の負担「額」は多くなります(実際の負担者の曖昧さはさておき)。ゆえに、月収20万円で支出が20万円の人よりも、月収が50万円で支出が40万円の人の方が消費税の負担額は大きくなる、だから「高収入の方が消費税の負担額は多い」のです。同様に、軽減税率の恩恵を受ける「額」も高所得世帯の方が多いのだと、財務省並びに共同通信、野党筋は主張しているのでしょう。

 もっとも月収20万円の人に課される1万6000円の消費税と、月収50万円の人に課される3万2000円の消費税のどちらが重いかは、言うまでもなく別問題です。軽減税率の場合も同様、月収20万円の人への恩恵が1,000円で、月収50万円の人への恩恵が2,000円であるなら、共同通信の報じるとおり「軽減税率、高年収ほど恩恵」と言えますが、皆様この考え方をどう思いますか?

 人頭税的な発想に乗っ取るなら、「額」の面で恩恵の多寡を見るのも妥当なのかも知れません。しかしガラパゴス列島の外も含めた現代社会における税制の標準に倣うなら、見るべきは当然「額」ではなく「率」です。軽減税率によって恩恵を受ける「率」が低所得世帯と高所得世帯のどちらで大きくなるか、それに目を背ける財務省は前近代的に過ぎるでしょう。

 もちろん、この前近代的な人頭税に理想を見出している人もいて、そういう人ほど「低所得者のため」を装いつつ「軽減税率は高年収ほど恩恵が大きいのだ」「消費税は高年収の人の方が多く負担しているのだ」と、間違ったイメージを広めようと足掻いているわけです。鼻で笑うべきレベルの話ですが、そういう論理に野党筋が乗っかっているのは何とも……

 なお日本式の軽減税率に問題を見出すとすれば(過去に書いた記事の繰り返しとなりますが)、10%と8%と言う、微々たる差しか設けていないことですよね。最高税率は15%だけれど食料品は0%、みたいなヨーロッパ式の軽減税率とは全く違うのが日本式軽減税率で、わずか2%の差しかないのでは「国民の生活に配慮しました」というアリバイ作りにしかなっていません。軽減税率自体は負担軽減策として有意義ではあるものの、2%の違いを体感するのは難しいでしょう。


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